古代に真実を求めて一覧

古田史学の会が年に一度発行している雑誌本です。

第3459話 2025/03/28

『列島の古代と風土記』

     が明石書店から届く

 本日、明石書店から『列島の古代と風土記』(『古代に真実を求めて』28集、全199頁)が届きました。自画自賛で申しわけありませんが、学問的にかなり優れた一冊です。古田史学・多元史観による風土記研究の大きな一歩ではないでしょうか。

 編集部の皆さん、執筆者の皆さん、なかでも全頁にわたり校正していただいた谷本茂さん・西村秀己さんに感謝いたします。

 古田史学の会・2024年度賛助会員(年会費5000円)の皆さんには、来週以降、西村さんが順次発送作業にはいりますので、しばらくお待ちください。書店やアマゾンからも購入可能です(定価2200円+税)。収録論文など、下記の通りです。

『列島の古代と風土記』(『古代に真実を求めて』28集)目次

【巻頭言】多元史観・九州王朝説は美しい 古賀達也

【特集】列島の古代と風土記
「多元史観」からみた風土記論―その論点の概要― 谷本 茂
風土記に記された倭国(九州王朝)の事績 正木 裕
筑前地誌で探る卑弥呼の墓―須玖岡本に眠る女王― 古賀達也
《コラム》卑弥呼とは言い切れない風土記逸文にみられる甕依姫に関して 大原重雄
筑紫の神と「高良玉垂命=武内宿禰」説 別役政光
新羅国王・脱解の故郷は北九州の田河にあった 野田利郎
新羅来襲伝承の真実―『嶺相記』と『高良記』の史料批判― 日野智貴
『播磨風土記』の地名再考・序説 谷本 茂
風土記の「羽衣伝承」と倭国(九州王朝)の東方経営 正木 裕
『常陸国風土記』に見る「評制・道制と国宰」 正木 裕
《コラム》九州地方の地誌紹介 古賀達也
《コラム》高知県内地誌と多元的古代史との接点 別役政光

【一般論文】
「志賀島・金印」を解明する 野田利郎
「松野連倭王系図」の史料批判 古賀達也
喜田貞吉と古田武彦の批判精神―三大論争における論証と実証― 古賀達也

【付録】
古田史学の会・会則
古田史学の会・全国世話人名簿
友好団体
編集後記
第二十九集投稿募集要項 古田史学の会・会員募集


第3438話 2025/02/26

『古代に真実を求めて』29集の原稿募集

2026年春発行予定の『古代に真実を求めて』29集の原稿を募集します。投稿規定は次の通りです。新たに採用した規定もありますので、投稿の際はご留意下さい。

❶29集の特集テーマは「藤原京と古代都城」です。古田史学・多元史観の継承発展に寄与できる論文をご投稿ください。

❷特集論文・一般論文(一万五千字以内)、フォーラム(随筆・紀行文など。五千字以内)、コラム(解説小文。二千字程度)を募集します。投稿は一人四編までとします〔編集部からの依頼原稿を除く〕。
論文は新規の研究であること。他誌掲載論文、二重投稿、これに類するものは採用しません。それとは別に、編集部の判断に基づき、他誌掲載稿を転載することがあります。

❸採用稿を本会ホームページに掲載することがありますので、ご承諾の上、投稿してください。

❹投稿締め切り 令和7年(2025)9月末。原稿は最終稿を投稿して下さい。投稿締切後の修正には原則として応じません。編集部から、採用予定稿の修正を求める場合があります。

❺原稿はワード、またはテキストファイル形式で提出して下さい。ワードの特殊機能(ルビ、段落自動設定など)は使用しないで下さい。ルビは()内に赤字で付記してください〔例 古田史学(ふるたしがく)〕。原稿は縦書仕様とし、アラビア数字を漢数字にするなど、適切に対応してください。

❻掲載する写真や表は、文書ファイルとは別に写真ファイル・エクセルファイルとして提出して下さい(ワード掲載写真は画像が不鮮明になるため)。その際、写真・表の掲載位置を原稿中に赤字で指示してください。
写真や図表などの転載・転用は、他者の著作権や版権に留意し、必要であれば転載許可申請などに対応できるよう、事前に準備して下さい。

