古田史学の会一覧

第1831話 2019/02/01

1月に配信した「洛中洛外日記【号外】」

 1月に配信した「洛中洛外日記【号外】」のタイトルをご紹介します。1月はインフルエンザに感染し、会社を一週間も休んでしまいましたが、症状が軽かったおかげで難波宮出土須恵器の調査やカール・ポパーの反証主義について勉強することができました。しかもそれぞれのテーマで研究成果を得ることができました。
 たとえば、前期難波宮天武朝造営説の根拠とされてきた「前期」難波宮整地層出土とされた須恵器坏Bが実は「後期」難波宮整地層出土であったことが判明し、前期難波宮天武朝造営説が発掘報告書の誤読による誤論であったことを突き止めることができました。
 また、反証主義が発表されたヨーロッパの論理哲学の歴史的経緯(19世紀後半〜20世紀前半)を少しだけ勉強したのですが、ちょうどそのころヨーロッパに行かれた村岡典嗣先生が当時の論理哲学の趨勢(ウィーン学団の論争)に触れられたことが、「学問は実証よりも論証を重んずる」という言葉に繋がった可能性に気づくことができました。このテーマは未発表ですので、これからもっと勉強してから紹介したいと考えています。

 「洛中洛外日記【号外】」配信を希望される「古田史学の会」会員は担当(竹村順弘事務局次長 yorihiro.takemura@gmail.com)まで、会員番号を添えてメールでお申し込みください。
 ※「洛中洛外日記」「同【号外】」のメール配信は「古田史学の会」会員限定サービスです。

《1月「洛中洛外日記【号外】」配信タイトル》
2019/01/04 新年のご挨拶と熊本地震のお見舞い
2019/01/16 『九州倭国通信』No.193のご紹介
2019/01/28 正木事務局長との新春京都懇談
2019/01/31 『東京古田会ニュース』184号のご紹介


第1827話 2019/01/19

浄御原令の都城はどこか

 先週末、インフルエンザ(A型)を発症し、他者にうつさないようこの一週間は自宅で安静にしていました。良い新薬のおかげで、身体はすぐに楽になりました。インフルエンザに罹ったのは初めてで、還暦を超え免疫力が落ちているのかもしれません。他方、会社を休んでいる間は古代史の勉強、特に前期難波宮出土須恵器とカール・ポパーの「反証主義」の勉強を集中して取り組むことができました。仕事がなければこれだけ勉強ができるのかと驚いた次第です。一年半後の定年が待ち遠しくなりました。
 今日、「古田史学の会」関西例会がi-siteなんばで開催されました。2月はi-siteなんば、3月は府立労働センター(エル大阪)、4月は福島区民センター、5月・6月はドーンセンターで開催します。
 恒例の新春古代史講演会は2月3日(日)に大阪府立ドーンセンターで開催します。皆さんのご参加をお願いします。
 例会では服部さんが発表された、飛鳥浄御原令の成立と運用が行われた九州王朝の宮殿の所在地を太宰府とする仮説について、質疑が活発に行われました。わたしからは、太宰府条坊都市内に七世紀中頃の大規模な官衙遺構は出土しておらず、浄御原令が運用された宮殿・官衙は前期難波宮ではないかと問いただしました。正木さんからは「飛鳥宮」は小郡の上岩田遺跡が時代や規模が対応しており、古田先生が提唱された小郡飛鳥説でよく、浄御原令は小郡の飛鳥宮で作られ、前期難波宮の官僚群により運用されたとする見解が述べられました。
 この服部説の優れている点は、九州王朝論者が律令による全国支配を九州王朝が行っていたとするのであれば、数千人の官僚とその家族などの生活の場としての巨大条坊都市が不可欠であり、それは七世紀においては前期難波宮と太宰府、そして近畿天皇家の藤原宮だけであり、浄御原令もその例外ではないとされたことです。この服部説以後の九州王朝都城論や律令論を述べる研究者はそれに相応しい条坊都市の提示が不可欠となりました。抽象論や思いつきのような九州王朝都城論ではなく、これからは考古学的根拠を伴った仮説の提起が不可欠な時代に入ったのです。
 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔1月度関西例会の内容〕
①天皇と対等な大臣・大連・臣(高松市・西村秀己)
②倭王武の上奏文と磐井の勢力範囲(茨木市・満田正賢)
③山の神の猪(京都府大山崎町・大原重雄)
④島根県田和山遺跡の環濠施設について(京都府大山崎町・大原重雄)
⑤河内巨大古墳の造営者についての論点整理(奈良市・日野(奈良市・日野智貴)
⑥条坊都市はなぜ造られたか -浄御原は太宰府-(八尾市・服部静尚)
⑦九州王朝の官僚機構整備と評制施行(川西市・正木 裕)
⑧香坂皇子・忍熊皇子の反乱は何故起きたのか(奈良市・原 幸子)
⑨ヤマトから外界へ -崇神・垂仁の銅鐸圏への展開-(川西市・正木 裕)

