2018年07月一覧

第1704話 2018/07/08

古田武彦記念 古代史セミナーのお知らせ

 「古田記念古代史セミナー2018」が八王子の大学セミナーハウスにて開催されます。詳細は同ホームページをご参照ください。正木裕さん(古田史学の会・事務局長)も研究発表されます。主催は大学セミナーハウスで、東京古田会・多元的古代研究会・古田史学の会の共催です。参加お申し込みは、大学セミナーハウスHPから可能です。

■日程 2018年11月10日(土)〜11日(日)
■参加対象 このセミナーに関心のある方ならどなたでも参加できます。
■定員 60名(先着順)
■参加費 15,000円・学生7,500円(宿泊・食事・資料代、消費税を含みます。)
■会場 大学セミナーハウス(東京都八王子市下柚木1987-1)
■申込方法 WEB上の申込フォームからお申し込みください。なお、他の申込方法を希望される方は、下記までお電話ください。
■申込締切 2018年11月2日(金)
■お問い合わせ公益財団法人
大学セミナーハウス・セミナー事業部
TEL:042-677-0141(直)FAX:042-676-1220(代)
E-mail:seminar@seminarhouse.or.jp
URL:https://iush.jp/
〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1
■趣旨
 2004年から2014年まで、毎年11月上旬に、八王子の大学セミナーハウスに古田武彦先生をお招きして、1泊2日の「古代史セミナー 古田武彦先生を囲んで 日本古代史新考 自由自在」を開催致しました。その内容は、『TAGEN』、『東京古田会ニュース』、『古田史学会報』等に報告されています。更に、2004年から2012年までの内容は、平松健氏によってテーマ別に整理し直して編集され『古田武彦が語る多元史観』(ミネルヴァ書房)として刊行されています。その「はしがき」において古田先生は、「我が国の歴史教育を真実に戻すことが、この一書の役割である」と絶賛していらっしゃいます。また、セミナーの様子は西坂久和氏により完全収録され、西坂ビデオライブラリーに収められており、古田先生のあの情熱溢れるセミナーの様子はいつでも再現することが出来ます。
 あのセミナーの内容は、研究者達から「八王子セミナー」として頻繁に引用され続けています。このことは、あのセミナーの内容が豊富であり、学術的に重要であったことの証です。主催した者としては、これに勝る喜びはありません。
 古田武彦先生がお亡くなりになって2年半が経過しましたが、この間も、古田先生に学んだ古代史学の研究者達による研究が活発に進展し続けていることは悦ばしい限りです。
 あの「八王子セミナー」と同じ場所で、同じ時期に、同じ日程で古代史セミナーを開催することを企画致しました。今回のセミナーは、タイトルを「古田武彦記念古代史セミナー」としました。その趣旨は、「古田武彦先生を囲んで」、つまり、古代史学の研究を進めるに当たっては、古田先生の方法論と業績を踏まえることが重要であると考えるからです。このセミナーにおいて、「古代史学における古田先生の方法論と業績を再確認」しながら、活発な研究交流が行われることを期待しております。
 このセミナーの企画に当たり、学術的な部分については多元的古代研究会、東京古田会及び古田史学の会に御検討頂き、大学セミナーハウスと共同で開催することに致しました。(実行委員長・荻上紘一)
■特別講演
ユーラシア世界史と倭人
山田宗睦先生(哲学者)
■スケジュール
11月10日(土)
 11:30〜 受付・昼食
 13:00〜 開会(挨拶・古田光河様)
13:30〜 特別講演(山田宗睦先生)
15:30〜 記念撮影、チェックイン
 16:00〜 研究発表Ⅰ(和田家文書の世界)
17:30〜 夕食、休憩
18:30〜 情報交換会
11月11日(日)
9:00〜 研究発表Ⅱ(倭国から日本国へ)
12:00〜 昼食、休憩
13:00〜 研究発表Ⅱ(質疑応答)
14:10〜 研究発表Ⅲ(自由テーマ)
16:10〜 閉会
16:30 解散

■研究発表
Ⅰ 和田家文書の世界
 西坂 久和 秋田孝季の妹である和田りくの筆跡について
 菊地 栄吾 研究ノート「アラハバキ考」
 安彦 克己 浄土宗知恩院発行 金光上人関係伝承資料集を批判する
Ⅱ 倭国から日本国へ
 合田 洋一 『葬られた驚愕の古代史』―越智国に“九州王朝の首都”紫宸殿ありや
 鈴岡 潤一 西暦700年の〈倭国溶暗〉と地方政治の展開
 正木  裕 7世紀末の倭国(九州王朝)から日本国(大和朝廷)への権力移行
 中村 通敏 郭務ソウはどこにいたか?
 橋本 正浩 日本書紀編纂の目的と古事記の役割―九州と近畿における地名の類似性から見えてくる大和政権の思惑
 上城  誠 古田先生の史料批判について(大宰府出土戸籍木簡に関連して)
Ⅲ 自由テーマ
 藤井 政昭 関東の日本武尊
 鈴木   浩 ユーラシア大陸の縄文語地名
 平松 幸一 虚大古墳の時代
 大下 隆司 古田武彦氏の学問の方法について
 角田 彰男 大分県の国宝 臼杵石仏は九州王朝時代に彫られた大規模磨崖仏遺跡である
 吉村八洲男 「しなの」の国から見る「磐井の乱」