❼投稿先 古賀達也まで。原稿はe-mailでお寄せ下さい。メールアドレスは『古田史学会報』に掲載しています。


第3436話 2025/02/24

『古代に真実を求めて』28集の目次

 ―列島の古代と風土記―

 「列島の古代と風土記」をタイトルとする『古代に真実を求めて』28集の編集作業も大詰めを迎えています。発刊に先立って、同集の目次をお知らせします。どのような一冊となるのか、掲載論文名からその雰囲気を感じていただけることと思います。

列島の古代と風土記(『古代に真実を求めて』二十八集) 目次

〔巻頭言〕多元史観・九州王朝説は美しい 古賀達也

〔特集〕列島の古代と風土記
「多元史観」からみた『風土記』論 ―その論点の概要― 谷本 茂
『風土記』に記された倭国(九州王朝)の事績 正木 裕
筑前地誌で探る卑弥呼の墓 ―須玖岡本山に眠る女王― 古賀達也
【コラム】卑弥呼とは言い切れない風土記逸文にみられる甕依姫に関して 大原重雄
筑紫の神と「高良玉垂命=武内宿禰」説 別役政光
新羅国王・脱解の故郷は北九州の田河にあった 野田利朗
新羅来襲伝承の真実 ―『峯相記』と『高良記』の史料批判― 日野智貴
播磨国風土記の地名再考・序説 谷本 茂
『風土記』の「羽衣伝承」と倭国(九州王朝)の東方経営 正木 裕
『常陸国風土記』に見る「評制・道制と国宰」 正木 裕
【コラム】九州地方の地誌紹介 古賀達也
【コラム】高知県内地誌と多元的古代史との接点 別役政光

〔一般論文〕
「志賀島・金印」を解明する 野田利朗
「松野連倭王系図」の史料批判 古賀達也
喜田貞吉と古田武彦の批判精神 ―三大論争における論証と実証― 古賀達也

〔付録〕
古田史学の会 会則
古田史学の会 全国世話人名簿
友好団体
編集後記 古賀達也
第二十九集投稿募集要項 古田史学の会 会員募集


第3434話 2025/02/22

「列島の古代と風土記」の再校正終了

『古代に真実を求めて』28集(明石書店)

 「列島の古代と風土記」(『古代に真実を求めて』28集)の再校正作業を昨日終えて、明石書店にゲラを返送しました。今回からはゲラ校正担当として、茂山憲史さんに代わって谷本茂さんにも担当していただいています。『古代に真実を求めて』編集部では、著者校正の他に全原稿のゲラ校正(計三回)を西村秀己さん(高松市)・谷本茂さん(神戸市)・古賀(京都市)の三名で行っています。元朝日新聞記者だった茂山さんのプロフェッショナルな校正も素晴らしかったのですが、谷本さんも古田学派トップクラスの中国史書・風土記研究者らしく、著者も気づけなかったほどの細かく重要なミスまで指摘していただき、とても助かっています。「古田史学の会」は優れた校正担当者に恵まれました。ありがたいことです。

 編集作業がこのまま順調に進めば、四月上旬頃には発行できます。2024年度賛助会員(年会費5000円)には、その後、順次発送作業に入りますのでお待ち下さい。一般会員(年会費3000円)の皆様には、本会在庫の特価販売を予定しています。現在、定価や特価販売価格について検討を続けており、詳細は「洛中洛外日記」や『古田史学会報』などでお知らせします。

 同集のタイトル「列島の古代と風土記」が示すように、古田先生以後の多元史観による風土記・地誌の最先端論文を収録しました。従来の大和朝廷一元史観では見えてこなかった列島の古代の姿が、多元史観による風土記・地誌研究で蘇っています。収録した諸論文の仮説と一元史観に基づく旧来仮説との優劣を、学界の権威におもねらない読者の皆さんで確かめてください。もちろん、学問的批判は著者たちも編集部も大歓迎です。〝学問は批判を歓迎し、真摯な論争は研究を深化させる〟と、わたしは確信しています。

【写真】「列島の古代と風土記」表紙カバーデザインの検討案

(編集部と明石書店で検討中です)


