第909話 2015/03/27

古代史のブルーオーシャン戦略(3)

 「九州年号」などのテーマが「ニッチ(隙間)」ではなく、新たな「ブルーオーシャン(競争なき市場)」であることに気づき、後にそれが確信に変わったのは、服部静尚さんによる考古学分野での研究(庄内式土器・他)と考古学者との交流により明らかとなった、考古学界における「学問の実体」を知ったことでした。
 遺跡や遺物を研究対象とする考古学ですから、出土物に対する「解釈」に異説があるのは学問ですから当然なのですが、考古学的出土事実に対しては等しく合意や情報の共有化が果たされていると、わたしは思っていたのです。ところが服部さんの調査によると、自説に都合の良い出土事実のみに基づいていたり、不都合な出土事実そのものを知らないまま立論されているケースがあるとのこと。このように近畿天皇家一元史観は文献史学だけではなく、考古学の諸説も結構ずさんであることがわかってきたのです。その結果、わたしたち古田学派の研究者は、一元史観論者との「他流試合」でも有効に戦えるということが明らかとなり、ブルーオーシャン(一元史観論者が論争したくないテーマ)は結構たくさんありそうなのです。
 とすれば、どのようなステージやツールで競争するのが有効なのかを検討すればいいわけです。今のところ考えているのが、インターネット上のサイバー空間や書籍の発行、各地の講演会といったステージでの展開を検討しています。既にユーチューブを利用した動画配信事業が正木裕さんらにより準備が進められています。将来的には「古田史学の会」会員を中心としたSNSも視野に入れています。講演会も久留米大学の公開講座や愛知県では高校生を対象とした公開講座も「古田史学の会・東海」により続けられています。
 ブルーオーシャン戦略は計画段階での様々な分析手法がありますので、わたしも再度勉強しなおして、「古田史学の会」の運営や事業計画に採用したいと考えています。

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