古田史学の会一覧

第2751話 2022/05/31

多元的古代研究会で研究発表します

 友好団体の多元的古代研究会の月例会などにリモート参加させていただき、勉強していますが、同会の和田事務局長から研究発表のご依頼をいただきました。日時とテーマは次の通りです。ご批判やご質問をよろしくお願いします。

○6月3日(金) 午前10時~11時30分 《リモート勉強会》
 【テーマ】筑紫なる倭京「太宰府」 ―九州王朝の両京制《倭京と難波京》―
○7月10日(日) 午後1時~4時 《多元の会月例会》
 【テーマ】考古学はなぜ「邪馬台国」を見失ったのか


第2747話 2022/05/27

6月19日、古代史講演会・会員総会のお知らせ

 先にご案内しましたように、「古田史学の会」会員総会・古代史講演会を6月19日(日)にアネックスパル法円坂(大阪市中央区法円坂1-1-35)で開催します。当初、18日(土)に開催予定でしたが、コロナ対策のための広い会場を確保するために日程を19日(日)に変更しました。それに伴い、「古田史学の会」関西例会も19日の午前中に変更します。午後は2時から講演会、4時30分から総会とします。コロナの問題もあり、総会は短時間に終えますので、ご意見等は予めメールでHP記載の「古田史学の会」のアドレスまで寄せていただきますようご協力下さい。
 なお、講演会の講師は正木裕さん(古田史学の会・事務局長)と服部静尚さん(古田史学の会・会員)です。最新の研究テーマが発表されます。会員以外の皆さんも無料ですので、ご参加をお願いいたします。

《日時》6月19日(日) 14時~16時
    ※講演会終了後は会員総会を開催します。

《講師と演題》
服部静尚さん 「俾弥呼の鏡」
正木 裕さん  「邪馬壹(台)国の官名 ~俾弥呼は漢字を用いていた~」

《会場》アネックスパル法円坂(大阪市中央区法円坂1-1-35)

《参加費》無料

《主催》古田史学の会


第2746話 2022/05/26

上京区で「化学者が語る古代史」開催

 上京区千本五辻の喫茶店〝うらのつき〟さんで、「化学者が語る古代史」と銘打ってミニ講演会を行いました。数年前からお店のオーナーに要請されていたのですが、コロナ騒動が収まってきましたので、お引き受けしたものです。今春3月から毎月一回開催しています。
 今日のテーマは「教科書に書けない本当の古代史 『邪馬台国』の真実」です。古田先生の邪馬壹国博多湾岸説を紹介しました。後半は「業界の秘密 白色LED」と「CD開発の舞台裏」を話させていただきました。毎回、古代史(古田史学)と化学(お役立ち情報)をテーマにしています。
 おかげさまで毎回好評で、皆さん熱心にメモをとっておられました。なかには5月1日の『古代史の争点』出版記念講演会(「市民古代史の会・京都」主催)に行かれた熱心なリピーターもおられます。6月は今回の続編として「太平洋を渡った倭人」を予定しています。


第2745話 2022/04/21

多利思北孤の東征(東進)論と都城論

 本日はドーンセンターで「古田史学の会」関西例会が開催されました。来月の関西例会は6月19日(日)に変更し、アネックスパル法円坂(大阪市中央区法円坂1-1-35)で開催します(参加費1,000円)。例会は午前中だけとなり、午後は『古代史の争点』(『古代に真実を求めて』25集)出版記念講演会(参加費無料)と「古田史学の会」会員総会を開催します。

