2015年03月11日一覧

第895話 2015/03/11

神籠石築城は

プレカット工法(3)

 神籠石山城の列石はプレカット工法により、石切場であらかじめ所定の大きさに切りそろえた石材を現地で並べていったと考えているのですが、その場合、巨石運搬のための専用道路が必要です。しかし、山頂や中腹へ巨石を運ぶための道路建設も大変な労力を要しますし、築城後はその道路を取り壊さなければならないとしたら、それにも余分に労力が必要となります。そこで考えたのですが、山肌を平坦に切り開いた運搬用道路にそのまま巨石を並べ、列石にしたのではないでしょうか。具体的には次のような工程です。

1,築城箇所の一番底部から山の斜面を切り開き、石材を運搬できる平坦な道路を造りながら、下から石材を運搬し、順次上へと道路上に石を並べていく。
2.石を並べながら、山の上部に向けて平坦な運搬用道路を切り開いていく。
3.山を切り開くときに発生した残土は、既に並べ終えた列石の上の盛り土に使用する。その際、版築工法を用い、土を突き固めながら列石上に土塁を構築する。この土塁を築かないと、一段列石だけでは低すぎて、防御壁の役割を果たせません。
4.以上の工程で山の下の出発点から、右回りと左回りで同時に列石を延ばしていく。
5.途中、水源からの沢にぶつかったら、積石タイプの水門を建造する。
6.この工程を続け、最終的に列石が山の頂上付近、あるいは築城開始地点の反対側で繋がる。所々に門も作っておく。
7,こうして、列石と版築による土塁や門が完成したら、列石の外側に柵を設置する。
8.最後に、列石内部に籠城用の居住施設や武器庫・食料倉庫・見張り台・のろし台などを造営する。

 以上ですが、これだと無駄なく最小限の労力で築城できるように思うのですが、いかがでしょうか。(つづく)