第1209話 2016/06/16

古田先生の九州王朝系「近江令」説

 正木裕さんが提唱された九州王朝系「近江朝廷」という新概念について、「洛中洛外日記」で考察を加え、それをまとめて『古田史学会報』に発表したのですが、古田先生が既に「九州王朝系『近江令』」という視点に言及されていることを思い出しました。
 『古代は輝いていた・3』の第六部二章に見える「律令制の新視点」(ミネルヴァ書房版316頁)の次の記述です。

 「『日本書紀』の天智紀に「近江令」制定の記載はない。にもかかわらず、『庚午年籍』と一連のものとして、その存在は、あって当然だ。この点、『庚午年籍』が九州王朝の「評制」にもとづくとすれば、いわゆる「近江令」なるものの実体は、実は九州王朝系の「令」であった。そのような帰結へとわたしたちは導かれよう。」

 この古田先生の九州王朝系「近江令」という指摘は、その論理展開として、九州王朝系「近江令」を制定した「近江朝廷」も九州王朝系「近江朝廷」という正木新説への進展を暗示しています。古田先生の先見の明には驚かされるばかりです。(つづく)

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