第1233話 2016/07/16

投馬国五万戸の領域

 いつもの大阪府立大学なんばキャンパスが使用できなかったので、大阪歴史博物館の会議室で開催した本日の「古田史学の会」関西例会では、古田史学の方法論に関する大下さんの発表など刺激的な報告が続きました。評制施行時期に関する谷本さんの発表では、わたしと谷本さんとで論争となり、懇親会で服部静尚さん(古田史学の会・編集長)から感情的になりすぎるとお叱りをうけました。論争になるとついつい声が大きくなるという欠点は、還暦を過ぎてもなかなかなおりません。ごめんなさい。
 出野さんの発表で、倭人伝の投馬国を薩摩とする古田説に対して、筑前・筑後・肥前に広がる邪馬壹国の七万戸と比較して、薩摩で五万戸は無理とする出野さんからの指摘に、なるほどと思いました。懇親会でもこのことが話題となり、出野さんや大下さんと検討した結果、投馬国は薩摩だけではなく肥後も含まれていたのではないかという意見にまとまりました。最近、わたしが研究を進めている肥後の古代の見直しを、倭人伝の時代にまで遡って研究する必要を感じました。懇親会も有意義な関西例会に是非ご参加ください。
 7月例会の発表は次の通りでした。

〔7月度関西例会の内容〕
①暁鐘成(あかつきかねなる)の証言-大仁村にあった石棺(八尾市・服部静尚)
②難波宮の羅城 -暁鐘成の証言2(八尾市・服部静尚)
③「古田史学」の基本は実証主義 “学問は実証よりも論証を重んじる”について(豊中市・大下隆司)
④『住吉大社神代記』にあった「国宰」(奈良市・原幸子)
⑤古田先生は孔穎達をどう訓んでいたか(奈良市・水野孝夫)
⑥帯方郡から狗邪韓国の行程は水行か陸行か(奈良市・出野正)
⑦トリ氏出で埋められた神代巻-天照大神とその後の時代-(大阪市・西井健一郎)
⑧「評」史料の再検討(神戸市・谷本茂)
⑨実在した「イワレヒコ(神武)」-神話・伝承はある事実の反映だった-(川西市・正木裕)

○正木事務局長報告(川西市・正木裕)
 7/23 「古田史学の会」東京講演会シンポジウム(正木さん・服部さん・古賀)の案内・9/03 狭山池博物館 西川寿勝さん講演の案内・「九州古代史の会」との交流開始・7/02 四国の会講演会(正木さん)の報告・8/31 NHK文化センター特別講座(谷本茂さん)の案内・「古代史セッション」(森ノ宮)の案内・その他

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