古田史学の会一覧

第2380話 2021/02/14

『古田史学会報』162号の紹介

『古田史学会報』162号が発行されましたので紹介します。今号も力作好論ぞろいです。
一面を飾った正木稿は、多利思北孤とその前代の高良玉垂命との関係を論じたもので、古田説では別系統の九州年号とされている「始哭」は年号ではなく、高良玉垂命崩御の葬礼行事のこととされました。
西村稿では、「古田史学の会」研究者間で論争となっている「天皇」称号について、九州王朝の時代は九州王朝の天子の別称とする古田新説の根拠として、当時の唐の用例(「皇帝」よりも「天皇」が上位)を新たに指摘されました。
他方、日野稿では、「船王後墓誌」などの金石文を根拠として、六世紀から七世紀初頭の大和政権での天皇号採用を支持され、その勢力範囲について論じられました。日野さんは通説の先行研究や新説にも目配りされており、大学で国史を専攻された実力を感じさせる論稿でした。
藤井稿は会報前号に掲載された野田稿を批判されたもので、今後の真摯な論議検証が期待されます。
大原稿は古代の事件と火山噴火の関係についての諸説を紹介されたもので、九州王朝史研究への応用の可能性を示唆されました。
わたしの論稿では、近年発見が続いている弥生時代の硯に文字が記されていたとする久住猛雄さんの研究を紹介しました。

162号に掲載された論稿は次の通りです。投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚程度)に配慮され、テーマを絞り込んだ簡潔な原稿とされるようお願いします。

【『古田史学会報』162号の内容】
○「高良玉垂大菩薩」から「菩薩天子多利思北孤」へ 川西市 正木 裕
○野田氏の「女王国論」について 神戸市 藤井謙介
○大噴火と天岩戸神話と埴輪祭祀 京都府大山崎町 大原重雄
○六世紀から七世紀初頭の大和政権 「船王後墓誌」銘文の一解釈 たつの市 日野智貴
○田和山遺跡出土「文字」板石硯の画期 京都市 古賀達也
○「天皇」「皇子」称号について 高松市 西村秀己
○「壹」から始める古田史学・二十八
多利思北孤の時代Ⅴ ―多元史観で見直す「捕鳥部萬討伐譚」― 古田史学の会・事務局長 正木 裕
○『古田史学会報』原稿募集
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○古田史学の会・関西例会のご案内
○各種講演会のお知らせ
○割付担当の穴埋めヨタ話 「春秋」とは何か? 西村秀己


第2365話 2021/02/01

『東京古田会ニュース』196号の紹介

 本日、『東京古田会ニュース』196号が届きました。昨年11月に開催された八王子セミナー(古田武彦記念古代史セミナー2020)の報告が、同セミナーの実行委員をされている荻野谷正博さん(川崎市)からなされ、わたしや正木裕さん(古田史学の会・事務局長)の研究発表内容を好意的に紹介していただきました。
 同号には服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集長)の論稿「飛鳥から国が始まったのか」が掲載されています。同稿で服部さんは飛鳥や藤原京出土干支木簡の年次に焦点を当て、「発掘成果からは、七世紀後半六六六年以降に、飛鳥が列島を代表するレベルの政治の中心地になっていったと考えられる」とされ、「壬申の乱の後、大和飛鳥が天皇家の本拠地となったものと考えるのが妥当でしょう。それはつまり、天武天皇が壬申の乱(六七二)後、ここを本拠地として勢力拡大を進めたということになります。」と指摘されています。そして、「それ以前に中国史書が伝える倭国が存在したのですから、『飛鳥から国が始まった』とはならない」と一元史観の通説を批判されています。
 七世紀後半から末期にかけての九州王朝から大和朝廷への王朝交代の実相を明らかにするうえで、こうした諸仮説が発表されることは学問研究にとって大切と思いました。


