第696話 2014/04/19

隼人の吠声(はいせい)は警蹕(けいひつ)

 本日の関西例会はいつもより発表件数が少なかったこともあり、昨今、マスコミや一般国民も巻き込んで話題となっているSTAP論文騒動について、学問の問題としての視点から、急遽、わたしの見解を発表することとなりました。
 ネイチャー誌に論文を発表したこともなければ小保方さんのSTAP論文(もっとも査読が厳しいとされるネイチャー誌が掲載に値するとした論文)さえもまともに読んだこともないようなマスコミによる常軌を逸したバッシングを「集団によるリンチ(私刑)」ではないかとわたしは思っていましたので、そもそも学術論文とは何か、「お金」のための研究(例えば特許出願。新発見の事業化により社会に貢献する)と真理追究のための学術論文発表(自らの発見や仮説を「公 知」として社会に無償提供し、科学の発展や人類の幸せに貢献する)の性格の違いと、それぞれに必要とされる要件(実験ノートの必要性の有無など。「お金」 のための研究の場合は工業的所有権〔特許権〕の争いを想定して、詳細な日付入り実験ノートの作成が要求される)の違いについて見解を述べました。幸い、多くの例会参加者のご賛同をいただき、昨今のマスコミや御用学者の「多数意見」に惑わされない「古田史学の会」関西例会参加者が多いことに安心しました。
 本日の関西例会では下記の発表がなされました。中でも正木さんの発表は、隼人の吠声(はいせい)とされているものは九州王朝における警蹕(けいひつ。天 子の移動の際の先触れの声)であり、神聖な儀礼の一つであるとされました。警蹕は現在でも神社の御神体の移動などで神官により発声(「おー」という発声)される重要で伝統的な所作であることを、ユーチューブの動画(大麻比古神社〔阿波国一宮〕の御遷座の様子)をプロジェクターの映像で説明されました。
 更に能楽の「翁」の三番叟(さんばそう)の舞に、隼人舞の起源とされる海幸・山幸伝承に記された海幸の奇妙な所作が伝承されているとされ、これもプロジェクターによる映像で説明されました。インターネット時代らしくハイテク技術を駆使して、古代の真実を明らかにするという発表方法も素晴らしいものでし た。

〔4月度関西例会の内容〕
1). 故中小路氏の仏教公伝論について(八尾市・服部静尚、代読:竹村順弘)
2). STAP論文騒動への批判的考察(京都市・古賀達也)
3). ニギハヤヒを追う(東大阪市・萩野秀公)
4). 「魏年号銘」鏡(京都市・岡下英男)
5). 海幸・山幸と「吠ゆる狗・俳優の伎」(川西市・正木裕)

○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
 古田先生近況・会務報告・『古代は輝いていたⅠ』ミネルヴァ書房から復刊。II・III も続刊・古田先生検査入院予定・『古代に真実を求めて』17集編集状況・明石~淡路島ハイキング「絵島」「大和島」見学・紹興本『三国志』に「倭人傳」と いう伝目はない・小磯千尋著『インド哲学と食』・その他

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