第1322話 2017/01/14

新春講演会(1/22)で「酸素同位体比測定」解説

 来週1月22日に開催する「古田史学の会」新春講演会では講師のお一人として中塚武さん(総合地球環境学研究所)をお招きして、木材の最先端年代測定法である「酸素同位体比測定」の解説をしていただきます。木材年輪セルロース中の酸素同位体比を年代測定に利用するというアイデアが素晴らしく、樹種を選ばす、精度も高いということにとても驚きました。
 「洛中洛外日記」667話で紹介しましたように、西井健一郎さん(古田史学の会・全国世話人)から送っていただいた「読売新聞」(2014.02.25)の記事『難波宮跡の柱「7世紀前半」…新手法で年代特定』により「年輪セルロース酸素同位体比法」という、樹木の年代を測定する新技術を知りました。インターネットでは次のように解説されています。

 「酸素原子には重量の異なる3種類の『安定同位体』がある。木材のセルロース(繊維)中の酸素同位体の比率は樹木が育った時期の気候が好天だと重い原子、雨が多いと軽い原子の比率が高まる。酸素同位体比は樹木の枯死後も変わらず、年輪ごとの比率を調べれば過去の気候変動パターンが分かる。これを、あらかじめ年代が判明している気温の変動パターンと照合し、伐採年代を1年単位で確定できる。」

 新聞報道によれば、難波宮から出土した柱を酸素同位体比法で測定したところ、7世紀前半のものとわかったとのこと。この柱材は2004年の調査で出土したもので、1点はコウヤマキ製で、もう1点は樹種不明。最も外側の年輪はそれぞれ612年、583年と判明しました。伐採年を示す樹皮は残っていませんが、部材の加工状況から、いずれも600年代前半に伐採され、前期難波宮北限の塀に使用されたとみられるとのことです。
 新春講演会でこの技術と測定結果が詳しく解説していただけます。これからの古代史研究にとっても基本技術となることでしょう。とても楽しみです。

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