2018年03月30日一覧

第1636話 2018/03/30

『発見された倭京 太宰府都城と官道』

  書評(3)

 『発見された倭京 太宰府都城と官道』の主テーマは太宰府条坊都市とそれを守る水城や大野城などの防衛施設ですが、併せて古代官道も特集しました。本書に古代官道特集を加えた理由について説明します。
 九州王朝説による古代官道論については合田洋一さんや肥沼孝治さんによる先駆的研究がありましたが、特集のきっかけとなったのは補完的で際立った二つの論文の出現でした。ひとつは西村秀己さんの「五畿七道の謎」、もうひとつは山田春廣さんの「『東山道十五國』の比定-西村論文『五畿七道の謎』の例証」です。
 西村論文は発表前に西村さんからその概要はお聞きしていました。五畿七道に「北海道」が無いことを指摘され、壱岐・対馬へと続く海路こそ九州王朝の「北海道」であったとされ、その他の東海道や北陸道なども、本来は九州王朝の都(筑前)を起点としていたとする仮説です。西村さんらしい骨太な論証で注目していたのですが、その具体的な例証を提示されたのが山田論文です。
 山田さんは『日本書紀』景行紀に見える不思議な記事「東山道十五国」について、一元史観では東山道には十五国もなく説明つかないが、九州王朝説によれば筑前を起点として東北地方までの経過国数がぴったり十五国であることを見いだされ、西村仮説が成立することを見事に論証されました。
 この二つの論稿を契機に、九州王朝官道論と太宰府都城論を並べることにより、九州王朝の勢力範囲や権力構造を多面的に把握することができるはずと思いました。そのような判断から、第二特集として「九州王朝の古代官道」を加えました。両論文は古田説・九州王朝説を発展させた論証重視の秀逸の研究成果です。(つづく)


第1635話 2018/03/30

3月に配信した「洛中洛外日記【号外】」

 3月に配信した「洛中洛外日記【号外】」のタイトルをご紹介します。
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《3月「洛中洛外日記【号外】」配信タイトル》
2018/03/04 『多元』144号のご紹介
2018/03/10 高安城の築城目的(正木さんからのメール)
2018/03/11 武田鉄矢さんの「倭人傳」
2018/03/22 九州歴史資料館での学術面談