第2995話 2023/04/24

待望の復刊、

 『関東に大王あり』(ミネルヴァ書房)

 三月の「古田史学の会」関西例会に、古田先生のご子息の古田光河(こうが)さんが参加され、例会終了後の懇親会にもお付き合いいただきました。亡き先生の思い出話に花が咲きました。ご家族でなければ知らないような先生の一面をお聞きでき、とても楽しい一夕でした。
そのとき、ミネルヴァ書房から復刊される先生の著書のことを聞くことができました。出版不況の最中、古田武彦の本でも復刊が難しく、光河さんのご尽力により、ようやく復刊に至ったとのことでした。それが、この度、ミネルヴァ書房より刊行された『関東に大王あり 稲荷山鉄剣の密室』(注)です。同書は1979年に㈱創世記から出版され、2003年には新泉社から「新版」として復刊された好著です。今回は新泉社版を底本に復刊したことが、光河さん(復刊編集責任)の解説にあります。
本書の中心は、埼玉県行田市の稲荷山古墳出土鉄剣銘の多元史観による読解です。その結果、関東にあった古代王権の実在を論証され、論は、熊本県江田船山古墳出土の鉄剣名、関東の金石文明、『宋書』倭国伝へと及びます。
古田学派の研究者に、是非、読んで頂きたいのが巻末の「学問の方法」です。わたしは古田先生から〝学問は方法が大切です。学問の方法を間違えば、結論も間違うからです〟と厳しく言われ続けました。古代史ファン、古田ファンの皆さんに、この一冊を推奨します。

(注)古田武彦『関東に大王あり 稲荷山鉄剣の密室〈古田武彦古代史コレクション28〉』ミネルヴァ書房、2023年。

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