第634話 2013/12/15

九州王朝の「賀正礼」

 九州王朝・倭国の「賀正礼(元日朝賀儀)」について、それがどのようなものだったのかを考えています。中国の「賀正礼」を導入・模倣した可能性が高いように思いますが、おそらくは古くから続いてきた倭国の風習も踏襲したことも充分考えられます。そこで、わたしが注目したのが『隋書』「イ妥国伝」です(『隋書』では九州王朝・倭国を「イ妥*国」と表記)。
 『隋書』には九州王朝・倭国の儀礼や風俗について、次のように記しています。

 「その王、朝会には必ず儀仗を陳設し、その国の楽を奏す。」
 「楽に五弦の琴・笛あり。」
 「正月一日に至るごとに、必ず射戲・飲酒す。その余の節はほぼ華と同じ。」

 これらの記事から、倭国では正月一日に射戲・飲酒する風習があったことがわかります。現在でも古い神社では弓矢の神事やお酒でもてなす風習が残っ ているところがありますので、こうした風習は王朝内部でも行われていたのではないでしょうか。「朝会には必ず儀仗を陳設」とありますから、元日の朝賀でも 「儀仗を陳設」し、五弦の琴や笛で演奏が行われたと思われます。
 以上のように、『隋書』によって九州王朝の「賀正礼」の内容が少し見えてきました。おそらく、前期難波宮のような巨大な朝堂院で「賀正礼」を行われるようになってからは、本場の中国の儀礼が本格的に取り入れられるようになったのではないかと推測しています。引き続き、研究を続けます。

イ妥* (タイ) 国のイ妥*は、人編に妥。ユニコード番号4FCO

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