○事務局長報告(川西市・正木 裕)
 新入会員、会費納入状況の報告・『古代に真実を求めて』22集編集状況・02/03新春古代史講演会(大阪府立ドーンセンター)の案内、講師:山田春廣氏(会員・千葉県鴨川市)、清水邦彦氏(茨木市立文化財資料館学芸員)・04/19『古代に真実を求めて』出版記念講演会「古代大和史研究会(原幸子代表)」主催、奈良県立情報図書館にて(講師:正木裕さん、服部静尚さん、古賀達也)・「水曜研究会」(豊中倶楽部自治会館)の案内、最終水曜日に開催、連絡先:服部静尚さん・01/25「誰も知らなかった古代史」(森ノ宮キューズモール)、講師:中尾智行さん(大阪府立弥生博物館主任学芸員)・02/19「市民古代史の会・京都」講演会(キャンパスプラザ京都)、毎月第三火曜日18:30〜20:00・02/15「和泉史談会」講演会(和泉市コミュニティーセンター)、講師:正木裕さん・02/01「続日本紀研究会」で服部静尚さんが発表・「古田史学の会」関西例会会場、2月はi-siteなんば、3月は府立労働センター(エル大阪)、4月は福島区民センター、5月・6月はドーンセンター・06/16「古田史学の会」会員総会と懇親会(I-siteなんば)・その他


第1817話 2019/01/05

『続日本紀』研究の構想

 昨日は「古田史学の会・事務局長」の正木裕さんと電話で年始のご挨拶と新年のイベントやこれからの構想について意見交換しました。そのおり、久留米大学の福山教授から講演の演題を決めてほしいとのメールが届きましたので、何か講演依頼が「古田史学の会」に来ているのだろうかと正木さんにうかがったところ、久留米大学で毎年開催されている公開講座(7月初旬)への講演依頼をいただいているとのこと。相談の結果、『倭国古伝』(『古代に真実を求めて』22集、仮称)の宣伝を兼ねて古代伝承を演題にすることにしました。正木さんは天孫降臨に関する諸伝承をテーマとされ、わたしは久留米大学での講演にふさわしい現地伝承をテーマとすることにしました。
 昨年は「古田史学の会」の役員や会員の方々が各地(大阪市・奈良市・豊中市)で古代史講演会を主宰されました。今年は服部静尚さんらにより京都市でも講演会がスタートします。平日夕方の開催ですので、出張や残業がなければわたしも参加したいと考えています。1回目は2月19日(火)18:30-20:00、会場は京都駅の北側にあるキャンパスプラザ京都(6F 演習室)です。
 これらとは別に、今すぐというわけではありませんが、『続日本紀』の勉強会を有志で行いたいと願っています。というのも、古田学派では『日本書紀』の研究は多くの研究者によって取り組まれていますが、『続日本紀』研究はまだ不十分だからです。『続日本紀』の文武紀は九州王朝から大和朝廷への交代期にあたりますし、その後の聖武天皇の頃までは王朝交替の影響が続いていますから、『続日本紀』に残されたそれらの痕跡を研究したいと以前から思っていました。わたしも「宣命」の研究などを少し行ったことはありますが、中途で放置したままとなっています。
 『続日本紀』に関心のある方があれば一緒に研究したいものです。


