第2978話 2023/04/02

菅谷文則著

『大安寺伽藍縁起并流記資財帳を読む』

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 本日の橿原市でのシンポジウム(注①)は、満席で入りきれない方も出るほどの大盛況でした。奈良県民の皆さんは土地柄からか歴史に関心が高く、ご質問の内容も深いものでした。
会場の橿原文化会館に早めに着きましたので、お隣にある近鉄百貨店内のジュンク堂書店で歴史関連書籍の棚を見てきました。今、研究を続けている大安寺関連の本が並んでいましたので、その中から菅谷文則著『大安寺伽藍縁起并流記資財帳を読む』(注②)を買いました。著者の菅谷文則さん(1942~2019年)は橿原考古学研究所々長を務めた考古学者です。同書は菅谷さんの講演内容を森下恵介さん(橿原考古学研究所共同研究員)がとりまとめたものとのこと。
同書を読み始め、真っ先に確認したのが菅谷さんが同縁起中の「仲天皇」と「袁智天皇」を誰のこととしているのかです。結論のみを言えば、「仲天皇」を天智の妃の倭姫命、「袁智天皇」を皇極太上天皇としています。この比定の根拠や理由は、同書には示されていないようです。「仲天皇」を倭姫命とすることは理解できますが、「袁智天皇」を皇極とする説は微妙です。引き続き、検討します。

(注)
①「シンポジウム 徹底討論 真説・藤原京」古代大和史研究会(原幸子会長)主催、古田史学の会後援。
②菅谷文則著『大安寺伽藍縁起并流記資財帳を読む』東方出版、2020年。

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