第1506話 2017/09/24

大阪歴博で市大樹さんの講演を聴講

 昨日は大阪歴博で開催された「大坂の歴史を掘る2017」の市大樹さん(大阪大学・準教授)の講演を聴講しました。「古田史学の会」からは小林嘉朗副代表、正木裕事務局長、服部静尚編集長、久冨直子さんも参加されました。
 市さんの講演主旨は、前期難波宮の造営を従来説より早く開始されたとされ、白雉改元儀式も完成の二年前の650年に前期難波宮で開催されたとする新説です。「洛中洛外日記」1470話「白雉改元『難波長柄豊碕宮』説」に市さんの当該論文「難波長柄豊碕宮の造営過程」を紹介していますので、ご参照ください。
 率直な感想としては、『日本書紀』孝徳紀の記事を無批判に「是」として、それを前提に各記事を解釈するという、言わば仮説に仮説を積み重ねるというかなり無茶な方法論が採用されており、古田史学の学問の方法とは異なると感じました。ただ、従来説の弱点であった、白雉改元の儀式を行った宮殿が上町台地のどこであったのか不明という難題に対して、果敢に一元史観の立場から挑戦された姿勢は、同じ研究者として共感できました。
 講演終了後に市さんに御挨拶し、「古田史学の会・代表」の名刺を差し上げました。司会を歴博の考古学者、李陽浩さんがされておられましたので、李さんにも御挨拶しました。李さんは古代建築研究の第一人者で、優れた論文を数多く発表されています。わたしも前期難波宮のことについて多くのことを教えていただいています。いつか「古田史学の会」で講演していただければと考えています。

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