 今回の例会では、大原さんや服部さんの発表を受けて、リモート参加された谷本茂さん(古田史学の会・会員、神戸市)も交え、『隋書』俀国伝の行程記事について活発な論争が続きました。これは九州王朝の太宰府(倭京)と前期難波宮(難波京)の複都制前史にも関わるテーマです。難波を多利思北孤の都とする野田利郎さん(古田史学の会・会員、姫路市)の仮説を皮切りに、隋使(裴世清)が多利思北孤と難波で対面したという服部説、正木さんやわたしが発表してきた多利思北孤の東征(東進)説などの諸仮説が〝火花を散らしている〟状況です。実に関西例会らしい素晴らしい学問論争であり、この諸仮説群がどのように収斂していくのかを楽しみにしています。学問は批判を歓迎し、真摯な論争は研究を深化発展させますから。
 5月例会では下記の発表がありました。なお、発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔5月度関西例会の内容〕
①「オホゴホリ」は大宰府の旧名〈先回に頂いたご指摘について〉(東大阪市・萩野秀公)
②縄文語で解く神々 第一話 初めて生まれた神々(大阪市・西井健一郎)
③作られた乙巳の変と鎌足なる人物(大山崎町・大原重雄)
④日本書紀と扶桑略記の法興寺記事の核心部分は史実である(茨木市・満田正賢)
⑤石井公成氏の「古代史の争点」批判について(川西市・正木 裕)
⑥白村江戦前後の九州王朝(川西市・正木 裕)
⑦国書の紛失はなかった 小野妹子と難波で裴世清と会った多利思北孤(大山崎町・大原重雄)
⑧【速報】石井公成氏より反論をいただけました(八尾市・服部静尚)
⑨裴世清は難波で倭王と対面した(八尾市・服部静尚)

◎「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円(三密回避に大部屋使用の場合は1,000円)
 06/19(日) 10:00~12:00 会場:アネックスパル法円坂(大阪市中央区法円坂1-1-35) ※午後は出版記念講演会と「古田史学の会」会員総会


第2736話 2022/05/03

『多元』No.169の紹介

 友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.169が届きました。同号には拙稿「近江の九州王朝 ―湖東の「聖徳太子」伝承―」を掲載していただきました。同稿は、近江地方から出土した無文銀銭や法隆寺創建同范瓦などと当地に色濃く遺る聖徳太子建立伝承を持つ寺院群について、九州王朝・多利思北孤と関係するものとして考察する必要性を論じたものです。
 拙稿の他にも古田史学の会・会員の服部静尚さんの「『続日本紀』に見える王朝交代の陰」や野田利郎さんの「京師を去る一万四千里」が掲載されました。八木橋誠さん(黒石市)の「『隋書倭国伝』は長里で書かれていない」は同紙168号の服部稿「隋・唐は倭国の東進を知っていた」への批判論文であり、注目しました。
 八木橋稿末尾には、拙稿「洛中洛外日記」2642~2648話〝『旧唐書』倭国伝「去京師一萬四千里」(1)~(7)〟への批判もなされており、興味深く思いました。『旧唐書』倭国伝に記された京師から倭国への距離「一万四千里」を倭人伝の短里「一万二千余里」と長里二千里の〝合計値〟とする拙論に対し、一万里が短里部分であり四千里を長里とする仮説を提起されたものです。学問は批判を歓迎し、真摯な論争は研究を深化発展させます。ご指摘については改めて検討させていただきたいと思います。


第2730話 2022/04/26

会員総会を6月19日(日)に変更します

 「古田史学の会」会員総会・記念講演会を6月19日(日)にアネックスパル法円坂(大阪市中央区法円坂1-1-35)で開催することになりました。当初、18日(土)に開催予定でしたが、コロナ対策のための広い会場を確保するために日程を19日(日)に変更しました。
 それに伴い、「古田史学の会」関西例会も19日の午前中に変更します。午後は2時から講演会、4時30分から総会とします。コロナの問題もあり、総会は短時間に終えますので、ご意見等は予めメールでHP記載の「古田史学の会」のアドレスまで寄せていただきますようご協力下さい。
 なお、講演会の講師を正木裕さん(古田史学の会・事務局長)と服部静尚さん(古田史学の会・会員)に要請しています。演題などが決まりましたら、改めて報告します。


第2722話 2022/04/17

横書き併用になった『九州倭国通信』No.206

 友好団体「九州古代史の会」の会報『九州倭国通信』No.206が届きました。同号には拙稿「七世紀末の近畿天皇家の実像 ―飛鳥・藤原宮木簡の証言―」を掲載していただきました。拙稿は、近畿天皇家(大和朝廷)による天皇号や律令の採用時期について論じ、近年の古田学派による九州王朝研究 を紹介したものです。
 同紙は前号からリニューアル(横書き併用、活字拡大など)がスタートし、今号にも横書きページが併用されていました。これも「九州古代史の会」代表幹事(会長)に就任された工藤常泰さんの野心的な取り組みの一つです。英文や数値を多用する論文は読み(書き)やすくなります。縦書きが主流の文系学術誌にも縦横併用が増えています。わたしが愛読している大阪歴博紀要も縦横併用で、考古学論文は横書き、文献史学論文は縦書きとなっており、読者には有り難い配慮です。


