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第1883話 2019/05/03

改変された『高良記』の「白鳳」

 わたしの故郷、福岡県久留米市高良山に鎮座する筑後一宮の高良大社には『高良記』という文書があります。末尾が失われており成立年次は不明ですが、中世末期から近世にかけての成立と見られています。この『高良記』には九州年号「白鳳」が記されていますが、本来型と後代改変型の二種類の「白鳳」が混載されているという珍しい九州年号史料です。たとえば次のような「白鳳」年号記事が見えます。

 「天武天皇四十代白鳳二年ニ、御ホツシンアリシヨリコノカタ、大祝ニシタカイ、大菩垂亦ニテ、ソクタイヲツキシユエニ、御祭ノ時モ、御遷宮ノヲリフシモ、イツレモ大菩御トモノ人数、大祝ニシタカウナリ」
 「御託宣ハ白鳳十三年也、天武天皇即位二年癸酉二月八日ノ御法心也」

 このように『高良記』には高良玉垂命の御法心を「白鳳二年」と記すものと、「白鳳十三年、天武天皇即位二年癸酉」とする二例が混在しています。これは本来の九州年号の「白鳳十三年癸酉」(673年)であったものが、その年が『日本書紀』の天武二年癸酉に当たるため、「天武天皇白鳳二年」とする改変型が発生したものと思われます。そしてその両者が不統一のまま同一文書内に混在しているというケースです。
 こうした「白鳳」年号の後代改編型史料については、拙稿「盗まれた年号--白鳳年号の史料批判」(『古田史学会報』No.48 2002年2月5日)でも論じていますので、下記の「古田史学の会」HPをご参照ください。
http://www.furutasigaku.jp/jfuruta/kaihou48/koga482.html