第1812話 2018/12/31

12月に配信した「洛中洛外日記【号外】」

 12月に配信した「洛中洛外日記【号外】」のタイトルをご紹介します。
 「洛中洛外日記【号外】」配信を希望される「古田史学の会」会員は担当(竹村順弘事務局次長 yorihiro.takemura@gmail.com)まで、会員番号を添えてメールでお申し込みください。
 ※「洛中洛外日記」「同【号外】」のメール配信は「古田史学の会」会員限定サービスです。

《12月「洛中洛外日記【号外】」配信タイトル》
2018/12/09 大学セミナーハウスHPに新・八王子セミナー報告
2018/12/18 『古代に真実を求めて』22集の巻頭言
2018/12/28 関西例会後の懇親会風景「仮説の性格」
2018/12/30 『多元』149号のご紹介


第1810話 2018/12/28

『倭国古伝』(仮称)の巻頭言

 明石書店から『古代に真実を求めて』22集の初校が送られてきました。編集部で決めた書名は『倭国古伝 -姫と英雄と神々の古代史-』です。巻頭言ではその書名について解説しました。しかしながら最終的には明石書店の同意が必要ですので、書名が変更になれば巻頭言も書き直さなければなりません。
 本の宣伝も兼ねて巻頭言原稿を紹介します。この年末年始は校正に終始しそうです。

【巻頭言】
勝者の歴史と敗者の伝承
     古田史学の会・代表 古賀達也

 本書のタイトルに採用した「倭国古伝」とは何か。一言でいえば〝勝者の歴史と敗者の伝承から読み解いた倭国の古代史〟である。すなわち、勝者が勝者のために綴った史書と、敗者あるいは史書の作成を許されなかった人々の伝承に秘められた歴史の真実を再発見し、再構築した古代日本列島史である。それをわたしたちは「倭国古伝」として本書のタイトルに選んだ。
 その対象とする時間帯は、古くは縄文時代、主には文字史料が残された天孫降臨(弥生時代前期末から中期初頭頃:西日本での金属器出現期)から大和朝廷が列島の代表王朝となる八世紀初頭(七〇一年〔大宝元年〕)までの倭国(九州王朝)の時代だ。
 この倭国とは歴代中国史書に見える日本列島の代表王朝であった九州王朝の国名である。早くは『漢書』地理志に「楽浪海中に倭人有り」と見え、『後漢書』には光武帝が与えた金印(漢委奴国王)や倭国王帥升の名前が記されている。その後、三世紀には『三国志』倭人伝の女王卑彌呼(ひみか)と壹與(いちよ)、五世紀には『宋書』の「倭の五王」、七世紀に入ると『隋書』に阿蘇山下の天子・多利思北孤(たりしほこ)が登場し、『旧唐書』には倭国(九州王朝)と日本国(大和朝廷)の両王朝が中国史書に始めて併記される。古田武彦氏(二〇一五年十月十四日没、享年八九歳)は、これら歴代中国史書に記された「倭」「倭国」を北部九州に都を置き、紀元前から中国と交流した日本列島の代表権力者のこととされ、「九州王朝」と命名された。
 『旧唐書』には「日本はもと小国、倭国の地を併わす」とあり、八世紀初頭(七〇一年)における倭国(九州王朝)から日本国(大和朝廷)への王朝交替を示唆している。この後、勝者(大和朝廷)は自らの史書『古事記』『日本書紀』を編纂し、そこには敗者(九州王朝・他)の姿は消されている。あるいは敗者の事績を自らの業績として記すという歴史造作をも厭うことはなかった。
 古田武彦氏により、古代日本列島には様々な文明が花開き、いくつもの権力者や王朝が興亡したことが明らかにされ、その歴史観は多元史観と称された。これは、神代の昔より近畿天皇家が日本列島内唯一の卓越した権力者・王朝であったとする一元史観に対抗する歴史概念である。わたしたち古田学派は古田氏が提唱されたこの多元史観・九州王朝説の立場に立つ。
 本書『倭国古伝』において、勝者により消された多元的古代の真実を、勝者の史書や敗者が残した伝承などの史料批判を通じて明らかにすることをわたしたちは試みた。そしてその研究成果を本書副題に「姫と英雄と神々の古代史」とあるように、「姫たちの古代史」「英雄たちの古代史」「神々の古代史」の三部構成として収録した。
 各地の古代伝承を多元史観により研究し収録するという本書の試みは、従来の一元史観による古代史学や民俗学とは異なった視点と方法によりなされており、新たな古代史研究の一分野として重要かつ多くの可能性を秘めている。本書はその先駆を志したものであるが、全国にはまだ多くの古代伝承が残されている。本書を古代の真実を愛する読者に贈るとともに、同じく真実を求める古代史研究者が多元史観に基づき、「倭国古伝」の調査研究を共に進められることを願うものである。
     平成三十年(二〇一八)十二月二三日、記了


