第1357話 2017/03/24

前畑遺跡筑紫土塁の炭片の年代

 久留米市の犬塚幹夫さん(古田史学の会・会員)よりいただいた「第9回 西海道古代官衙研究会資料集」(西海道古代官衙研究会編、2017年1月22日)に前畑遺跡筑紫土塁の盛土から出土した炭片の炭素同位体比年代測定値が掲載されていました。
 同誌に収録されている「筑紫野市前畑遺跡の土塁遺構について」(筑紫野市教育委員会 小鹿野亮、海出淳平、柳智子)によれば、「土塁の基盤および土塁を構成する盛土堆積物より出土した炭片」3点の放射性炭素年代測定の結果(補正値)として、「試料こ」cal BC0-cal AD89(弥生時代後期)、「試料い」cal AD238-354(弥生時代終末〜古墳時代3〜4世紀)、「試料き」cal BC696-540(弥生時代前期)と紹介されています。
 紀元前7世紀から紀元4世紀までのかなり年代に差があります。これらの測定値から、土塁築造にあたり使用した土に古い時代の炭片が含まれていたことがわかります。従って、放射性炭素年代測定の結果がそのまま土塁の築造年代を意味しないことをご理解いただけると思います。この炭片の測定値から論理的に言えることは、土塁の築造時期は「試料い」calAD238-354(弥生時代終末〜古墳時代3〜4世紀)よりも新しいということであり、築造年代はそれ以外の根拠(出土土器編年など)に依らねばなりません。
 「理科学的年代測定値」をそのまま測定サンプルを採取した遺物・遺構の成立年代とすることは科学的ではないのです。(つづく)

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