2025年02月10日一覧

第3426話 2025/02/10

『古田史学会報』186号の紹介

『古田史学会報』186号を紹介します。同号には拙稿〝「九州王朝律令」復元研究の予察〟と〝安藤哲朗氏のご逝去を悼む〟〝〔新年のご挨拶〕超満員御礼!新春古代史講演会〟の三編を掲載して頂きました。

〝安藤哲朗氏のご逝去を悼む〟で紹介した、生前、安藤さんよりいただいた未発表稿「真福寺本古事記の文字について」は、遺稿として多元的古代研究会へお譲りしました。同会の会報『多元』か記念刊行物に収録していただけるとのことですので、故人のご遺志にもかない、同会々員のみなさんにも喜んでいただけることと思います。

〝「九州王朝律令」復元研究の予察〟は、現存しない九州王朝律令の復元のために、木簡・金石文・『日本書紀』などに遺っている断片史料を紹介したものです。言わば基礎研究ですので、今後の九州王朝研究に裨益できれば幸いです。
一面に掲載された正木稿「「磐井の崩御」と「磐井王朝(九州王朝)」の継承(上)」は前号掲載の「『筑後国風土記』の「磐井の乱」とその矛盾」に続く、筑紫君磐井に関する本格的な論文です。この分野の有力説になるのではないでしょうか。注目したいと思います。

古谷さんの論稿〝「牛利」という姓名〟は倭人伝に見える「都市牛利」について、「都市」を官職名とした『古田史学会報』147号(2018年)の論稿「長沙走馬楼呉簡の研究」の続編でもあり、「牛利」の「牛」を姓、「利」を名とするものです。史料根拠も示されており、有力説ではないでしょうか。これもなかなか面白い仮説と思いました。
186号に掲載された論稿は次の通りです。

【『古田史学会報』186号の内容】
○「磐井の崩御」と「磐井王朝(九州王朝)」の継承(上) 川西市 正木 裕
○不改常典仮託説批判 古田武彦説と中野渡俊治説の対比 たつの市 日野智貴
○國枝氏の「唐書類の読み方」への返答 神戸市 谷本 茂
○なぜ、『隋書』は「裴清」と書いたのか ―推古紀の遣唐使の解明― 姫路市 野田利郎
○「九州王朝律令」復元研究の予察 京都市 古賀達也
○「牛利」という姓名 枚方市 古谷弘美
○安藤哲朗氏のご逝去を悼む 古田史学の会・代表 古賀達也
○〔新年のご挨拶〕超満員御礼!新春古代史講演会 古田史学の会・代表 古賀達也
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○古田史学の会・関西例会のご案内
○『古田史学会報』原稿募集
○「会員募集」ご協力のお願い
○編集後記 高松市 西村秀己

『古田史学会報』への投稿は、
❶字数制限(400字詰め原稿用紙15枚)に配慮し、
❷テーマを絞り込み簡潔に。
❸論文冒頭に何を論じるのかを記し、
❹史料根拠の明示、
❺古田説や有力先行説と自説との比較、
❻論証においては論理に飛躍がないようご留意下さい。
❼歴史情報紹介や話題提供、書評なども歓迎します。
読んで面白く勉強になる紙面作りにご協力下さい。