第3423話 2025/02/06

倭人伝「七万余戸」の考察 (4)

 ―戸数と面積の相関論(正木裕説)―

 弥生時代の人口推計学の方法(遺跡の「発見数」を計算に使用)や推定値(弥生時代の人口約60万人)が、同分野の研究者(注①)からも「計算方法に根本的な問題がある」との疑義が出されていることから、そのような推定値を根拠として、倭人伝の「七万余戸」を否定することはできないことがわかりました。

 そこで今回は文献史学の立場から、倭人伝に記された各国の戸数とその領域の平野部面積に相関があり、その戸数が信頼できることを実証的に論じた正木裕さん(古田史学の会・事務局長)の研究「邪馬壹国の所在と魏使の行程」(注②)を紹介します。同研究の概要を説明したメールが正木さんから届きましたので、転載します。詳しくは『古代に真実を求めて』17集に収録した正木論文を読んで下さい。

【以下、メールを転載】
古賀様
極めて大雑把な計算ですが、壱岐の面積と戸数をもとに計算した「魏志倭人伝」の各国の面積と領域は次のとおり。

①壱岐(一大国)は138㎢・3千許家で、これから比例させた、「千戸(家)」の伊都国・不彌国両国の面積は1/3の各約50㎢。
(*壱岐の耕地面積割合は1/3程度。怡土平野はほぼ耕地だからこれを一定考慮すれば両国は約25㎢=方5㎞の範囲の国)

②「奴国」の「二万戸」を比例させれば約800㎢。これは山岳部(背振山脈)を除外すれば怡土平野+肥前国程度。

③「邪馬壹国」の「七万戸」を比例させれば約2800㎢。これは山岳部(古処馬見英彦山地)を除けば、南西は筑後川河口の有明海岸まで、南は耳納山地を含み、東は周防灘沿岸の豊前市付近まで、北東は直方平野から関門海峡までを包む領域で、邪馬壹国は筑前・筑後の大部分と豊前といった北部九州の主要地域をほとんど含んだ大国だったことになる。

 つまり壱岐の戸数と面積をもとにすれば「七万戸」は北部九州、それも福岡県とその周辺に収まる「合理的な戸数」になります。
全国で60万人などという人口推計がおかしいのです。
正木
【転載おわり】

 この正木さんの計算方法は簡単明瞭であり、誰でも検証可能なデータに基づいていますから、説得力があります。他方、現在の文献史学における「邪馬台国」畿内説論者たちは、倭人伝に記された里数値や行程方角、戸数などをなぜか信頼できないとします。そこで、畿内説論者の著書・論文(注③)を入手し、取り急ぎ読んでみました。(つづく)

(注)
①中村大「北海道南部・中央部における縄文時代から擦文時代までの地域別人口変動の推定」『令和元年度縄文文化特別研究報告書』函館市縄文文化交流センター、2019年。
http://www.hjcc.jp/wp/wp-content/themes/jomon/assets/images/research/pdf/r1hjcc_report.pdf
②正木裕「邪馬壹国の所在と魏使の行程」『古代に真実を求めて』17集、明石書店、2014年。
③渡邉義浩『魏志倭人伝の謎を解く』中公新書、2010年。
仁藤敦史『卑弥呼と台与』山川出版社、2009年。
同「倭国の成立と東アジア」『岩波講座 日本歴史』第一巻、岩波書店、2013年。


第3412話 2025/01/20

超満員御礼! 新春古代史講演会

 昨日、キャンパスプラザ京都で開催した新春古代史講演会は108名という多数の御参加で超満員となり、大盛況でした。参加者や関係者の皆様、講演していただいた三名の講師(注)の方々に厚く御礼申し上げます。そして、定員オーバーのため、途中退室要請に応じていただいた十数名の皆様(古田史学の会・関西の皆さん・他)には心より感謝申し上げます。この方々のご協力がなければ、講演会を無事に終了することはできなかったかもしれません。

