2020年02月15日一覧

第2084話 2020/02/15

服部さんが「倭姫王」九州王朝天子説発表

 本日、「古田史学の会」関西例会がI-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス)で開催されました。開催中止3月はI-siteなんば、4月はドーンセンター開催中止で開催します。
 今回の関西例会では、服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集長)から発表された「倭姫王」九州王朝天子説について、最も論議が交わされました。『日本書紀』に記された天智の皇后「倭姫王」こそが、九州年号「白鳳」時代の天子(白鳳の君)であるとする仮説です。従って、筑紫君薩野馬は九州王朝の天子ではなく、唐により「筑紫都督倭王」に任命され、白村江敗戦後に帰国したとされました。他方、天智や天武の庇護を得た「倭姫王」が九州王朝の女帝として薩野馬帰国後も難波宮や飛鳥宮で君臨し、その後、文武の時代に王朝交替(禅譲)に至ったとする七世紀後半の歴史復元(仮説提起)を試みられました。
 服部新説の是非や、既に発表されている正木さんの「九州王朝系近江朝」説との関係や整合性など、これからの研究の深化が待たれます。
 この他にも、大原さんによる三星堆遺跡の青銅立神と縄文時代の土偶や土器文様との関係についての新説も興味深い内容でした。
 正木さんからは、「令和」改元の典拠となった万葉歌と序文についての新視点による研究が発表されました。各地の講演会でも好評を得たテーマです。
 満田さんの「八幡大神」研究は、古田学派内では研究者が少ない分野でもあり、今後の活躍が期待されます。いずれも、関西例会ならではの優れた発表でした。
 今回も関東や姫路市など、遠方からの参加者がありました。東京から参加された角田彰男さん(古田史学の会・会員)からは、著書『前方後円墳の謎を解く』(本の泉社、2019年)を「古田史学の会」に寄贈していただきましたので、I-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス)に設置されている「古田武彦コーナー」に並べました。遠方から参加される皆様にも、「来て良かった」と喜んでいただけるような関西例会を、これからも続けたいと願っています。
 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔2月度関西例会の内容〕
①七世紀後半近畿天皇家が政権奪取するまで(八尾市・服部静尚)
②「津に臨み、捜露する」倭の津の検察体制(姫路市・野田利郎)
③宇佐八幡宮と八幡信仰について(茨木市・満田正賢)
④神を招く手の形と双眼の造形(大山崎町・大原重雄)
⑤『隋書』国伝を考える(その3)(京都市・岡下英男)
⑥厳然たる巨大古墳の物証(東大阪市・荻野秀公)
⑦令和改元の典拠となった大伴旅人の万葉歌の序の「人間解釈」(川西市・正木 裕)

◆「古田史学の会」関西例会(第三土曜日開催) 参加費500円
開催中止03/21 10:00〜17:00 会場:I-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス)開催中止
2/23新型コロナウイルス対策として、 I-siteなんばでの 古田史学の会・関西3月21日例会は開催中止となりました。
 開催中止04/18 10:00〜17:00 会場:ドーンセンター開催中止
 開催中止05/16 10:00〜17:00 会場:福島区民センター開催中止

《各講演会・研究会のご案内》
◆「古代大和史研究会」講演会(原 幸子代表) 参加費500円
 開催中止03/03(火) 10:00〜12:00 (会場:奈良県立図書情報館)
    「聖徳太子の実像を求めて」 講師:正木 裕さん。開催中止
 開催中止04/07(火) 13:00〜17:00 (会場:奈良県立図書情報館)
    日本書紀完成1300年記念講演会開催中止
    講師:正木裕さん、服部静尚さん、満田正賢さん、大原重雄さん、古賀。

◆「和泉史談会」講演会(辻野安彦会長。会場:和泉市コミュニティーセンター) 参加費500円
開催中止03/10(火) 14:00〜16:00 「(仮)池上曽根遺跡と泉州の古代」
講師:高瀬裕太さん(大阪府立弥生文化博物館学芸員)。開催中止

◆「市民古代史の会・京都」講演会(事務局:服部静尚さん・久冨直子さん)。毎月第三火曜日(会場:キャンパスプラザ京都) 参加費500円
02/18(火) 18:30〜20:00 「能楽の中の古代史(2)本当は不思議な高砂」 講師:正木 裕さん。
03/17(火) 18:30〜20:00 「理系の古代史(その1)二倍年歴の世界」 講師:服部静尚さん。

開催中止
04/21(火) 18:30〜20:00 「理系の古代史(その2)解明された万葉の染と色」 講師:古賀達也。開催中止

◆「古代講演会in八尾」(会場:八尾市文化会館プリズムホール 近鉄八尾駅から徒歩5分) 参加費500円

開催順延4月11日(土)から開催順延し、6月13日になりました。
 6月13日(土):午後2時〜4時30分
 04/11(土) 13:30〜16:30  ①「卑弥呼」から「倭の五王」の世界 ②「蘇我・物部戦争と河内」 講師:服部静尚さん。

◆久留米大学講演会(久留米大学御井キャンパス)
06/07(日) 14:30〜16:00 「『日本書紀』に息づく九州王朝」 講師:古賀達也
06/14(日) 14:30〜16:00 「継体と『磐井の乱』の真実」 講師:正木 裕さん