第831話 2014/12/06

来年は高野山開創1200年

 来年は高野山開創1200年を迎えます。高野山は空海が開基した金剛峯寺をはじめ多くの寺院や旧跡があり、世界遺産とされています。わたしはまだ行ったことがありませんが、いつかは訪れたいものです。
 空海は『旧唐書』日本国伝にもその名が記された高名な僧侶ですが、わたしは空海について論文を一つだけ書いたことがあります。『市民の古代』13集(1991年、新泉社)に掲載された「空海は九州王朝を知っていた 多元史観による『御遺告』真贋論争へのアプローチ」という論文で、35歳の頃に書いたものです。全文が本HPに掲載されていますので、ご一読いただければ幸いです。
 「洛中洛外日記」323話でも触れましたが、空海の遺言に記された空海の唐からの帰国年(大同2年・807)の一年のずれの原因を解明し、その結果、空海が九州王朝の存在を知っていたとする結論に到達したものです。若い頃の未熟な論文ですが、論証や結論は今でも妥当なものと思っています。発表当時、仏教大学の講師の方から、同論文を講義に使用したいとの申し入れがあり、光栄なことと了解した思い出があります。
 同論文執筆に当たり、膨大な空海全集などを京都府立総合資料館で何日もかけて読破したことを今でも懐かしく思い出します。あの難解で膨大な空海の文章を読み通す気力も体力も今のわたしにはありませんが、そのときの体験が古代史研究に役立っています。若い頃の訓練や試練が今のわたしを支えてくれています。 そんなわたしも、来年は還暦を迎えます。できることなら、もう一つぐらい空海に関する論文を書いてみたいものです。

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