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第2247話 2020/10/02

古田武彦先生の遺訓「二倍年暦の研究」

 今日は秋晴れのなか、岡崎公園にある京都府立図書館を訪れ、二冊の本を閲覧しました。岳南著『夏王朝は幻ではなかった 一二〇〇年遡った中国文明史の起源』(柏書房、2005年)と佐藤信弥著『中国古代史研究の最前線』(星海社、2018年)です。
 前者は中国の国家プロジェクトとして実施された中国古代王朝の絶対年代決定プロジェクト(夏商周断代工程)の概要と結果をまとめたもので、その結論が正しければ古田先生やわたしが提唱してきた『論語』など周代史料の二倍年暦説が否定されます。後者はタイトルにある通り、中国古代史研究の最新状況を紹介したもので、主に「夏商周断代工程」以後の研究について解説されたものです。
 二倍年暦研究において、わたしは古田先生から『論語』の語彙悉皆調査を委託されましたが、その当時は仕事が多忙で果たせませんでした(注)。本年八月、わたしは四五年間勤務した化学会社を定年退職し、ようやく古田先生の遺訓を実現できる研究環境を得ました。
 『論語』はもとより、『春秋』『竹書紀年』の本格的な史料批判をこれから試みます。その手始めとして、この二冊を読みました。そこからは、わたしが想像していた通り、二倍年暦や「二倍年齢」という概念を持たない現代中国の研究者たちの限界と混乱の様子が見えてきました。(つづく)

(注)
 平成二二年(二〇一〇)「八王子セミナー」で古田先生は次のように発言されています。
 「二倍年暦の問題は残されたテーマです。古賀達也さんに依頼しているのですが、(中略)それで『論語』について解釈すれば、三十でよいか、他のものはどうか、それを一語一語、確認を取っていく。その本を一冊作ってくださいと、五、六年前から古賀さんに会えば言っているのですが、彼も会社の方が忙しくて、あれだけの能力があると使い勝手がよいのでしょう、組合の委員長をしたり、忙しくてしようがないわけです。」『古田武彦が語る多元史観』六六~六七頁(ミネルヴァ書房、二〇一四年)