読んでおきたい、古田武彦「風土記」論
『古代に真実を求めて』28集の特集テーマ「風土記・地誌の九州王朝」の企画構成案を練っています。ある程度まとまれば、編集会議を招集して提案し、編集部員のご意見や企画案も聞かせていただく予定です。
自らの投稿原稿についても執筆準備をしています。それに先だち、古田先生の「風土記」関連論文の読み直しも進めています。古田「風土記」論を久しぶりに集中して勉強していますが、その代表的関連論文を紹介します。特集論文の投稿を予定されている方にも読んでおいていただきたいものばかりです。なぜか、古田先生にしては『風土記』関連論文は比較的少なく、読破はそれほど難しくはありません。以下、そのジャンル分けを示します。
まず、風土記全般の重要テーマである、「県(あがた)」風土記と「郡(こおり)」風土記について論じたものが、❶❷❺❿⓫です。「県」風土記が九州地方に遺っていることから、九州王朝風土記(筑紫風土記)の存在という古田「風土記」論にとって不可欠の研究分野です。
『常陸国風土記』に関わって論じたものが、❸。『出雲国風土記』に関わって論じたものが、❸❻❼❽⓬⓭。『播磨国風土記』に関わって論じたものが、⓮。 「筑後国風土記逸文」と卑弥呼について論じたものが、❹❾です。いずれも懐かしいものばかりです。
《古田武彦「風土記」論 主要論文一覧》
❶「九州王朝の風土記」『市民の古代』第4集、新泉社、昭和57年(1982)。
❷「九州王朝にも風土記があった」『よみがえる九州王朝』角川選書、昭和58年(1983)。
❸「日本列島各地の神話」『古代は輝いていたⅠ――『風土記』にいた卑弥呼』朝日新聞社、昭和59年(1984)。
❹「卑弥呼論」『古代は輝いていたⅠ――『風土記』にいた卑弥呼』朝日新聞社、昭和59年(1984)。
❺「二つの『風土記』」『古代は輝いていたⅢ――』朝日新聞社、昭和60年(1985)。
❻「国造制の史料批判――出雲風土記における「国造と朝廷」」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❼「部民制の史料批判――出雲風土記を中心として」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❽「続・部民制の史料批判――「部」の始原と発展」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❾「卑弥呼の比定――「甕依姫」説の新展開」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❿「九州王朝の短里――東方の証言」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
⓫「二つの風土記と二つの里程」『倭人伝を徹底して読む』大阪出版、昭和62年(1987)。
⓬「出雲風土記の中の古代公害病」『古代は沈黙せず』駸々堂、昭和63年(1988)。
⓭「縄文文明を証明する「国引神話」」『吉野ヶ里の秘密』光文社、平成1年(1989)。
⓮「播磨風土記」『市民の古代』第12集、新泉社、平成2年(1990)。
この他にも、古田先生の重要論文があるかもしれません。ご教示いただければ幸いです。また、古田学派研究者による重要論文もあり、別の機会に紹介します。