2006年08月一覧

第95話 2006/08/22

白雉改元と前期難波宮

 昨年から今年にかけて、私は『日本書紀』白雉改元記事の史料批判から、あるいは前期難波宮の規模や様式などから、この難波宮を九州王朝の副都とする仮説を展開してきました。19日の関西例会でも最新の発見について報告しましたが、そのおり竹村順弘さんから、兵庫県南部に白雉年間創建の寺院が多いことを教えていただきました。この事実も難波宮建設と関連が深いと思われますが、「元壬子年」木簡の出土地も芦屋市だったことを考えると、なかなか興味深い現象です。
 今回の例会もバラエティーに富んだ内容で、毎回充実した例会となっています。例会後の二次会も参加者が多く賑やかですが、最近では三次会も参加者が多く場所探しが大変でした。また、二次会から参加される「熱心」な方もおられ、驚かされます。例会の内容は次の通りです。

〔古田史学の会・8月度関西例会の内容〕
○ビデオ鑑賞 歴史でたどる日本の古寺名刹「海の道」
○研究発表
1. 孔明「出師の表」と岳飛・『なかった─真実の歴史学』創刊号を見て・守備範囲外(豊中市・木村賢司)
2. 「速吸門」についての若干の整理(川西市・正木裕)
3. サヌカイトと屋島訪問ー古田武彦先生同行記ー(豊中市・大下隆司)
4. 続・白雉改元の史料批判(京都市・古賀達也)
5. 熊本県浄水寺の平安時代石碑2(相模原市・冨川ケイ子)
6. さ迷える五十鈴の宮(大阪市・西井健一郎)

○水野代表報告
 古田氏近況・会務報告・阿胡根能浦は鹿児島県阿久根市か・他(奈良市・水野孝夫)


第94話 2006/08/16

水鏡天満宮と櫛田神社

 お盆休みは、同窓会(久留米高専・化学科11期)に出席するために帰省しました。途中、福岡で友人と会うために博多駅で下車し、炎天下の博多の町を天神 まで歩きました。その時、水鏡天満宮の前を通りました。鳥居に掲げられた「天満宮」の額の文字は、いわゆるA級戦犯とされ、刑死した広田弘毅(総理大臣・ 外相)が11歳の時に書いたものです。

 博多祇園山笠で有名な櫛田神社の境内も通り抜けたのですが、社殿などが工事中で、その説明板には「1250年記念改修」というようなことが記されていま した。それを見て、そうすると同社鎮座は756年になるけれど、私は7世紀末頃だったと記憶していたので、京都に戻ってから調べてみました。
 『筑前国続風土記』には天平宝字元年(756)に勧請されたとありますから、ちょうど1250年前です。しかし、『筑前国続風土記拾遺』には中巌円月の書が引用されており、それには「持統天皇朱雀中之建也」とあります。朱雀は九州年号で、684〜685年のことですから、私はこちらの説を記憶していたので した。
  どうも櫛田神社の歴史も九州王朝と関係が深そうです。機会があれば調査研究したいものです。中巌円月の名前は冨川ケイ子さんの研究で知ったのですが(第67話「鎌倉時代の学問弾圧」を参照)、朱雀という九州年号とともに、ここに中巌円月の名前が出てきたことにちょっと驚きました。