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第1406話 2017/05/27

大阪歴博『研究紀要』15号を閲覧

 先日、大阪歴博に行き、最新の報告書を探しました。すると、本年3月発行の大阪歴博『研究紀要』15号があり、閲覧しました。余談ですが、大阪歴博の図書コーナーの受付の方や相談員の方(考古学者)にはいつも懇切丁寧に質問や書籍照会に応じていただき、感謝しています。
 『研究紀要』15号には次の3稿が特に注目すべき内容でしたので、コピーしました。

○村上健一「隋唐初の複都制 七世紀複都制解明の手がかりとして」
○佐藤 隆「難波と飛鳥、ふたつの都は土器からどう見えるか」
○栄原永遠男「難波屯倉と古代王権 -難波長柄豊碕宮の前夜-」

 村上稿は日本の複都制への中国の隋唐朝の影響について論じられたものです。佐藤稿は最新の土器研究に基づき難波編年と飛鳥編年、さらには『日本書紀』の記述との関係性について論じられたもの。栄原稿は文献史学により「難波屯倉」について論じられたもので、いずれも一元史観に立ってはいるものの、参考になる内容を含んでいました。
 とりわけ、佐藤稿は出土土器の最新状況や難波編年と飛鳥編年の関係性に論究した優れたものでした。『日本書紀』の記述との一致や不一致についても丁寧に論じられており、多元史観にとっても示唆に富むものでした。考古学の専門用語が多く、難解ではありますが、繰り返し精読しています。九州王朝説でなければ説明できないような、とても面白い指摘が随所に見えますので、これから「洛中洛外日記」で紹介していきます。お楽しみに。