第1809話 2018/12/23

『古代に真実を求めて』22集の目次

 『古代に真実を求めて』22集(来春発行)の目次が服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集長)から送られてきましたので、ご紹介します。編集部としては『倭国古伝』というタイトルを決めたのですが、これから明石書店と相談の上、最終決定されます。従って、タイトルはまだ仮題です。
 ご覧のように全国各地の古代伝承を多元史観により解説し、収録しています。教科書では教えない多くの日本人がまだ知らない古代伝承も少なくありませんし、九州王朝説にとっても貴重な史料根拠となるものもあります。刊行が楽しみな一冊です。

『倭国古伝 ―姫と英雄と神々の古代史―』
『古代に真実を求めて』第二十二集

 目次

倭国古伝

倭国古伝
–姫と英雄と神々の古代史

●はじめに
○巻頭言 勝者の歴史と敗者の伝承           古賀達也
○古代伝承を「多元史観」で読み解く理由        西村秀己

●特集 倭国古伝―姫と英雄と神々の古代史―

一、 姫たちの古代史 
① 太宰府に来たペルシアの姫           正木 裕
② 大宮姫と倭姫王と薩摩比売           正木 裕
③ 肥前の「與止姫」伝承と女王壹與         古賀達也
④ 糸島の奈留多姫伝承と「日向三代」の陵墓    正木 裕
⑤ 駿河国宇戸ノ濱の羽衣伝承           正木 裕
⑥ 常陸と筑紫を結ぶ謡曲「桜川」と「木花開耶姫」 正木 裕

二、英雄たちの古代史
⑦ 讃岐「讃留霊王」伝説の多元史観的考察     西村秀己
⑧ 丹波赤渕神社縁起の表米宿禰伝承        古賀達也
⑨ 六十三代目が祀る捕鳥部萬の墓         久冨直子
⑩ 関東の日本武尊                藤井政昭
⑪ 筑後と肥後の「あまの長者」伝承         古賀達也
⑫ 天の長者伝説と狂心の渠            古賀達也
〔コラム1〕肥前肥後の「聖徳太子」伝承        古賀達也
〔コラム2〕湖国の「聖徳太子」伝承           古賀達也

三、神々の古代史
⑬ 縄文にいたイザナギイザナミ          大原重雄
⑭ 「天孫降臨」と「神武東征」の史実と虚構    正木 裕
〔コラム3〕天孫族に討たれたあらぶる神        服部静尚
〔コラム4〕「国譲り」と「天孫降臨」         橘高 修
〔コラム5〕和歌山の鎮西将軍伝承           古賀達也
⑮ 恩智と玉祖―河内に社領をもらった周防の神様  服部静尚
〔コラム6〕日本海側の「悪王子」「鬼」伝承 古賀達也
⑯ 安曇野に伝わる八面大王説話          橘高 修
⑰ 甲斐の「姥塚」深訪              井上 肇
⑱ 荒覇吐神社の現地報告             原 廣通
〔コラム7〕羽黒山修験道と九州王朝          古賀達也

●一般論文とフォーラム
一般論文 「実証」と「論証」について         茂山憲史
 フォーラム①『東日流外三郡誌』と永田富智先生    合田洋一
 フォーラム②「倭国溶暗」と信濃           鈴岡潤一

