第3333話 2024/08/18

『古田史学会報』183号の紹介

 先日、発行された『古田史学会報』183号を紹介します。同号には拙稿〝難波宮から出土した「九州王朝」 ―泉武論文の欠失と新視点―〟を掲載して頂きました。同稿は、前期難波宮整地層下の土壙(SK10043)から出土した「贄」木簡(注①)や水利施設(第7B層)から出土した「謹啓」木簡(注②)を根拠に、前期難波宮を天武朝造営とする泉武論文(注③)を批判したものです。その要点は、この木簡の文字こそ、九州王朝の有力者に捧げられた「贄(にえ)」「謹啓(謹んで啓す)」を意味し、前期難波宮が九州王朝の王宮であることの根拠としました。

 本号で、陶山具史さん(防府市)さんが会報デビューしました。倉沢稿は放送大学での「古田史学サークル」立ち上げの呼びかけです。二名以上の学生による届け出で、サークルとして認定され、学内の掲示板に「古田史学の会」のポスター等が掲示できるとのこと。関東でのこうした地道な活動を「古田史学の会」としても応援したいと思います。

 この他に、「古田史学の会・メール配信事業」、10月27日(日)開催の創立30周年記念東京講演会の案内などを掲載しました。同東京講演会の案内チラシを作成しましたので、配布や掲示していただける関東エリアの方があれば、本会までその旨ご一報下さい。

 『古田史学会報』に論文を投稿される方は字数制限(400字詰め原稿用紙15枚)に配慮され、テーマを絞り込み簡潔でわかりやすい原稿にしてください。地域の情報紹介や面白い話題提供なども歓迎します。
183号に掲載された論稿は次の通りです。

【『古田史学会報』183号の内容】
○難波宮から出土した「九州王朝」 ―泉武論文の欠失と新視点― 京都市 古賀達也
○香川県の九州年号史料 「長尾三家由緒」の紹介 高知市 別役政光
○稲員家系図の史料批判と高良玉垂命の年代 たつの市 日野智貴
○2024年度 会費納入のお願い
○神功皇后の喪船と空船による策略の謎 京都府大山崎町 大原重雄
○九州王朝倭国とタケシウチノスクネの生誕地 防府市 陶山具史
○『古代に真実を求めて』二八集 投稿募集要項
○放送大学に古田史学サークルを 千葉市 倉沢良典
○「古田史学の会」メール配信のお知らせ 古田史学の会・代表 古賀達也
○古田史学の会 第三十回会員総会の報告
○古田史学の会 2023年度会計報告 2024年度予算
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○古田史学の会・関西例会のご案内
○創立三十周年 東京講演会のお知らせ
○「会員募集」ご協力のお願い
○編集後記 西村秀己

(注)
①「・□□□□・□□〔比罷ヵ〕尓ア」
東野治之氏の釈読によれば、「此罷」は枇杷、「尓ア」は贄(にえ)とのこと。
②「謹啓」 *「□然而」 *□[初ヵ]
③泉武「前期難波宮孝徳朝説の検討」『橿原考古学研究所論集十七』二〇一八年。
同「前期難波宮孝徳朝説批判(その2)」『考古学論攷 橿原考古学研究所紀要』四六巻、二〇二三年。

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