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第459話 2012/08/26

『日本帝皇年代記』の九州王朝記事

 阿部周一さん(古田史学の会・会員)から教えていただいた『日本帝皇年代記』は様々な史料を寄せ集めて編集されていますが、その中に九州王朝系史料からの引用と思われるものが散見されます。それらの史料批判により九州王朝史の復元に寄与できそうです。それら九州王朝記事についてご紹介します。
 九州王朝系記事として注目さるのが、白雉・白鳳・朱雀・朱鳥の九州年号改元記事です。白雉は「壬子白雉」(652)の下の細注に「依長門国上白雉也」と、長門国からの白雉献上に基づいて改元したとあります。この白雉献上記事は『日本書紀』の「白雉元年」(庚戍・650)二月条に記されているのですが、 『日本帝皇年代記』には九州年号の白雉元年(652)に記されており、本来の九州年号史料に基づいていると考えられます。なお、『日本書紀』の白雉改元記事が二年ずらして盗用されていることに関しては、拙論「白雉改元の史料批判」(『「九州年号」の研究』所収)をご参照ください。
 次に白鳳改元記事ですが、「辛酉白鳳」(661)の細注に「依備後国上白雉也」とあり、備後国からの白雉献上に基づいて白鳳に改元したとされています。これは『日本書紀』にも見えない記事で、九州王朝系記事として貴重です。
 朱雀改元記事では、「甲申朱雀」(684)の細注に「依信濃国上赤雀為瑞」と、信濃国からの赤雀献上が記されています。これも『日本書紀』には見えない記事です。
 朱鳥改元でも、「丙戍朱鳥」(686)の細注に「依大和国上赤雉也」とあり、この大和国からの赤雉献上記事も『日本書紀』には見えません。これは九州王朝への赤雉献上記事ですが、近畿天皇家一元史観では「大和の朝廷」への「大和国」からの献上となり、不自然な感じがあります。
 この他にも、『日本帝皇年代記』には九州王朝系記事が見られますので、別途、『古代に真実を求めて』に小論を投稿したいと思います。