2017年01月11日一覧

第1321話 2017/01/11

五畿七道に「北海道」がない理由

 年始挨拶廻りで四国に来ています。昨晩は高松市に泊まり、当地の会員の西村秀己さん(古田史学の会・全国世話人、会計担当)都築さんと夕食をご一緒しました。もちろん話題は古代史ですが、西村さんから興味深い仮説をお聞きしました。
 それは五畿七道に「北海道」がなぜないのかというテーマです。西海道・東海道・南海道があるのに北海道が無く北陸道となっているのが疑問と言われるのです。当初、わたしは西村さんの疑問の意味が理解できなかったのですが、西村さんの説明では、九州王朝の「北海道」が既に存在していたため、大和朝廷は「北陸道」とせざるを得なかったというものです。
 九州王朝にとっての「北海道」とは壱岐・対馬・朝鮮半島へ向かうルート(海北道中)であり、現「山陰道」が「北陸道」であり、山陽道は「東海道」だったはずとのこと。従って、大和朝廷は九州王朝の「北陸道」(山陰道)の延長線に相当するルートを「北海道」ではなく九州王朝に倣って北陸道と命名したのではないかという仮説です。
 この西村説によれば五畿七道に「北海道」がない理由を一応説明できますし、九州王朝の官道名称の復元にとっても有効な仮説と言えそうです。付け加えれば、九州王朝にとって「西海道」は長崎から五島列島へ向かうルート、「南海道」は南へ肥後・薩摩から沖縄に向かうルートということになりそうです。九州王朝の古代官道研究にとって貴重な西村仮説と言えます。