第1703話 2018/07/01

佐藤弘夫『アマテラスの変貌』を再読

 この数日、佐藤弘夫さんの『アマテラスの変貌 -中世神仏交渉史の視座-』(法蔵館、2000年)を再読しています。著者の佐藤さんは東北大学で日本思想史を学ばれ、特に中世思想史・宗教史の分野では多くの業績をあげられている著名な研究者です。その佐藤先生との出会いについて、「洛中洛外日記」1104話(2015/12/10)で触れていますので再掲します。

「佐藤弘夫先生からの追悼文」
 東北大学の古田先生の後輩にあたる佐藤弘夫さん(東北大学教授)から古田先生の追悼文をいただきました。とても立派な追悼文で、古田先生との出会いから、その学問の影響についても綴られていました。中でも古田先生の『親鸞思想』(冨山房)を大学4年生のとき初めて読まれた感想を次のように記されています。
 「ひとたび読み始めると、まさに驚きの連続でした。飽くなき執念をもって史料を渉猟し、そこに沈潜していく求道の姿勢。一切の先入観を排し、既存の学問の常識を超えた発想にもとづく方法論の追求。精緻な論証を踏まえて提唱される大胆な仮説。そして、それらのすべての作業に命を吹き込む、文章に込められた熱い気迫。--『親鸞思想』は私に、それまで知らなかった研究の魅力を示してくれました。読了したあとの興奮と感動を、私はいまでもありありと思い出すことができます。学問が人を感動させる力を持つことを、その力を持たなければならないことを、私はこの本を通じて知ることができたのです。」
 佐藤先生のこの感動こそ、わたしたち古田学派の多くが『「邪馬台国」はなかった』を初めて読んだときのものと同じではないでしょうか。
 わたしが初めて佐藤先生を知ったのは、京都府立総合資料館で佐藤先生の日蓮遺文に関する研究論文を偶然読んだときのことでした。それは「国主」という言葉を日蓮は「天皇」の意味で使用しているのか、「将軍」の意味で使用しているのかを、膨大な日蓮遺文の中から全ての「国主」の用例を調査して、結論を求めるという論文でした。その学問の方法が古田先生の『三国志』の中の「壹」と「臺」を全て抜き出すという方法と酷似していたため、古田先生にその論文を報告したのです。そうしたら、佐藤先生は東北大学の後輩であり、日本思想史学会などで旧知の間柄だと、古田先生は言われたのです。それでわたしは「なるほど」と納得したのでした。佐藤先生も古田先生の学問の方法論を受け継がれていたのです。
 その後、わたしは古田先生のご紹介で日本思想史学会に入会し、京都大学などで開催された同学会で佐藤先生とお会いすることとなりました。佐藤先生は同学会の会長も歴任され、押しも押されぬ日本思想史学の重鎮となられ、日蓮研究では日本を代表する研究者です。【以下略】

 今回、佐藤さんの『アマテラスの変貌』を改めて読みはじめたのは、中世における「神仏習合」「本地垂迹」思想について詳しく知りたかったからです。というのも、現在、取り組んでいる太宰府観世音寺研究において精査した「観世音寺古図」に描かれた鳥居に強い興味を抱いたためです。この「古図」が創建時の観世音寺の姿を描いたものであれば、九州王朝の時代に仏教寺院の正門前に鳥居が付設されたこととなり、平安時代後期から盛んになる「本地垂迹」思想の淵源が古代の九州王朝にまで遡るかもしれないのです。
 この「観世音寺古図」の書写は室町時代の大永六年(1526)であることが判明しており、平安時代の観世音寺の姿が描かれているとされています。わたしは更に遡り、部分的には8世紀初頭の「養老絵図」を書写したのではいかと考えていますので、もし鳥居部分がそうであれば、九州王朝の宗教思想を探る手がかりとなるかもしれません。
 こうした九州王朝の宗教思想研究に入るに当たり、まず中世の「神仏習合」「本地垂迹」思想について勉強しておく必要を感じ、その分野の専門家である佐藤さんの著書を書棚から探し出し、再読を始めたものです。(つづく)


第1702話 2018/07/01

6月に配信した「洛中洛外日記【号外】」

 6月に配信した「洛中洛外日記【号外】」のタイトルをご紹介します。
 配信をご希望される「古田史学の会」会員は担当(竹村順弘事務局次長 yorihiro.takemura@gmail.com)まで、会員番号を添えてメールでお申し込みください。
 ※「洛中洛外日記」「同【号外】」のメール配信は「古田史学の会」会員限定サービスです。

《7月「洛中洛外日記【号外】」配信タイトル》
2018/06/02 岡崎の京都府立図書館を偵察
2018/06/12 和歌山県海南市を初訪問
2018/06/21 『古代に真実を求めて』初版増部の交渉
2018/06/30 「観世音寺古図」に描かれた鳥居