●付録
古田史学の会会則
古田史学の会 全国世話人・地域の会・名簿
編集後記


第1808話 2018/12/22

新春古代史講演会(2月3日)のご案内

 今年も残すところあとわずかとなりました。「古田史学の会」では恒例の新春古代史講演会を開催します。今回は講師に古代官道研究で画期的業績「東山道十五国の比定」をあげられた山田春廣さん(古田史学の会・会員、千葉県鴨川市)と銅鐸研究のスペシャリスト清水邦彦さん(茨木市立文化財資料館学芸員)のお二方をお招きします。
 山田さんの研究は九州王朝の全国支配に古代官道が密接に関係している事を明らかにされたもので、九州王朝史研究において貴重な成果です。本年9月の東京家政学院大学での『古代に真実を求めて』21集出版記念講演会でも講演され、好評でした。その後、更に進展した研究成果も含めて、関西でも講演していただくことになりました。
 清水さんは銅鐸鋳型の出土で有名な東奈良遺跡を有する茨木市の考古学者です。古田説によれば銅鐸圏は俾弥呼の倭国と対立した狗奴国であることから、弥生時代の日本列島史を研究するためにも倭人伝などの文献とともに考古学の研究成果が重要であることは言うまでもありません。銅鐸研究を専門とされる清水さんの講演はわたしたち古田学派にとっても貴重なものとなるでしょう。
 講演会後は講師を囲んでの懇親会も開催します。「古田史学の会」会員以外の参加も歓迎いたします。多くの皆様のご参加をお願いいたします。

〔2019年新春古代史講演会〕
【日時】2月3日(日) 開場13:00 開会13:30
【会場】大阪府立ドーンセンター 大会議室
    京阪・大阪メトロ「天満橋駅」①番出口から東へ約350m
【演題・講師】
○「全ての道は太宰府に通ず」
 山田春廣氏(古田史学の会)
○「弥生時代の銅鐸と工人の系譜 -銅鐸群と送風管-」
 清水邦彦氏(茨木市立文化財資料館学芸員)
【参加費】1,000円
【懇親会】当日、会場で受け付けます。(参加費は別途)
【主催】古田史学の会


第1807話 2018/12/21

千里コラボ大学校で大下さんが講演

 大下隆司さん(古田史学の会・会員、豊中市)が千里コラボ大学校で講演されますのでご案内します。なお、講座の一環として開催されますので、聴講には参加申し込みが必要です。古田史学による古代史講演で、初心者にもわかりやすい内容です。

演題 よみがえる古代の真実 〜「日本国」年号が始まる以前の姿〜
日時 2019年1月12日(土) 14:00〜16:15
講師 大下隆司さん(「豊中歴史の会」主宰、古田史学の会・会員)
会場 千里文化センター「コラボ」 3階  第1講座室
   (豊中市新千里東町1-2-2) ※大阪急行「千里中央駅」下車すぐ
参加費 無料 定員70名
お申込・お問合せ 千里文化センター事務局 ℡06-6831-4133
主催 千里文化センター市民実行委員会・豊中市

 日本の古代史は『日本書紀』を「主」とし、神話は架空の出来事、中国史書は信頼性がないとされ「従」として描かれてきました。ところが世界では各地の遺跡発掘が進み、神話にも歴史的事実が反映されていることがわかり、中国史書にある周辺諸国の記述も再評価されています。日本の古代史も、神話や『古事記』を詳しく分析し、また中国史書の記述を率直に読み、組み立てていくとどうなるのでしょうか。私たちが学校で学んだ歴史とは全く違った姿が浮かび上がってきました。スライドを使い分かり易く、日本の古代の真実の姿を紹介します。(案内ポスターより転載)


