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第2259話 2020/10/12

『古田史学会報』160号の紹介

 本日、『古田史学会報』160号が届きましたので紹介します。わたしは近江関連の論稿二編、「西明寺から飛鳥時代の絵画『発見』―滋賀県湖東に九州王朝の痕跡―」と「近江の九州王朝 ―湖東の『聖徳太子』伝承―」を発表しました。近年、滋賀県湖東地域からは飛鳥時代に遡る瓦の出土などが続いており、九州王朝との関係がうかがわれ、目が離せません。
 会報冒頭を飾った服部さんの「改新詔は九州王朝によって宣勅された」は関西例会で発表された研究で、7世紀末の九州王朝から大和朝廷への王朝交替に関わるものであり、注目されています。例会では賛否両論が出されており、これからの討論での丁寧な掘り下げと展開が期待されます。
 山田さんは久しぶりの会報登場です。ともに「さきもり」(辺境防備の兵)と訓まれてきた「防」と「防人」の従来説の理解に対して疑問を呈され、「防」は九州王朝(倭国)の首都圏(畿内)を防衛する版築土塁などの防衛施設であり、「防人(さきもり)」はその「防」に配された防備兵のこととされました。『日本書紀』に見える「防」と「防人」の悉皆調査に基づく仮説であり、方法論にも結論にも説得力を感じました。
 谷本稿も関西例会で発表された仮説で、意表をつくものでした。従来、「不記」と考えられてきた『二中歴』「年代歴」の虫食い部分の字を「不絶」とする新説です。従来説の「不記」が妥当とするわたしの見解とは異なりますが、立論のための方法論が従来にない巧みなもので、学問的刺激を受けました。
 160号に掲載された論稿は次の通りです。投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚程度)に配慮され、テーマを絞り込んだ簡潔な原稿とされるようお願いします。

【『古田史学会報』160号の内容】
○改新詔は九州王朝によって宣勅された 八尾市 服部静尚
○「防」無き所に「防人」無し ―「防人」は「さきもり(辺境防備の兵)にあらず」― 鴨川市 山田春廣
○ 西明寺から飛鳥時代の絵画「発見」―滋賀県湖東に九州王朝の痕跡― 京都市 古賀達也
○欽明紀の真実 茨木市 満田正賢
○近江の九州王朝 ―湖東の「聖徳太子」伝承― 京都市 古賀達也
○『二中歴』・年代歴の「不記」への新視点 神戸市 谷本 茂
○「壹」から始める古田史学・二十六
 多利思北孤の時代Ⅲ ―倭国の危機と仏教を利用した統治― 古田史学の会・事務局長 正木 裕
○『古田史学会報』原稿募集
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○古田史学の会・関西例会のご案内
○各種講演会のお知らせ
○2020年度会費納入のお願い
○編集後記 西村秀己