第2361話 2021/01/28

『九州倭国通信』No.201の紹介

 「九州古代史の会」の会報『九州倭国通信』No.201が届きましたので紹介します。同号には拙稿「縄文海進と幻の糸島水道 ―九州大学・物理学者との邂逅―」を掲載していただきました。九州大学の三人の物理学者との思い出を紹介させていただいたものです。その三人とは、上村正康先生と長谷川宗武先生、そして北村泰一先生(現九州大学名誉教授)です。
 上村先生は、一九九一年十一月に福岡市で開催された物理学の国際学会の晩餐会で古田説(邪馬壹国博多湾岸説、九州王朝説)を英語で紹介(GOLD SEAL AND KYUSHU DYNASTY:金印と九州王朝)され、世界の物理学者から注目を浴びられたことで、古くからの古田ファンには有名な方です。その講演録は「古田史学の会」のホームページ「新古代学の扉」に掲載されています。
 長谷川先生は上村先生と同じ研究室におられた方で、ご著書『倭国はここにあった 人文地理学的な論証』(ペンネーム谷川修。白江庵書房、二〇一八年十二月)を贈っていただき、お付き合いが始まりました。同書の主テーマは、飯盛山と宝満山々頂が同一緯度にあり、その東西線上に須久岡本遺跡・吉武高木遺跡・三雲南小路遺跡・細石神社が並んでいるというものです。この遺跡の位置関係は、太陽信仰を持つ九州王朝が弥生時代から太陽の動きに関心を持ち、測量技術を有していたことを示しています。
 北村先生も古くからの古田ファンです。若い頃、京大山岳部に所属され、同大学院生時代に第一~三次南極越冬隊にオーロラ観測と犬ぞりのカラフト犬担当係として最年少隊員(二五歳)で参加され、第三次越冬隊のとき、昭和基地でタロー・ジローと奇跡の再会をされたことは有名です。この先生方との出会いや想い出を書かせていただきました。
 同号には服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集長)の論稿「九州王朝天子よりの禅譲で文武天皇は即位した」も掲載されていました。九州王朝から大和朝廷への禅譲説を新たな視点で論述されたものです。このテーマについては古田学派の研究者から諸説が発表されており、研究の深化が進んでいます。


第2355話 2021/01/20

『卑弥呼と邪馬壹国』初校の校正

 今春発行予定の会誌『卑弥呼と邪馬壹国 ―古田武彦『「邪馬台国」はなかった』発刊五〇周年―』(『古代に真実を求めて』24集)の初校が明石書店から各執筆者に届き、わたしもようやく初校ゲラの校正をし、ついでに若干の推敲もしました。校正作業では、茂山憲史さん(『古代に真実を求めて』編集部)のご協力をいただきました。ありがとうございます。
 論文の内容には満足していますが、文章が充分にはこなれておらず、やや不満足な推敲になってしまいました。わたしの文章力不足については、読者の皆さんに申し訳なく思っています。
 しかし拙稿はともかく、同書は古田武彦先生の古代史処女作『「邪馬台国」はなかった』発刊五〇周年を言祝ぐにふさわしい秀逸の論文が多数収録されます。「古田史学の会」2020年度賛助会員(年会費5,000円。『古田史学会報』隔月刊のみの一般会員は同3,000円)には発行後(四月以降になると思います)に送付しますので、お楽しみに。アマゾンや書店でのご注文も可能です。
 また、同書発行を機会に「古田史学の会」へご入会いただければ幸いです。入会方法は「古田史学の会」ホームページ「新古代学の扉」トップ画面をご参照下さい。


第2352話 2021/01/17

倭人伝〝道行き読法〟の「至」と「到」

 昨日の令和三年新春古代史講演会では次の三つの講演がありました。いずれも、「古田史学の会」の研究者による最先端研究の報告でした。

①古賀達也  古代戸籍に見える二倍年暦の痕跡
②谷本 茂さん 「邪馬台国」位置論と〝道行き読法〟の今日的意義
③正木 裕さん 改めて確認された「博多湾岸邪馬壹国説」

 今回の講演会では、古田先生が提唱された『三国志』倭人伝における〝道行き読法〟の素晴らしさを、谷本さんの発表により改めて認識させられました。なかでも、「至」と「到」の字義の違いに着目された解説は見事なもので、驚きました。
 倭人伝の行程記事には「いたる」という動詞に「至」と「到」が使用されていますが、谷本さんの説明によれば、直線的に目的地へいたる場合は「至」が使用され、曲線的にまわっていたる場合には「到」が使用されているとのことでした。倭人伝には次の二例で「到」が使われており、それらは〝道行き読法〟や曲線コースを示すケースであり、直線的に目的地へいたる「至」の場合とは区別して使用されています。