第1802話 2018/12/15

服部さんの太宰府条坊研究の画期

 今日、「古田史学の会」関西例会がi-siteなんばで開催されました。1月、2月はi-siteなんば、3月は府立労働センター(エル大阪)で開催します。
 恒例の新春古代史講演会は2月3日(日)に大阪府立ドーンセンターで開催します。皆さんのご参加をお願いします。
 今月の例会では服部さんの太宰府条坊都市に関する発表が特に優れていました。おそらく、古田学派における太宰府条坊研究では五指に入る内容でした。一元史観の通説では、難波を監督する摂津職と並んで、大宰府は九州を監督する大宝律令下の特別な地方官衙と位置付けられ、朝堂院様式の政庁Ⅱ期遺構や条坊の規模はそれに対応する規模であると考えられてきました。九州王朝説の立場からは首都に相応しい条坊都市とされてきたのですが、服部さんは『養老律令』などに記された冠位毎の家地面積規定を根拠に、大和朝廷の平城京の律令官人の人数に必要な面積に匹敵することを明らかにされました。その論証に用いられた方法論は誰でも検証可能な単純明瞭なものであり説得力を感じました。論文発表が楽しみな研究です。
 今回の例会発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔12月度関西例会の内容〕
①飛ぶ鳥の「アスカ」は「安宿」(その2)-奈良時代の飛鳥姓、安宿姓-(京都市・岡下英男)
②県風土記から九州王朝を見る(茨木市・満田正賢)
③大宰府条坊の存在はそこが首都だったことを証明する(八尾市・服部静尚)
④「干支一年のズレ」仮説に関する批評について(神戸市・谷本 茂)
⑤「埴土」の神事について再考(奈良市・原 幸子)
⑥平成三十年(2018年)の総括(東大阪市・萩野秀公)
⑦ヤマトの神武と欠史八代 -銅矛圏(筑紫)から銅鐸圏へ-(川西市・正木 裕)

○事務局長報告(川西市・正木 裕)
 新入会員、会費納入状況の報告・『古代に真実を求めて』22集編集状況・2019/02/03新春古代史講演会(大阪府立ドーンセンター)の案内、講師:山田春廣氏(会員・千葉県鴨川市)、清水邦彦氏(茨木市立文化財資料館学芸員)・01/08「古代大和史研究会(原幸子代表)」講演会(講師:正木裕さん)・12/26「水曜研究会」の案内(最終水曜日に開催、豊中倶楽部自治会館。連絡先:服部静尚さん)・12/21「誰も知らなかった古代史」(森ノ宮)の案内・「古田史学の会」関西例会会場、1月、2月はi-siteなんば、3月は府立労働センター(エル大阪)・ホームページ「新・古代学の扉」掲載の古田先生の原稿等削除の報告・新たな講演会、研究会の展開(京都市、和泉史談会)・漢詩の研究会・その他


第1792話 2018/11/30

11月に配信した「洛中洛外日記【号外】」

 11月に配信した「洛中洛外日記【号外】」のタイトルをご紹介します。今月は新八王子セミナー(11/10-11)、「古田史学の会」関西例会(11/17)、『古代に真実を求めて』編集会議(11/18)などのため、土日の休みなしで働きづめの日々が続きました。そのためか〝親知らず〟がまた痛みだし、難儀しています。
 「洛中洛外日記【号外】」配信を希望される「古田史学の会」会員は担当(竹村順弘事務局次長 yorihiro.takemura@gmail.com)まで、会員番号を添えてメールでお申し込みください。
 ※「洛中洛外日記」「同【号外】」のメール配信は「古田史学の会」会員限定サービスです。

《11月「洛中洛外日記【号外】」配信タイトル》
2018/11/14 桂米團治師匠還暦お祝いの招待状
2018/11/25 『古代に真実を求めて』22集の編集状況
2018/11/27 『東京古田会ニュース』183号のご紹介
2018/11/30 無形文化遺産「なまはげ」の古代史


第1788話 2018/11/21

大下隆司さん「出版記念講演会」のご案内

 『「日出処の天子」は誰か』(ミネルヴァ書房、2018年8月)を上梓された大下隆司さん(古田史学の会・会員、豊中市)が「出版記念講演会」で講演されることになりましたのでご案内します。
 同書は古田史学の入門書としても好評を博しており、その出版記念講演会は古田史学を広く世に知らせるためにも貴重な取り組みです。詳細は下記の通り。皆様のご参加をお願いいたします。

現代版寺子屋(吹田)
出版記念講演:「日出処の天子」は誰か -よみがえる古代の真実-
講師(著者):大下隆司氏(古代史研究家)
日時:2018年12月22日(土) 午前10時30〜12時
場所:大阪府吹田市津雲台1-2-1 千里ニュータウンプラザ6F「ラコルタ」内会議室①
 ※阪急千里線「南千里駅」改札口を出てすぐ左のビルです(直結)。
参加費:200円(会議室使用料)

 -「日出処の天子」=聖徳太子は何の根拠もない虚像だった-
 私たち日本人はみな、「日出処の天子」は聖徳太子であると、教科書などで教えられてきた。しかし、それは何の根拠もなく作り上げられた虚像だった。この本により今まで当たり前だと考えられていた古代史の「常識」が根底から覆される。「平成」年号はまもなく改元されます。「日本国」の年号は大宝元年(701年)にはじまり、今まで連綿と絶えることなく続いてきました。それ以前には年号はなかったのでしょうか?

