第2268話 2020/10/22

『九州倭国通信』No.200のご紹介

 「九州古代史の会」の会報『九州倭国通信』No.200が届きましたので紹介します。まずは、記念すべき200号の発刊をお祝いしたいと思います。九州王朝の故地で活動されている同会は「市民の古代研究会・九州」の流れをくんだ歴史ある会です。わたしたち「古田史学の会」とは、諸事情により疎遠となっていましたが、関係者のご尽力を賜り、2016年から友好団体として交流を再開しました。互いに切磋琢磨して学問と交流を深めたいと願っています。
 同号には拙稿「九州年号『大化』金石文の真偽論 ―『大化五子年』土器の紹介―」を掲載していただきました。前号掲載の「九州年号『朱鳥』金石文の真偽論 ―三十年ぶりの鬼室神社訪問―」の続稿です。「大化五子年」土器は茨城県岩井市矢作の冨山家が所蔵しているもので、高さ約三〇センチの土師器で、その中央から下部にかけて
 「大化五子年
   二月十日」
の線刻文字が記されています。これは九州年号の「大化五子年」(699年)銘を持つ同時代金石文で、九州年号と九州王朝の実在を示す証拠の土器です。
 なお、九州には「大化元年」銘を持つ木製神獣が現存しています。大分県豊後大野市緒方町大化の大行事八幡社にあるもので、『太宰管内志』には次のように紹介されています。

 「大行事八幡社ノ社に木にて造れる獣三雙あり其一つの背面に年號を記せり大化元年と云までは見えたれど其下は消て見えず」(『太宰管内志』豊後之四・大野郡)

 ちなみに、当地地名の「大化」は、この神獣に由来するのではないでしょうか。この「大化元年」銘神獣を炭素同位体年代測定法で分析すれば、七世紀末の九州年号「大化」の同時代史料であることが判明するかもしれませんので、地元の皆様への調査協力も行いました。

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