○歷韓國、乍南乍東、到其北岸狗邪韓國
○東南陸行五百里、到伊都國

 古田説では、狗邪韓國へは韓国内を南へ東へとジグザクに陸行するとされ、直接コースではありません。伊都国へも末盧国から一旦は東南方向へ道沿いに始発するという曲線コースです。その古田説に対応するかのようにこの2ケースのみに「到」が使われているわけです。
 この「至」と「到」の使い分けという説は谷本さんが発見されたのですかと、講演後にお聞きしたところ、漢字辞典にそのような字義の説明があるとのことでした。そこで『新漢和辞典』(大修館)を確認したところ、次の説明がありました。

 「到 (中略)
 〔解字〕形声。至(いたる)が意符。刀(トウ)が音符で、また、ぐるりとまわる意を表す。ぐるりとまわって、いたり着く意。」

 この字義に気づかれた谷本さんに脱帽するとともに、古田説がいかに優れたものであるかを改めて認識しました。冥界の先生もこの講演を喜んでいただいていると思います。
 最後に、緊急事態宣言下にもかかわらずご来場いただいた皆様に心より御礼申し上げます。「古田史学の会」としましては、会場使用が可能であれば、コロナ感染予防対策をとりながら、これからも講演会や例会活動を続ける所存です。会員の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。


第2351話 2021/01/16

仏法僧の受戒・得度制度の多元史観

 本日、i-siteなんば(大阪府立大学なんばサテライト 2F)にて「古田史学の会」関西例会が開催されました。次回はドーンセンターで開催します。今回の例会でも、Zoomシステムによるハイブリッド型(会場参加+リモート参加)例会のテストを実施しました。リモート配信システムが完成しつつありますので、関西例会リモート参加費・同規定(参加資格)などの運用面と必要経費負担(イニシャルコスト・ランニングコスト)について検討・調整を進めています。

 今回の三つの研究報告はいずれも新たな分野・視点を含むもので、優れた発表でした。その中でも日野さんによる、古代日本における仏教政策や仏教教団の実態に迫り、九州王朝の仏教政策(戒壇)の調査分析する試みは先駆的でした。他方、大和朝廷の僧侶の授戒・得度政策に矛盾(私度僧はいやだが、鑑真和上渡来以前は「自誓受戒」が行われていた)があることを指摘され、それが九州王朝仏教政策を否定するための〝苦肉の策〟とする仮説は示唆的でした。この分野の研究は古田学派としては初めてではないでしょうか。研究の進展と論文発表が待たれます。

 午後からは令和三年新春古代史講演会があるため、発表は午前中だけとなりました。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔1月度関西例会の内容〕
①九州王朝の戒壇と僧伽(サンガ)(たつの市・日野智貴)
②縄文一万年のマラソンランナーの実相(大山崎町・大原重雄)
③野中寺彌勒菩薩像銘と女帝(八尾市・服部静尚)

◎「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費1,000円(「三密」回避に大部屋使用の場合)
02/20(土) 10:00~17:00 会場:ドーンセンター
03/20(土) 10:00~17:00 会場:福島区民センター(※参加費500円)

《関西各講演会・研究会のご案内》
◆「市民古代史の会・京都」講演会 会場:キャンパスプラザ京都 参加費500円
2月講演〔中止〕

◆「古代大和史研究会」特別講演会(原 幸子代表) 参加費500円
02/03(水) 13:00~17:00 会場:松慶山 浄照寺(近鉄田原本町駅東口から徒歩2分)
《第一部》「能楽の中の古代史」(1)
謡曲「羽衣」に秘められた古代史 講師:正木 裕さん(大阪府立大学講師)
《第二部》聖徳太子と金光明経 講師:服部静尚さん(『盗まれた「聖徳太子」伝承』『倭国古伝』編集長)

02/23(火) 10:00~12:00 会場:奈良新聞本社西館3階
「多利思北孤の時代」 講師:正木 裕さん(大阪府立大学講師)

◆「古代史講演会in八尾」 会場:八尾市文化会館プリズムホール 参加費500円
03/13(土) 14:00~16:30 「天皇と三種の神器」「王朝交代」 講師:服部静尚さん

