第2894話 2022/12/13

『古田史学会報』173号の紹介

 『古田史学会報』173号が発行されました。一面には拙稿〝蝦夷国への仏教東流伝承 ―羽黒山「勝照四年」棟札の証言―〟を掲載していただきました。本稿は羽黒山神社にあった「勝照四年(588年)」銘棟札の史料批判の結果、勝照四年が倭国(九州王朝)から蝦夷国への仏教伝来年次を示すものであることを論じたものです。倭国(九州王朝)に仏教が伝来したのは418年とする研究(注)を発表したことがありますが、その170年後に蝦夷国(羽黒山)に仏教が東流したことになります。

 この他に、日野智貴さんの物部氏研究に関する論稿2編が掲載されました。いよいよ古田学派に於ける本格的な物部氏研究の始まりです。どのような展開となるのかはわかりませんが、重要テーマですので、多くの研究者に注目していただければと思います。

  173号に掲載された論稿は次の通りです。投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚程度)に配慮され、テーマを絞り込んだ簡潔な原稿とされるようお願いします。

【『古田史学会報』173号の内容】
○蝦夷国への仏教東流伝承 ―羽黒山「勝照四年」棟札の証言― 京都市 古賀達也
○新春古代史講演会(1月21日 キャンパスプラザ京都)のお知らせ
○九州物部氏の拠点について たつの市 日野智貴
○伊吉連博徳書の捉え方について 茨木市 満田正賢
○「丹波の遠津臣」についての考察 京丹後市 森 茂夫
○七世紀における土佐国「長岡評」の実在性 高知市 別役政光
○田道間守の持ち帰った橘のナツメヤシの実のデーツとしての考察 京都府大山崎町 大原重雄
○弓削氏と筑紫朝廷 たつの市 日野智貴
○「壹」から始める古田史学・三十九
「太宰府」と白鳳年号の謎Ⅰ 古田史学の会・事務局長 正木 裕
○古田史学の会・関西例会のご案内

(注)古賀達也「倭国に仏教を伝えたのは誰か ―「仏教伝来」戊午年伝承の研究―」『古代に真実を求めて』第一集、古田史学の会編、1996年。1999年に明石書店から復刊。

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