 今回の講演会は、多くの案内チラシを各地の図書館や大学などに配布し、講師の方々の前評判が高かったこともあり、各地からの問い合わせ電話が連日のように届きました。当日は京都新聞の取材もありました。遠く関東、南は佐賀県・福岡県からもご参加いただきました。中でも友好団体の「九州古代史の会」の前田事務局長・田中前会長・松中さんがご来場され、旧交を温めました。講演会後の懇親会には講師の中尾先生・関川先生・正木先生にもご参加いただき、とても楽しい京の一夕となりました。

 昨年から続けてきた「古田史学の会」創立30周年記念イベントも、この京都講演会で終了です。これからは創立40周年に向けて、決意も新たに前進してまいります。会員の皆様には様々な機会にご参加頂き、ご意見ご要望などお寄せ頂けましたら幸いです。

《追補》今日の午前中は、佐賀県から講演会に見えられたKさんと出町商店街のカフェ〝出町ビギン〟でお会いしました。Kさんは元東京新聞の記者で、古田先生の訃報を掲載していただいた方。九年ぶりの再会でした。午後は八王子セミナー実行委員会にリモート参加。
関西例会・新春講演会・セミナー実行委員会と連日のハードスケジュールが続き、その合間を縫って『古代に真実を求めて』28集のゲラ校正や『古田史学会報』投稿原稿の査読、論文執筆などを行いました。会務を徐々にでも後継に委ねたいと願っています。

(注)《講師・演題》
中尾智行氏 (文化庁 博物館支援調査官) 考古学と博物館の魅力を未来に
関川尚功氏 (橿原考古学研究所元所員) 畿内ではありえぬ「邪馬台国」 ―考古学から見た邪馬台国大和説―
正木 裕氏 (古田史学の会・事務局長、元大阪府立大学理事・講師) 百済の古墳と「倭の五王」


第3403話 2024/12/30

「列島の古代と風土記」

(『古代に真実を求めて』28集)の目次

来春発行予定の『古代に真実を求めて』(明石書店)の初校ゲラ校正が年末年始の仕事の一つになりました。28集のタイトルは「列島の古代と風土記」です。2024年度賛助会員に進呈しますが、書店やアマゾンでも購入できます。目次は次の通りです。

【巻頭言】多元史観・九州王朝説は美しい 古賀達也

【特集】列島の古代と風土記
「多元史観」からみた風土記論―その論点の概要― 谷本 茂
風土記に記された倭国(九州王朝)の事績 正木 裕
筑前地誌で探る卑弥呼の墓―須玖岡本に眠る女王― 古賀達也
《コラム》卑弥呼とは言い切れない風土記逸文にみられる甕依姫に関して 大原重雄
筑紫の神と「高良玉垂命=武内宿禰」説 別役政光
新羅国王・脱解の故郷は北九州の田河にあった 野田利郎
新羅来襲伝承の真実―『嶺相記』と『高良記』の史料批判― 日野智貴
『播磨風土記』の地名再考・序説 谷本 茂
風土記の「羽衣伝承」と倭国(九州王朝)の東方経営 正木 裕
『常陸国風土記』に見る「評制・道制と国宰」 正木 裕
《コラム》九州地方の地誌紹介 古賀達也
《コラム》高知県内地誌と多元的古代史との接点 別役政光

【一般論文】
「志賀島・金印」を解明する 野田利郎
「松野連倭王系図」の史料批判 古賀達也
喜田貞吉と古田武彦の批判精神―三大論争における論証と実証― 古賀達也

【付録】
古田史学の会・会則
古田史学の会・全国世話人名簿
友好団体
編集後記
第二十九集投稿募集要項 古田史学の会・会員募集


第3391話 2024/12/11

「明石書店出版図書目録2025」が届く

 本日、明石書店から「明石書店出版図書目録2025」が届きました。同誌は明石書店から出版された書籍の目録で、毎年送っていただいています。同書店からは「古田史学の会」が編集している会員論集『古代に真実を求めて』を発行していただいており、今回の目録にも『古代に真実を求めて』第1集~27集が3頁にわたって掲載されています。

