第2806話 2022/08/10

九州年号「勝照二年」棟札の紹介

 「洛中洛外日記」2790話(2022/07/18)〝「九州年号棟札」記事の紹介〟で九州年号が記された棟札を紹介し、2803話(2022/08/07)〝二枚あった慈眼院「定居二年」棟札〟で、「定居二年(612年)」が記された泉佐野市日根野慈眼院所蔵の棟札を追加しました。その後、「勝照二年(586年)」と記された棟札が高知県高岡郡日高村の小村神社にあることを報告した別役政光さん(古田史学の会・会員、高知市)の論稿を思い出しました。それは『古田史学会報』146号に掲載された「実在した土佐の九州年号 小村神社の鎮座は『勝照二年』」 です。
 別役稿によれば、同棟札は貞和三年(1347年)の成立で、同時代九州年号史料ではありませんが、九州年号で由来を記す貴重なものです。現存しているようでので、実見してみたいものです。
 従って現時点の知見では、「九州年号棟札」記事は下記の通りです。

(1) 賢称(576~580年) 「賢称」『偽年号考』 神明社棟札 愛知県渥美郡大津村神明社
(2) 鏡當(581~584年) 「鏡常」 蓮城寺棟札 大分県大野郡三重町蓮城寺
(3) 勝照二年(586年) 「勝照二年」『土佐遺語』 土佐国二宮小村神社貞和三年(1347年)棟札 高知県高岡郡日高村小村神社
(4) 勝照四年(588年) 「勝照四年戊申」『山形県金石文』羽黒山棟札 山形県東田川郡羽黒町羽黒山本社
(5) 定居二年(612年) 「定居二年壬申四月二日」 日根神社棟札 泉佐野市日根野 慈眼院所蔵
(6) 定居二年(612年) 「古三韓新羅国修明正覚王」「定居二年壬申卯月二日」 日根神社棟札 泉佐野市日根野 慈眼院所蔵
(7) 白雉二年(653年) 「此社白雉二年創造の由、棟札に明らかなり。又白雉の舊材、今も尚残れり」「又其初の社を解く時、臍の合口に白雉二年に造営する由、書付けてありしと云」『太宰管内志』豊後之四・直入郡「建男霜凝日子神社」

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