主催:「現代版寺子屋の会(吹田市公益活動団体)」
   代表:布川清司(神戸大学名誉教授。民衆思想史)
   問合せ先:城間 080-3798-2629
(参考文献:大下隆司、山浦純『「日出処の天子」は誰か』ミネルヴァ書房、2018年8月) 定価(本体1,800円+税)


第1786話 2018/11/17

「環濠」集落吉野ヶ里遺跡の虚構

 今日、「古田史学の会」関西例会が「福島区民センター」で開催されました。12月、1月、2月は「i-siteなんば」に会場が戻ります。
 今回の例会でも驚きの報告がありました。それは文献史学の研究が多い古田学派の中にあって、考古学分野の研究を数多く発表されてきた大原重雄さん(京都府大山崎町)の「弥生環濠集落を防御面で見ることの疑問点」というテーマで、吉野ヶ里遺跡の環濠集落は「環濠」や「土塁・柵」が考古学者の誤った解釈により誤「復元」されたものであり、土塁や柵の存在は確認されておらず、防衛のために集落を囲んだとされた「環濠」は川から集落へ生活用水を取り込むための流路(人工河)、あるいは洪水に備えた治水設備とする見解が紹介されました。
 吉野ヶ里遺跡の解説地図なども見せて頂きましたが、たしかに「環濠」とするよりも生活用水確保のための流路(人工河)と見た方が妥当と思われましたし、何よりも「環濠」の外側に「土塁・柵」が位置することから、防衛に不適な構造であることが以前から指摘されてきたところでもあります。ましてや復元された「土塁」やその上の「柵」が出土していなかったという事実に驚きました。すなわち、「環濠」の外側に位置する土塁や柵は考古学者の想像により「復元」されたものであり、当の考古学者も後に誤りを認めていたということにも驚きました。こうしたことをわたしは大原さんの発表を聞くまで知りませんでした。すなわち、吉野ヶ里遺跡は「環濠」集落ではなかったのです。
 考古学者の最初の誤りにより、後々まで吉野ヶ里遺跡の性格や復元に間違った影響を与えたという今回のケースは、歴史研究者に警鐘を鳴らすものとして受け止める必要を感じました。
 今回の発表は次の通りでした。なお、発表者はレジュメを40部作成されるようお願いします。発表希望者も増えていますので、早めに西村秀己さんにメール(携帯電話アドレス)か電話で発表申請を行ってください。

〔11月度関西例会の内容〕
①倭国律令以前の税体制の一考察(八尾市・服部静尚)
②岩戸山古墳と今城塚古墳の相似について(茨木市・満田正賢)
③飛ぶ鳥の「アスカ」は「安宿」(京都市・岡下英男)
④弥生環濠集落を防御面で見ることの疑問点(大山崎町・大原重雄)
⑤元明天皇(阿閇皇女)について(東大阪市・萩野秀公)
⑥『書紀』天武紀の改革と九州王朝の常色期の改革(川西市・正木裕)

○事務局長報告(川西市・正木裕)
 新入会員の報告・11/10-11「古田武彦記念新八王子セミナー」の報告・2019/02/03新春古代史講演会(大阪府立ドーンセンター)の案内(講師:山田春廣氏、他。詳細は後日)・12/04「古代大和史研究会(原幸子代表)」講演会(講師:正木裕さん)・11/28「水曜研究会」の案内(最終水曜日に開催、豊中倶楽部自治会館。連絡先:服部静尚さん)・11/30「誰も知らなかった古代史」(森ノ宮)の案内・「古田史学の会」関西例会会場、12月、1月、2月は「i-siteなんば」・ホームページ「新・古代学の扉」掲載の古田先生の原稿等削除要請を承諾・『古代に真実を求めて』22集編集状況・その他