第3366話 2024/10/10

関川さんから

  『葛城の考古学』をいただく

 過日、奈良市で関川尚功(せきがわ ひさよし)先生と10/27東京講演会の最終打ち合わせを行った際、著書『葛城の考古学』(注)をいただきました。同書は、一般の古代史ファンや考古学ファン向けというよりも、研究者向けの専門書です。奈良盆地の南西部にあたる葛城の地から出土した遺構・遺物を紹介したもので、時代的には旧石器から律令国家までを網羅したもの。関川先生はその中の下記の項目を執筆されています。

 第2章 初期農耕文化の展開と地域統合
第3節 ムラからクニへ
1 集落の動向
2 高地性集落の出現

 第3章 葛城氏の勃興と古墳文化
第1節 台頭した地域の首長層
1 葛城北部における首長墓の出現と系譜
2 葛城南部における首長墓とその特色
第2節 馬見古墳群と葛城の天皇陵
1 馬見古墳群
2 王墓と石棺
3 埴輪や木製品にみる古墳の葬祭

 次にお会いする10月27日の東京講演会までには読んでおかなければならないと思い、『古代に真実を求めて』投稿論文の査読の合間に読んでいますが、奈良県の古墳時代の基礎知識や葛城地方の土地勘がないこともあって、難渋しています。

 しかし、読んでいて気づいたのですが、九州や他の地方の古墳とは異なり、『日本書紀』や延喜式などを根拠に、被葬者を推定しながら仮説や論が展開されており、今まで読んだ弥生や古墳時代の考古学専門書とは雰囲気が異なるのです。この点は、文献史学を研究しているわたしにも、興味深く拝読できました。

 相変わらず超多忙な日々が続いていますが、頑張って読破します。なお、東京講演会のリハーサルで説明を受けた古墳や遺物、銅鏡などが同書に紹介されており、この点は理解が進みました。

(注)松田真一編『葛城の考古学 ―先史・古代研究の最前線―』八木書房、2022年。

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