 自画自賛になりますが、『古代に真実を求めて』は同社刊行物の古代史分野を代表する書籍の地位を占めているように思います。文科省の外郭団体である国立情報学研究所(CiNii・サイニー)の登録認定書籍(注)に同書が指定されていることも、その現れではないでしょうか。なぜなら、国立情報学研究所が運営している「CiNii Research」に学術誌として認定登録されていることは、同書が学術研究誌として日本国家の認定を受けていることを意味し、それはなかなか得がたい待遇です。研究者や学生が自らの研究分野の関連研究や先行論文を検索する際、CiNiiを利用するのは、そのような国立情報学研究所のお墨付きを得ている書籍・論文であるからでもあります。

 『古代に真実を求めて』の掲載論文はCiNiiの登録認定を維持するために、それにふさわしい学問研究水準を維持し続けなければならず、もし認定取り消しとなったら、古田学派にとって大きな損失であり、社会科学系出版社としての評価を得ている明石書店にも迷惑(ブランド毀損)をかけることになります。

 なお、来春発行の『古代に真実を求めて』28集「列島の古代と風土記」は明石書店で初校ゲラを作成中です。年内にはゲラができあがり、掲載論文執筆者と編集部のゲラ校正担当者(西村さん、谷本さん、古賀)に届く予定です。その次の29集特集テーマは「藤原京と古代都城」で、投稿締切は2025年9月末です。会員の皆さんの投稿をお待ちしています。

(注)古賀達也「洛中洛外日記」3104話(2023/09/04)〝『古代に真実を求めて』CiNii認定の重み〟


第3318話 2024/07/05

読んでおきたい、古田武彦「風土記」論

 『古代に真実を求めて』28集の特集テーマ「風土記・地誌の九州王朝」の企画構成案を練っています。ある程度まとまれば、編集会議を招集して提案し、編集部員のご意見や企画案も聞かせていただく予定です。

 自らの投稿原稿についても執筆準備をしています。それに先だち、古田先生の「風土記」関連論文の読み直しも進めています。古田「風土記」論を久しぶりに集中して勉強していますが、その代表的関連論文を紹介します。特集論文の投稿を予定されている方にも読んでおいていただきたいものばかりです。なぜか、古田先生にしては『風土記』関連論文は比較的少なく、読破はそれほど難しくはありません。以下、そのジャンル分けを示します。

 まず、風土記全般の重要テーマである、「県(あがた)」風土記と「郡(こおり)」風土記について論じたものが、❶❷❺❿⓫です。「県」風土記が九州地方に遺っていることから、九州王朝風土記(筑紫風土記)の存在という古田「風土記」論にとって不可欠の研究分野です。

 『常陸国風土記』に関わって論じたものが、❸。『出雲国風土記』に関わって論じたものが、❸❻❼❽⓬⓭。『播磨国風土記』に関わって論じたものが、⓮。 「筑後国風土記逸文」と卑弥呼について論じたものが、❹❾です。いずれも懐かしいものばかりです。

 《古田武彦「風土記」論 主要論文一覧》
「九州王朝の風土記」『市民の古代』第4集、新泉社、昭和57年(1982)。
「九州王朝にも風土記があった」『よみがえる九州王朝』角川選書、昭和58年(1983)。
❸「日本列島各地の神話」『古代は輝いていたⅠ――『風土記』にいた卑弥呼』朝日新聞社、昭和59年(1984)。
❹「卑弥呼論」『古代は輝いていたⅠ――『風土記』にいた卑弥呼』朝日新聞社、昭和59年(1984)。
❺「二つの『風土記』」『古代は輝いていたⅢ――』朝日新聞社、昭和60年(1985)。
「国造制の史料批判――出雲風土記における「国造と朝廷」」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❼「部民制の史料批判――出雲風土記を中心として」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❽「続・部民制の史料批判――「部」の始原と発展」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
「卑弥呼の比定――「甕依姫」説の新展開」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❿「九州王朝の短里――東方の証言」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
⓫「二つの風土記と二つの里程」『倭人伝を徹底して読む』大阪出版、昭和62年(1987)。
⓬「出雲風土記の中の古代公害病」『古代は沈黙せず』駸々堂、昭和63年(1988)。
「縄文文明を証明する「国引神話」」『吉野ヶ里の秘密』光文社、平成1年(1989)。
「播磨風土記」『市民の古代』第12集、新泉社、平成2年(1990)。

