第2981話 2023/04/08

リモート勉強会で

   八王子セミナーの予行演習

 今日は全国各地の研究者とSkypeでリモート勉強会を行いました。この勉強会では毎回二人の方から研究報告をしていただき、論議・検証を進めるというものです。今回はわたしと赤尾恭司さん(多元的古代研究会・会員、佐倉市)が次の研究を発表しました。

○古賀 七世紀の律令制都城論 ―中央官僚群の発生と移動―
○赤尾 天平時代の「筑紫」の様相 西海道節度使に関する万葉歌を手がかりとして

 わたしの発表は八王子セミナー2023と同じ演題ですが、これは同セミナーの予行演習を兼ねたものです。赤尾さんは、万葉歌(971番)の「賊(あだ)守る筑紫に至り」の新読解と王朝交代後(八世紀)の筑紫における九州王朝(倭国)の残影(賊)について論じたもので、興味深い研究でした。
わたしの発表は、次の二つの方法論とそれに基づく解釈を提起したものです。

〔方法1〕史料(エビデンス)がより豊富な八世紀前半の歴史像に基づき、七世紀の歴史像を復元する。
〔方法2〕律令制王都存立の絶対条件(公理)を抽出し、七世紀の王都候補からその条件全てを備えた遺構を王都とみなす。

 〔方法1〕と〔方法2〕の〝律令制王都存立の絶対条件〟については評価して頂けたようですが、史料(エビデンス)に対する解釈については谷本茂さん(古田史学の会・会員、神戸市)や赤尾さんから、厳しいご批判をいただきました。具体的には、七世紀後半の九州王朝と近畿天皇家(天武・持統)の力関係・統治領域について、後者の影響力をもっと重視すべきという批判です。(つづく)

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