第2231話 2020/09/15

古典の中の「都鳥」(1)

 冬になるとシベリア方面から博多湾(北部九州)に飛来する都鳥(みやこどり)と呼ばれる鳥について、「洛中洛外日記」1550話(2017/12/08)〝九州王朝の都鳥〟で紹介し、博多湾岸に九州王朝の都があったから都鳥と呼ばれるようになったと解説しました。すなわち、このミヤコドリ科の都鳥はほとんどが博多湾など北部九州にしか飛来しないことから、九州王朝説でなければ都鳥という名称の説明がつかず、九州王朝説の傍証ともいえる渡り鳥です。
 今回は、古典に見える「都鳥」を紹介し、都鳥がどのように認識されていたのかについて考察します。管見では次の『万葉集』と『伊勢物語』に見える「都鳥」が著名です。(つづく)

 「船競ふ 堀江の川の水際に 来(き)居(い)つつ鳴くは 都鳥かも」『万葉集』巻第二十 4162 (大伴宿禰家持の作)

 「さるおりしも、白き鳥の嘴(はし)と脚(あし)と赤き、鴫(しぎ)の大きなる、水のへに遊びつゝ魚をくふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡守に問ひければ、『これなん宮こ鳥』といふを聞きて、
 名にし負はば いざ事問はむ宮こ鳥 わが思ふ人は ありやなしやと
 とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。」『伊勢物語』九段 (この歌は『古今和歌集』にも収録されている。411)

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