◆「和泉史談会」講演会 会場:和泉市コミュニティーセンター(中集会室)
2月講演〔中止〕

◆誰も知らなかった古代史の会 会場:福島区民センター 参加費500円
02/02(火) 18:30~20:00 「聖徳太子の実像 ―1400回忌を迎えて」 講師:正木 裕さん


第2341話 2021/01/06

奈良新聞に「古田史学の会」名刺広告を掲載

 令和3年1月3日付の奈良新聞に「古田史学の会」名刺広告が掲載されましたので、お知らせします。そのお隣には関西例会に常連参加されている原幸子さんが代表をされている「古代大和史研究会」も出されていました。奈良県には古代史ファンが多いと聞いていますので、新年も多くの方が古田史学に接していただければ幸いです。


第2340話 2021/01/05

1月16日(土) 新春古代史講演会のご案内済み

 既にお知らせしていますように、来る1月16日(土)に新春古代史講演会を開催します。本年は、古田武彦著『「邪馬台国」はなかった』発刊から50周年を記念して、同書によせた講演三題をお届けします。古田先生が提唱された邪馬壹国説における最新研究を「古田史学の会」の研究者3名が発表します。

 わたしからは、倭人伝に記された倭国の二倍年暦が古代戸籍(大宝二年籍)にまで影響が及んでいることを報告させていただきます。正木裕さん(古田史学の会・事務局長、大阪府立大学講師)からは、邪馬壹国博多湾岸説を証明する最新の考古学的成果などが紹介されます。谷本茂さん(古田史学の会・会員)からは、「古田史学の会」関西例会でも注目され論争にもなった投馬国・狗奴国に関する新説が発表されます。
 昨年から続くコロナ禍の中での講演会ですが、広い会場を使用して三密を回避し、手指の消毒・マスク着用の要請などの対策をとります。お誘い合わせの上、ご参加いただきますようお願い申し上げます。なお、コロナの影響により緊急中止の恐れもありますので、ホームページにご注意いただきますようお願い申し上げます。

 古田史学の会 令和三年新春古代史講演会
 ~『「邪馬台国」はなかった』発刊50周年によせて~

□日時 1月16日(土) 13:30~17:00 (開場13時)

□会場 I-site なんば 大阪府立大学なんばサテライト
〔アクセス〕
○地下鉄大国町駅(御堂筋線・四つ橋線)1号出口より東約450m 徒歩7分
○南海電鉄難波駅なんばパークス方面出口より南約800m 徒歩12分
○地下鉄なんば駅(御堂筋線)5号出口より南約1,000m 徒歩15分

□参加費(資料代) 千円 ※午前中の「古田史学の会」関西例会にも参加できます。

□主催:古田史学の会 協力:古代大和史研究会 誰も知らなかった古代史の会 和泉史談会 市民古代史の会・京都 市民古代史の会・八尾

□講師と演題
 谷本 茂 「道行読法」と投馬国・狗奴国の位置
 正木 裕 改めて確認された「博多湾岸邪馬壹国説」
 古賀達也 古代戸籍に見える二倍年暦の痕跡


第2334話 2020/12/30

『多元』No.161の紹介

 先日、友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.161が届きました。拙稿「アマビエ伝承と九州王朝」を掲載していただきました。コロナ禍の中、注目されたアマビエ伝承と九州王朝との関係について論じたものです。
 肥後の海に現れたとする「アマビエ」の元々の名前は「アマビコ」であり、「コ」が「ユ」と誤記誤伝され「アマビユ」になり、更に「ユ」が「エ」と誤記誤伝され「アマビエ」になったと考え、本来は肥後の古代伝承にある「蜑(アマ)の長者」のことではないかとしました。もちろん、この「蜑の長者」とは九州王朝の王族のことです(注)。
 当号には、大墨伸明さん(鎌倉市)による「古田武彦記念古代史セミナー2020の開催報告」が掲載されていました。本年11月に開催された同セミナーの報告が要領良くなされています。わたしは古代戸籍に遺る二倍年暦(二倍年齢)の痕跡について報告しましたが、発表時間が30分と短かったので、A4で20頁に及んだ予稿集の内容全てを説明することができませんでした。新年になりましたら、「洛中洛外日記」で拙論の論理構造と学問の方法に焦点を当てて、わかりやすく解説したいと思います。

