研究者、受難の時代
昨日、理研の笹井副センター長が自殺するという痛ましい事件が、とうとう発生してしまいました。「とうとう」と記したのは、こうした事態がいずれ引き起こされるのではないかと、わたしは危惧していたからです。いったい笹井さんは死ななければならないようなことをしたのでしょうか。たかだかイギリスの商業誌(「ネイチャー」は学会誌ではありません)に論文を一つ発表しただけで、なぜあそこまで叩きに叩き、死ぬまで追いつめる必要があったのでしょう か。いつから日本社会は法治国家ではなく「集団でリンチ」する国になったのでしょうか。
NHKは小保方さんを女子トイレまで追いかけ回し、全治二週間の傷害を負わせ、小保方さん笹井さんを特別番組(クローズアップ現代)で犯人扱いし、死ぬまでバッシングを続けたのです。この際、NHKは「日本犯罪者協会」と名称を変えるべきでしょう。
例によってNHKの意に添ったテレビに出たがる御用学者を使い、一方的な「解説」をさせ、学問的に決着が付いていない研究(STAP細胞・現象)に対して非中立的な報道を続けました。これは明らかに放送法第4条違反です。
放送法
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
NHKは放送法違反の報道や番組をこれまでも何度も放送してきました。和田家文書偽作キャンペーンのときもそうでした。古田先生と安本美典氏の討論番組で、安本氏にVTRの使用や多くの時間配分を行うなど、明らかにアンフェアな番組を放送したのです。このときはさすがにNHK関係者からも非難の声があがりました。
今回は、優秀な研究者を自殺するまで、半年間にわたり叩き続けたのです。小保方さんにしても発表した論文中の80枚近くの写真うち、3枚に悪意のない過誤があったにすぎず、しかも正しい写真は存在し、結論にも影響しないというものでした。それを「研究不正」などと称してバッシングを続け、女子トイレまで追いかけ回しました。その論文を指導した笹井さんを死ぬまで追いつめ続けました。
日本社会は放送局(特にNHK)や新聞社(特に毎日新聞)、週刊誌、御用評論家らが白昼堂々と何も犯罪を犯していない個人を「集団でリンチ」する社会になってしまいました。研究者受難の国、受難の時代です。安倍総理の言う「法による支配」はウソだったのでしょうか。「技術立国」など今後は望むべくもない でしょう。