第2721話 2022/04/16

卑弥呼がもらった「尚方作」鏡

 本日はドーンセンターで「古田史学の会」関西例会が開催されました。来月、5月21日(土)もドーンセンターで開催します(参加費1,000円)。また、会場は未定ですが、6月18日(土)の関西例会は午前中だけとなり、午後は『古代史の争点』(『古代に真実を求めて』25集)出版記念講演会と会員総会を開催することになりました。

 今回の例会では、重要な研究発表が続きました。なかでも服部静尚さんの、福岡県平原遺跡から出土した「尚方作」の銘文をもつ21面の銅鏡が鉛同位体分析から中国産であり、中国の天子の工房である尚方で造られたことを意味する「尚方作」銘文は倭国(卑弥呼)への下賜品にふさわしい〝しるし〟とする考察は見事でした。ただし、それらの鏡が出土した平原1号墳は方形周溝墓であるため、倭人伝に「径百余歩」(円墳を意味する)と記された卑弥呼の墓とは形状が異なることから、壹與の墓かも知れないとされました。同2号墳からの出土土器(庄内式)編年など精緻な年代判定が待たれるところですが、「尚方作」銘文鏡の分布(福岡県が最多)や「尚方作」の銘文が持つ意味の考察は画期的と思われました。
 正木裕さんの万葉歌に見える「大王」研究は、わたしが「洛中洛外日記」〝万葉歌の大王〟で続けている考察と関連するもので、199~202番歌などの「大王」「王・皇子」を具体的に検討され、199番歌の「わが大王」を九州王朝の天子「伊勢王」のこととされました。わたしの考察よりもさらに具体的で進んだ内容であり、興味深いものでした。

 発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔4月度関西例会の内容〕
①倭国の滅亡(姫路市・野田利郎)
②伊吉連博徳書の捉え方について(茨木市・満田正賢)
③「オホゴホリ」は大宰府の旧名(東大阪市・萩野秀公)
④九州年号の分布(京都市・岡下英男)
⑤銅鏡の分布と卑弥呼の鏡(八尾市・服部静尚)
⑥天智紀の工人と水城山城造営記事(大山崎町・大原重雄)
⑦万葉歌の「大王」は誰か(川西市・正木 裕)

◎「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円(三密回避に大部屋使用の場合は1,000円)
 05/21(土) 10:00~17:00 会場:ドーンセンター
 06/18(土) 10:00~12:00 会場:未定 ※午後は出版記念講演会と会員総会

 


第2718話 2022/04/12

『古田史学会報』169号の紹介

 『古田史学会報』169号が発行されました。一面は谷本茂さんの〝「聃牟羅国=済州島」説への疑問と「聃牟羅国=フィリピン(ルソン島)」仮説〟です。『隋書』に見える聃牟羅国を済州島とする説に疑義を呈し、フィリピン(ルソン島)とする新説です。谷本さんはわたしの〝兄弟子〟にあたる古田学派の重鎮的研究者です。京都大学の学生時代から、古田先生のご自宅で研究成果を誰よりも早く聞いていたそうです。そうした御縁もあり、『「邪馬台国」はなかった』の発刊30周年記念講演会(2001年10月8日、朝日新聞東京本社別館小ホールにて)では、〝弟子〟らを代表して谷本さんが講演されました。演題は「史料解読方法の画期」でした。わたしも前座として、「古田史学の誕生と未来」という講演をさせていただきました。メインの古田先生の講演は「東方の史料批判 ―中国と日本―」でした。

 拙稿〝失われた飛天 ―クローン釈迦三尊像の証言―〟と〝大化改新詔の都は何処 ―歴史地理学による「畿内の四至」―〟の二編も掲載していただきました。〝失われた飛天〟は、法隆寺釈迦三尊像を三次元解析技術で造ったクローン像の写真を見てひらめいた論稿です。〝大化改新詔の都は何処〟は、古田史学の会・関西例会で発表された大化改新詔に関する主要三説を解説したものです。その中で、改新詔の畿内の四至について歴史地理学で考察した佐々木高弘さんの論文「『畿内の四至』と各都城ネットワークから見た古代の領域認知」を紹介しました。

