第1095話 2015/11/21

関西例会で赤淵神社文書調査報告

 今日の関西例会は冒頭に西村さんから、那須与一が扇の的を射たのは現地伝承の高松市牟礼町側(東側)ではなく、西の屋島側からとする考察が発表されました。西側からでないと逆光(夕日)となり、眩しくて的を射ることは困難とのことです。また、その日の戦闘で那須与一は屋島の「内裏」焼き討ちに参戦しており、屋島側にいたことは明らかです。従って、現在の「現地伝承」は信用できないとされました。
 正木裕さんからは、北海道のアイヌの聖地(沙流川水系額平川・沙流郡平取町)から産出される「アオトラ石(縄文時代の石斧の材料・緑色片岩の一種)」を紹介され、古田先生が『真実の東北王朝』で記されたとおり、アイヌ神話(アイヌの「天孫降臨神話」)が縄文時代にまで遡ることを報告されました。
 11月18日に実施した朝来市の赤淵神社文書現地調査報告として、茂山憲史さんが撮影された文書の写真をプロジェクターで映写し、正木さんから説明されました。
 わたしからも、赤淵神社縁起が2種類あり、どちらがより原型を保っているのか史料批判上判断しがたいことを説明しました。いずれにしても平安時代成立(天長5年、828年)の史料に九州年号の「常色」や「朱雀」が記されていることには違いなく、九州年号を鎌倉時代に僧侶が偽作したとする「通説」を否定する直接史料であることを強調しました。引き続き、同史料の調査分析を進めたいと思います。
 11月例会の発表は次の通りでした。

〔11月度関西例会の内容〕
①那須与一「扇の的」の現場検証(高松市・西村秀己)
②「最勝会」について(八尾市・服部静尚)
国伝の「東西五月行南北三月行」(姫路市・野田利郎)
④『園部垣内古墳』を読んで(京都市・岡下英男)
⑤『真実の東北王朝』は「真実」だった(川西市・正木裕)
⑥赤淵神社文書映写(茂山憲史氏撮影。解説:正木裕さん)
⑦赤淵神社文書現地調査報告(京都市・古賀達也)

○水野顧問報告(奈良市・水野孝夫)
 古田先生追悼会の準備・森嶋瑤子さん(森嶋通夫夫人)へメッセージ要請・KBS京都「本日、米團治日和」テープ起しの校正・史跡巡りハイキング(阪神香櫨園駅周辺、辰馬考古資料館)・TV視聴(奈良大学文学講座)・光石真由美『旅を書く』・大橋乙羽『千山萬水』・その他

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