『先代旧事本紀』研究の予察 (1)
昨日の「多元の会」のリモート研究会で、「日本に仏教を伝えた僧 ―仏教伝来「戊午年」伝承と雷山千如寺・清賀上人―」を発表させていただきました。古田史学に入門した35年ほど前の若い頃に書いた拙論(注)に基づいた発表ですが、現在でもその論旨は有効ではないかと思っています。2019年に若干の修正を加えリライトしましたが、新たな知見や研究により修正を続けたいと願っています。
同リモート研究会では、終了後も残った「多元の会」会員の方々と学問研究について意見交換が行われることがあり、わたしもその時間を楽しみにしています。昨日も赤尾恭司さんや鈴木浩さんらと「磐井の乱」について意見交換しました。その中で、岩井を討った物部麁鹿火をはじめとする物部氏研究の必要性を訴えました。
というのも、九州王朝の王族は物部氏であったと考えられないでしょうかと古田先生におたずねしたことがあり、その可能性もありますとの返答でしたが、先生晩年の頃の会話でしたので、物部氏研究は手つかずのままとなっていました。近年では日野智貴さん(古田史学の会・会員、たつの市)が物部氏関連の研究を始められたこともあり、わたしも一念発起して、物部氏に関わる代表的古典『先代旧事本紀』を読み直しています。長期にわたる研究になりそうですので、勉強の進捗状況を「洛中洛外日記」で報告することにより、読者からのご指摘・ご教示をいただければと願っています。(つづく)
(注)古賀達也「倭国に仏教を伝えたのは誰か ―「仏教伝来」戊午年伝承の研究―」『古代に真実を求めて』第1集、古田史学の会編、1996年。1999年に明石書店から復刻。