 〝大化改新詔の都は何処〟を『古田史学会報』に投稿した後、佐々木論文で難波京から紀伊国へ向かう古代官道の「最短ルート」とされた〝孝子峠・雄ノ山峠越え〟は最短距離ではないとする指摘が正木裕さんから寄せられました。もっともな指摘でしたので、調査検討の上、改めて報告する機会を得たいと思います。

 169号に掲載された論稿は次の通りです。投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚程度)に配慮され、テーマを絞り込んだ簡潔な原稿とされるようお願いします。

【『古田史学会報』169号の内容】
○「聃牟羅国=済州島」説への疑問と「聃牟羅国=フィリピン(ルソン島)」仮説 神戸市 谷本 茂
○失われた飛天 ―クローン釈迦三尊像の証言― 京都市 古賀達也
○「倭日子」「倭比売」と言う称号 たつの市 日野智貴
○天孫降臨の天児屋命と伽耶 京都府大山崎町 大原重雄
○大化改新詔の都は何処 ―歴史地理学による「畿内の四至」― 京都市 古賀達也
○「壹」から始める古田史学・三十五
多利思北孤の時代⑪  ——多利思北孤の「東方遷居」について― 古田史学の会・事務局長 正木 裕
〇古田史学論聚第26集『古代に真実を求めて』の発刊につきまして
○古田武彦記念古代史セミナー2022のお知らせ
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○『古田史学会報』原稿募集
○古田史学の会・関西例会のご案内
○2022年度の会費納入のお願い


第2709話 2022/03/30

『東京古田会ニュース』No.203の紹介

 昨日、『東京古田会ニュース』203号が届きました。拙稿「大和『飛鳥』と筑紫『飛鳥』」を掲載していただきました。古田先生の小郡市の字地名「飛島(とびしま)」飛鳥説をはじめ、正木さんの筑前・筑後広域飛鳥説、服部さんの太宰府「飛鳥浄御原宮」説を紹介し、通説の大和飛鳥説と比較したものです。そして考古学成果と『日本書紀』の飛鳥記事との齟齬が考古学者から指摘されている近年の状況について説明しました。
 同号に掲載された皆川恵子さん(松山市)の論稿「意次と孝季in『和田家文書』その1」には、ベニョフスキー事件の紹介があり勉強になりました。1771年に起こった同事件は、ポーランド人の対ロシア抵抗組織に加わりロシアの捕虜となりカムチャッカ半島に流刑されたモーリツ・ベニョフスキーが船で脱走し、土佐で飲料水を補給し、さらに南下して奄美大島に上陸して、そこからオランダ商館長に書簡(注)を出し、ロシアの北海道(松前)攻撃計画を知らせたというものです。
 ロシアによるウクライナ侵略を目の当たりにしていることもあり、興味深く拝読しました。

(注)ベニョフスキー書簡 1771年7月20日付。ハーグ市の国立中央図書館蔵。


第2708話 2022/03/28

『古代史の争点』

(『古代に真実を求めて』25集)の紹介

 「古田史学の会」の会誌『古代に真実を求めて』25集が明石書店より発刊されました。同書タイトルは『古代史の争点』で、大原重雄さんが編集長になられて初めての会誌です。同書は「古代史の争点」として、「邪馬台国」・倭の五王・聖徳太子・大化の改新・藤原京と王朝交代を特集テーマとしたもので、大原さんの発案です。
 本書では拙稿三編が採用されましたが、正木さんには全てのテーマで原稿を書いていただきました。それは九州王朝通史概論ともいうべき内容で、この10年間の古田史学の会・関西例会での論争や検証を経たものです。また、古田学派の重鎮的研究者である谷本さんからもハイレベルの論文二編をいただきました。常連執筆者の服部さん、別役さんからも原稿をいただきました。いずれも読み応えのある秀作です。
 こうした論文を収録して、価格も2,200円(税別)に押さえることができました。執筆者、編集部のみなさんや明石書店の森さんに御礼申し上げます。『古代史の争点』が古代史ファンや研究者に支持され、後世に残る一冊になることを願っています。

