十三弁軒丸瓦とフィボナッチ数列
「洛中洛外日記」読者で久留米大学の公開講座にも参加されている菊池哲子さん(久留米市)から、興味深い情報を記したメールが届きました。九州王朝の十三弁菊花紋についての仮説(注①)に関する情報です。
この十三弁紋は筑後地方から出土する軒丸瓦(注②)が十三弁蓮華紋であることとも対応しており、とても興味深いものですが、製造にあたり均等に分割しにくい十三弁にした理由が不明でした。ところが、菊池さんからのメールによれば、この13という数値は自然界によく現れるフィボナッチ数列であり、古代蓮の花弁は十三弁が基本であるとのことなのです。メールには次のような説明がありました。
〝自然界によく表れてくる[フェボナッチ数列]というのがあり、「どんな花であっても花弁は3,5,8,13,21枚…のようになる」ことが多いとか。直前の2つの数の和が次の数となり、隣り合う数の比は限りなく黄金比に近づく…のだとか。花弁も品種で付き方に法則性があって、アサガオは1枚、ユリ3枚、サクラ5枚、コスモス8枚、キク科13・21・34・55枚など、花占いはだいたい初めから結果はわかっているそうです。13はこれだったのかなと思います。(中略)調べると古代のハスは、今の品種改良が進んだものと違い花弁が少なく、13枚が基本のようです。〟
フィボナッチ数列とはイタリアの数学者フィボナッチ(1170~1259年頃)が紹介したもので、1・1・2・3・5・8・13・21・34・55・89・144~のように、前の2つの数字を足した数字という規則の数列です。この数値が自然界、中でも植物によく見られることは知っていましたが、まさか古代蓮が13弁だったとは知りませんでしたし、このフィボナッチ数列が九州王朝の家紋や筑後地方の十三弁蓮華紋軒丸瓦と関係するというアイデアなど思いもつきませんでした。これらが偶然の一致なのか、因果関係があるのかは分かりませんが、こうした視点にも留意して研究を進めたいと思います。菊池さんのご教示に感謝いたします。
(注)
①古賀達也「洛中洛外日記」992話(2015/07/03)〝九州王朝の家紋「十三弁の菊」説〟
②同「洛中洛外日記」1180話(2016/05/04)〝犬塚さんから十二弁、十三弁紋の調査報告〟
同「洛中洛外日記」1181話(2016/05/04)〝十二弁、十三弁蓮華紋瓦の調査報告〟
同「洛中洛外日記」1188話(2016/05/16)〝十三弁花紋と五十猛命と九州王朝〟
同「九州王朝の家紋(十三弁紋)の調査」『古田史学会報』138号、2017年。