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第2025話 2019/10/29

多層石塔(臼杵市・満月寺石塔)の年代観(1)

 京都では八月に庶民の伝統行事「地蔵盆」が各町内で行われます。町毎にお地蔵さんを祀り、子供たちが主役の行事です。いわば「ハロウィンの京都版」です。わたしが住むご町内でも、毎年この地蔵盆を盛大に行い、昼間は子供たちによるスイカ割りやソーメン流しで盛り上がり、夜は大人たちと手伝ってくれた若者とで打ち上げ(食事会)を行い、ご町内の親睦に努めます。
 わたしは来年から町内会長を引き受けるということもあり、今年の地蔵盆には最初から最後まで参加しました。当日の朝、お地蔵さんをお堂から会場の北村美術館のガレージに運び込むのですが、そのときわたしは初めてご町内のお地蔵さんをまじまじと見ることができたのですが、どう見てもおかしいのです。その石像物はお地蔵さんではなく、なんと道祖神だったのです。おそらく京都市内の地蔵盆で道祖神を祀っているのはこのご町内だけではないでしょうか。
 古くからの町民の方々にこの「お地蔵さん」の由来をたずねると、近所の鴨川に流れ着いていたのを町内で祀ったとおじいさんから聞いた、などの諸説が出されました。夜の親睦会では、「これはお地蔵さんではなく道祖神だが、町や町民を守護する神として日本では古くから祀られており、大変ありがたい神様ですので、これからも大切にお祀りしていきたい」と、次期町内会長としてご挨拶しました。それにしても面白いご町内です。
 ご町内の北村美術館さんのご好意により、地蔵盆会場として同館ガレージをお借りしているのですが、その日は、特別に同美術館の庭園も拝観させていただくことができました。それほど広くはない庭園を一巡して、いくつもの石仏や石塔が並んでおり、恐らく鎌倉時代のものと思われる重要文化財もあって、ご町内にこれほどの文化財があることに驚きました。特に多層石塔については臼杵市満月寺の石塔の研究をしたこともあって、その年代観を理解する上でも勉強になりました。(つづく)