(注)「洛中洛外日記」2212~2215話(2020/08/24~27)「アマビエ伝承と九州王朝(1~4)」


第2327話 2020/12/19

ハイブリット型リモート例会のテスト実施

 本日、ドーンセンターにて「古田史学の会」関西例会が開催されました。次回は01/16(土)に関西例会(午前)と新春古代史講演会(午後)をi-siteなんば(大阪府立大学なんばサテライト 2F)で開催します。参加費は終日でも1,000円です。ふるってご参加下さい。広めの会場を確保し、コロナ対策は従来通り実施します。

 今回の例会では、久冨直子さん(『古代に真実を求めて』編集部)の企画立案に基づき、多くの機材を会場に持ち込んで、Zoomシステムによるハイブリット型(会場参加+リモート参加)例会のテストを実施しました。持ち込んだ主な機材は、パソコン4台・撮影用カメラ3台・高性能集音マイク2基・Zoom画面映写用プロジェクター・レジュメPDF化用スキャナー・端末切り替えスイッチャーなどで、10時からの例会に間に合うよう、早朝から機材を搬入しました。このシステム選定にあたっては、11月に開催された八王子セミナー(古田武彦記念古代史セミナー2020)のハイブリッド型システムを参考にさせていただきました。
 ハウリングなど若干の音響トラブルが発生しましたが、全般的には好調な滑り出しでした。機器・システムの運転管理をしていただいた竹村順弘さん(古田史学の会・事務局次長)と久冨さん、関東からリモートテストに参加された冨川ケイ子さん(古田史学の会・全国世話人)をはじめ、会場でのリモート参加テストをしていただいた茂山憲史さん(『古代に真実を求めて』編集部)他、ご協力頂いた皆さん、ならびに機材を持ち寄っていただいた方々に御礼申し上げます。
 今回得た知見に基づき、引き続きテストを実施する予定です。ハード面での安定したシステム構築ができましたら、関西例会リモート参加費・同規定などの運用面の検討を行います。必要経費(ランニングコスト)については、関西例会参加者からの参加費により賄えるとのことです。いよいよ、わたしたち「古田史学の会」も新たなステージに立つ時代を迎えました。全国の会員の皆様のご支援をお願い申し上げます。

 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔12月度関西例会の内容〕
①十二年後差説による九州王朝系近江朝(たつの市・日野智貴)
②倭姫王と額田王(茨木市・満田正賢)
③大陸棚地の移住民(大山崎町・大原重雄)
④大化年号の検討 野中寺彌勒菩薩像を見て(八尾市・服部静尚)
⑤飛鳥から国が始まったのか(八尾市・服部静尚)
⑥トカラ記事と「驛」記事(東大阪市・萩野秀公)
⑦「鬼滅の刃」と九州王朝(京都市・古賀達也)
⑧法隆寺金堂「薬師如来坐像」は利歌彌多弗利の為に造立された(川西市・正木 裕)

◎事務局長報告(正木事務局長)
関西各地の講演会の案内

◆「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費1,000円(「三密」回避に大部屋使用のため)
 01/16(土) 10:00~12:00 会場:i-siteなんば ※午後は新春古代史講演会
02/20(土) 10:00~17:00 会場:福島区民センター(※参加費500円)

◆新春古代史講演会 2021年1月16日(土) 13:30~17:00 (受付開始13:00) 会場:i-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス) 参加費1,000円 ※午前は関西例会。午前・午後通しの参加費も1,000円です。
 ①「道行き読法」と投馬国・狗奴国の位置〈仮題〉
  講師:谷本 茂さん(古田史学の会・会員)
 ②裏付けられた「邪馬壹国の中心は博多湾岸」〈仮題〉
  講師:正木 裕さん(古田史学の会・事務局長、大阪府立大学講師)
 ③古代戸籍に遺された二倍年暦の痕跡 ―『大宝二年籍』『延喜二年籍』の史料批判―〈仮題〉
  講師:古賀達也(古田史学の会・代表)

《各講演会・研究会のご案内》
◆「市民古代史の会・京都」講演会 会場:キャンパスプラザ京都 参加費500円
 12/22(火) 18:30~20:00 「古代戸籍に記された超・長寿社会の謎 ―『大宝二年籍』『延喜二年籍』の真相―」 講師:古賀達也

◆「古代大和史研究会」講演会(原 幸子代表) 参加費500円
 12/22(火) 10:00~12:00 会場:奈良県立図書情報館交流ホールBC室
    「多利思北孤の時代⑤」 講師:正木 裕さん

