第2611話 2021/11/10

『多元』No.166掲載

「『古事記』序文の『皇帝陛下』」の紹介

 先日、友好団体「多元的古代研究会」の会紙『多元』No.166が届きました。同号の一面に拙稿「『古事記』序文の『皇帝陛下』」を掲載していただきました。ご評価頂き有り難いことです。
 同稿は、15年ほど前に古田先生との意見交換(内実は論争)で何度も対立したテーマを紹介しました。それは、『古事記』序文に見える「皇帝陛下」を唐の天子とするのか、通説通り元明天皇とするのかという問題で、ついには古田先生のご自宅まで呼び出され、長時間の論争となった、いわく付きのテーマでした。今となっては懐かしい限りですが、当時は先生から散々叱られて、泣きそうになりました。しかし、自らが正しいと思うことについては頑張ってみるもので、最終的には通説でよいとする論文を先生は『多元』(注)で発表されました。
 ご自宅での論争の数日後、先生は書き上げたばかりの二百字詰め原稿用紙30枚に及ぶ「お便り」を拙宅まで持参され、その最後には「わたしは古賀さんを信じます」の一言が付されており、激しい〝師弟論争〟も「破門」されることなく終わりました。31歳のあの日、古田先生の門をたたいてから35年が過ぎました。先生からはよく叱られ、何歳になっても震え上がったものです。

(注)古田武彦「古事記命題」『多元』80号、2007年7月。

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