第1150話 2016/03/15

上田正昭著『東アジアと海上の道』の思い出

 古代史研究者の上田正昭さんが3月13日に亡くなられました。享年88歳。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。昨年の古田先生のご逝去に続いて、古代史学界の重鎮が相次いでお隠れになり、新時代の到来を感じざるを得ません。
 古田先生も上田さんの著書『日本の神話を考える』の書評を産経新聞(1995.2.14、夕刊)に書かれたことがあります。『古田史学会報』6号(1995.4)に転載していますので、ご覧ください。
 わたしも上田さんの著書『東アジアと海上の道』(明石書店、1997,4)を持っていますが、発刊の年に明石書店の石井社長(現会長)からいただいたものです。その中に興味深い内容がありました。皇位継承のシンボルとして「三種の神器」の他に、百済国からもらった「大刀契(たいとけい)」という剣の存在が紹介されているのですが、百済国から献じられたということですから、本来は九州王朝がもらったことになります。
 百済国からの献上物として有名なものは石上神社の七支刀がありますが、これ以外にもこの「大刀契」というものがあったことが様々な史料に残されています。とても興味深いテーマだと思いますが、九州王朝研究としてまだ誰も取り上げていないのではないでしょうか。わたしも取り組んでみたいテーマです。

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