◆「古代史講演会in八尾」 会場:八尾市文化会館プリズムホール 参加費500円
 01/09(土) 14:00~16:30 「白村江での敗戦と唐からやってきた進駐軍」「筑紫都督府と壬申の乱」 講師:服部静尚さん
 03/13(土) 14:00~16:30 「天皇と三種の神器」「王朝交代」 講師:服部静尚さん

◆「和泉史談会」講演会 会場:和泉市コミュニティーセンター(中集会室)
 01/12(火) 14:00~16:00 「河内・和泉の大王と丁未の乱」 講師:正木 裕さん

◆誰も知らなかった古代史の会 会場:福島区民センター 参加費500円
 02/02(火) 18:30~20:00 「未定」


第2322話 2020/12/15

『古田史学会報』161号の紹介

 昨日、『古田史学会報』161号が届きましたので紹介します。わたしは「王朝交替のキーパーソン「天智天皇」 ―鹿児島の天智と千葉の大友皇子―」を発表しましたが、今回も力作がそろいました。また、編集部で採否や修正の意見が従来になくたくさん出されました。採用審査が厳しい『古田史学会報』ではありますが、そうしたハードルを越えて掲載された論稿に、各執筆者の熱意を感じました。

 一面を飾った野田稿は関西例会で発表されたテーマで、従来の古田説(倭人伝行程問題)にはなかった貴重な異見提起が含まれており、別途、紹介論述したいと考えています。

 服部稿も関西例会で発表されたものです。『日本書紀』に見える「称制」に的を絞り、近年、「古田史学の会」の論者間で研究課題となっている、九州王朝から大和朝廷への王朝交替の実態を、骨太な視点で論じたものです。今後の詳細な論究が期待されます。

 正木さんによる九州王朝史の連載も多利思北孤の時代に入っており、連載完了時には通史として書籍化が期待されます。

 161号に掲載された論稿は次の通りです。投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚程度)に配慮され、テーマを絞り込んだ簡潔な原稿とされるようお願いします。

【『古田史学会報』161号の内容】
○女王国論 姫路市 野田利郎
○新春古代史講演会のお知らせ 2021年1月16日 i-siteなんば 2F
講師 谷本茂さん・正木裕さん・古賀達也
○称制とは何か 八尾市 服部静尚
○王朝交替のキーパーソン「天智天皇」 ―鹿児島の天智と千葉の大友皇子― 京都市 古賀達也
○戦後史学は「神武天皇実在説」にどう反応したのか たつの市 日野智貴
○「壹」から始める古田史学・二十七
多利思北孤の時代Ⅳ ―多元史観で見直す「蘇我・物部戦争(丁未の乱)」― 古田史学の会・事務局長 正木 裕
○『古田史学会報』原稿募集
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○古田史学の会・関西例会のご案内
○各種講演会のお知らせ
○2020年度会費納入のお願い
○編集後記 西村秀己


第2319話 2020/12/13

リモート会議のテスト

 昨晩、Zoomシステムを使用して、「古田史学の会」の役員・編集部員有志によるリモート会議のテストを実施しました。久冨直子さん(『古代に真実を求めて』編集部)のご提案と準備によるもので、「古田史学の会」としては初めての試みでしたが、大きなトラブルもなく、わりとスムーズに行えました。わたしは仕事でTeamsを使ったことはあるのですが、Zoomは初めてで若干不安でしたが、画像が左右反転していたことを除けば、画質も音質も問題ありませんでした。
 このシステムは「古田史学の会」役員会や四役会議にも使えそうです。今まで、「古田史学の会」の運営や意思決定のために、役員会は関西例会の会場でお昼休みに開催していました(例会に参加されている一般の会員もおられる中でのオープンな会議です)。コロナ禍のため、関西例会が開けなくなったときは、役員会も開催できず困っていましたが、これからはリモート会議で緊急時の対応ができそうです。
 わたしはZoomにまだ不慣れですので、皆さんに教えていただきながら参加します。将来的には古田史学の発信などにも使用できればと期待しています。準備にご尽力いただいた久冨さんや正木事務局長、横田さん(インターネット事務局)、テストにご参加いただいた方々に御礼申し上げます。