《『古代史の争点』(『古代に真実を求めて』25集)の収録論文》
□特集 古代史の争点□
―「邪馬台国」・倭の五王・聖徳太子・大化の改新・藤原京と王朝交代―

【邪馬台国】
「邪馬台国」大和説の終焉を告げる 古賀達也
―関川尚巧著『考古学から見た邪馬台国大和説』の気概―
「邪馬台国」が行方不明となった理由 正木 裕

【倭の五王】
俾弥呼・壹與から倭の五王へ 正木 裕
コラム① 『鬼滅の刃』ブームと竈門神社 別役政光

【聖徳太子】
二人の聖徳太子「多利思北孤と利歌彌多弗利」 正木 裕
聖徳太子と仏教 ―石井公成氏に問う― 服部静尚
「鴻臚寺掌客・裴世清=隋・煬帝の遣使」説の妥当性について 谷本 茂
―『日本書紀』に於ける所謂「推古朝の遣隋使」の史料批判―
コラム② 小野妹子と冠位十二階の謎 谷本 茂
コラム③ 教科書から聖徳太子は消えるのか? 別役政光

【大化の改新】
九州王朝と大化の改新 ―盗まれた伊勢王の即位と常色の改革― 正木 裕
九州王朝の全盛期 ―伊勢王の評制施行と難波宮造営― 正木 裕
コラム④ 北部九州から出土したカットグラスと分銅 古賀達也

【藤原京と王朝交代】
王朝統合と交代の新・古代史 ―文武・元明「即位の宣命」の史料批判― 古賀達也
王朝交代の真実 ―称制と禅譲― 服部静尚
中宮天皇 ―薬師寺は九州王朝の寺― 服部静尚


第2686話 2022/02/19

七世紀の須恵器「服部編年」

 本日はドーンセンターで「古田史学の会」関西例会が開催されました。来月、3月19日(土)はアネックスパル法円坂で開催します(参加費1,000円)。
 今回の例会で見事だったのが服部静尚さんによる、飛鳥・難波・河内の七世紀の須恵器編年「服部編年」の発表でした。当研究は昨年12月に開催された大阪歴史学会考古学部会で発表されたもので、概要については同月の関西例会でも報告されましたが、今回は諸遺跡の新編年を提示・詳述されました。
 まず、服部さんは飛鳥と難波・河内の須恵器編年において、次の三点の基準を示されました。

1. 飛鳥と難波・河内は文化的に一体とみなし、これらを包含する基準とする。飛鳥編年に難波宮・狭山池を加える。
2. 各編年は須恵器「杯」に集約されると見られる。これに焦点を合わせた基準とする。杯H・G・Bの数量比率を中心に。
3. 考古学の所見を編年基準にする。年輪年代・干支年木簡を編年基準に。

 この三基準により各遺跡を編年すると、『日本書紀』の記事に基づいた従来の飛鳥編年とは全く異なる年代観が現れました。この新たな「服部編年」は基準が合理的で、杯H・G・Bの出土数量比率を中心に編年するという方法が簡明であり、その論理構造は強固(robust)です。論文発表が待たれます。

 発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔2月度関西例会の内容〕
①胡床と朝床とあぐらをかく埴輪 (大山崎町・大原重雄)
②乙巳の変と九州王朝の関係についての一考察 (茨木市・満田正賢)
③孝徳・斉明・天智期の飛鳥における考古学的空白 (八尾市・服部静尚)

(参考)
孝徳・斉明・天智期の飛鳥における考古学的空白@服部静尚@20220219@ドーンセンター@古田史学の会@29:01@DSCN0458
孝徳・斉明・天智期の飛鳥における考古学的空白@服部静尚@20220219@ドーンセンター@古田史学の会@12:41@DSCN0461
孝徳・斉明・天智期の飛鳥における考古学的空白@服部静尚@20220219@ドーンセンター@古田史学の会@09:58@DSCN0463
孝徳・斉明・天智期の飛鳥における考古学的空白@服部静尚@20220219@ドーンセンター@古田史学の会@06:32@DSCN0464

④アサクラの語源について (東大阪市・萩野秀公)
⑤長田王の「伊勢娘子の歌」は隼人討伐時に糸島でよまれた歌 (川西市・正木 裕)

◎「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円(三密回避に大部屋使用の場合は1,000円)
 03/19(土) 10:00~17:00 会場:アネックスパル法円坂
 04/16(土) 10:00~17:00 会場:ドーンセンター