2025年02月16日一覧

第3431話 2025/02/16

萩野さん、阿蘇ピンク石の謎に迫る

 昨日、 「古田史学の会」関西例会が豊中自治会館で開催されました。3月例会の会場も豊中自治会館です。

 今回の報告で興味を引かれたのが、萩野秀公さんの「熊本宇土への調査旅行報告Ⅱ」でした。先月に続いての発表です。海を渡って関西にもたらされた熊本県宇土半島の馬門(まかど)から産出する赤い石材「馬門石」(阿蘇溶結凝灰岩)についての現地調査報告です。それは「阿蘇ピンク石」とも呼ばれ、古墳の石棺に使用されています。たしかに赤い石材が当時は好まれたのでしょうが、そうであれば、産地の肥後地方や九州でも古墳の石棺に使用されていても良いはずですが、何故か当地では使用されていないようなのです。石室の壁石としては使用した例はあるとのことですが、石棺に使用した古墳はないとされています。

 わたしは、生産地や九州ではピンク石石棺が使用されていないという現象を不思議に思ってきました。たとえば、大和朝廷が九州での使用を禁止したとする説もあるそうですが、これが九州王朝による禁止命令であったとしても納得できませんでした。それほど貴重な石材であり、王家以外の豪族らに使用を禁止したのであれば、王家自らの〝独占使用〟の痕跡がなければなりません。しかし、八女古墳群にある九州王朝王家の古墳と思われる石人山古墳(五世紀前半~中頃)の石棺もピンク石ではなかったと記憶しています。

 このような疑問を抱いていたわたしは、例会後の懇親会で萩野さんに、本当に肥後や九州の古墳からピンク石石棺は発見されていないのですかと質問しました。萩野さんの返答は、石室の一部に使用されている例はあるが、石棺には使用されていないとのことでした。しかし、話を進めていると、地元の某博物館ではピンク石石棺が、とある古墳から出土しているとする掲示があることを教えていただきました。

 萩野さんのご意見ではその掲示は誤りとのことでしたが、博物館で掲示されているのであれば、それは現地の考古学の専門家の意見ですから、当該石棺の実物を見ないで否定するのはいかがなものかと思い、萩野さんに再度の調査を要請しました。来月の例会でも阿蘇ピンク石について発表されるとのことですので、改めてこの点をお聞きしたいと思っています。もし、九州の古墳にもピンク石石棺があったのであれば、従来の見解を覆す発見となるのではないでしょうか。とても楽しみなテーマです。

 2月例会では下記の発表がありました。発表希望者は西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。発表者はレジュメを25部作成されるようお願いします。

〔2月度関西例会の内容〕
①「四人の倭建」の概略 (大阪市・西井健一郎)
②倭王武の上表文の東西海北216国は制覇は史実なのか? (大山崎町・大原重雄)
③『古代日本の渡来勢力』批判 (茨木市・満田正賢)
④熊本宇土への調査旅行報告Ⅱ (東大阪市・萩野秀公)
⑤「呉」と銅鐸圏と画文帯神獣鏡・拘奴国 (川西市・正木 裕)

◎八王子セミナー実行委員会の報告・他 (代表 古賀達也)

□「古田史学の会」関西例会(第三土曜日) 参加費500円
03/15(土) 10:00~17:00 会場 豊中自治会館