 この他にも、古田先生の重要論文があるかもしれません。ご教示いただければ幸いです。また、古田学派研究者による重要論文もあり、別の機会に紹介します。


第3317話 2024/07/03

『古代に真実を求めて』

     28集の特集テーマ

 「古田史学の会」の会員論集『古代に真実を求めて』28集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。風土記や地誌を研究対象として、そこに遺された九州王朝や多元史観の痕跡を論じ、論文やフォーラム・コラムとして投稿してください。地誌の場合、その成立が中近世であっても、内容が古代を対象としており、適切な史料批判(古代の真実を反映していることの証明)を経ていれば、古代史研究のエビデンスとして採用できます。

 具体的には、現存する五つの風土記(常陸国・播磨国・出雲国・肥前国・豊後国)と風土記逸文が研究の対象になります。地誌は各地にあり、成立時期や史料性格(公的か私的か。編纂目的)が異なりますから、採用にあたっては当該史料の性格や概要の説明が必要です。これは読者に対しても必要な配慮ですので、ご留意下さい。この点、現存五風土記の場合は著名ですし、学界で古代史料として認められていますから、出典の明示があれば問題はないでしょう。

 ご参考までに、閲覧・入手が比較的可能で著名な九州地方の地誌を管見の範囲で紹介します。会員の皆さんからの、後世に残すべき優れた多元史観の論文、読んで勉強になり、かつ面白い投稿をお待ちしています。

○『太宰管内志』伊藤常足、天保12年(1841)〈歴史図書社、昭和44年(1969)〉
○『筑前国続風土記』貝原益軒、宝永6年(1709)〈文献出版、昭和63年(1988)〉
○『筑前国続風土記付録』加藤一純・鷹取周成、寛政11年(1799)〈文献出版、昭和52年(1977)〉
○『筑前国続風土記拾遺』青柳種信、文化11年(1814)〈文献出版、平成5年(1993)〉
○『筑後志』杉山正仲・小川正格、安永6年(1777)〈久留米郷土研究会編、昭和49年(1974)〉
○『肥前旧事』南里有隣編著・糸山貞幹増訂、江戸後期〈『肥前叢書 第一輯』肥前史談会編、青潮社、昭和48年(1973)〉
○『肥前古跡縁起』大木英鉄、寛文5年(1665)〈『肥前叢書 第一輯』肥前史談会編、青潮社、昭和48年(1973)〉
○『肥後国誌』森本一瑞、明和9年(1772)〈青潮社、昭和46年(1971)〉
○『豊前志』渡辺重春、文久3年(1863)〈雄山閣、昭和46年(1971)〉
○『豊後国誌』唐橋君山・田能村竹田・伊藤猛、享和3年(1803)〈文献出版、昭和50年(1975)〉
○『三国名勝図会』天保14年(1843)〈青潮社、昭和57年(1982)〉※日向・大隅・薩摩の地誌。


第3316話 2024/07/02

『古代に真実を求めて』28集

        の投稿募集要項

 「古田史学の会」の会員論集『古代に真実を求めて』28集の投稿締め切り日は本年9月30日です。特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。下記の規定に従ってご投稿ください。

①特集論文・一般論文(一万五千字以内)、フォーラム(随筆・紀行文など。五千字以内)、コラム(解説小文。二千字程度)を募集します。
論文は新規の研究であること。他誌掲載論文、二重投稿、これに類するものは採用しません。それとは別に、編集部の判断に基づき、他誌掲載稿を転載することがあります。
②採用稿を本会ホームページに掲載することがありますので、ご承諾の上、投稿してください。
③28集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。古田史学・多元史観の継承発展に寄与できる論文をご投稿ください。
④投稿は一人四編までとします〔編集部からの依頼原稿を除く〕。
⑤投稿締め切り 令和六年(二〇二四)九月末
⑥原稿はワード、またはテキストファイル形式で提出して下さい。ワードの特殊機能(ルビ、段落自動設定など)は使用しないで下さい。ルビは()内に付記してください〔例 古田史学(ふるたしがく)〕。

 掲載する写真や表は、文書ファイルとは別に写真ファイル・エクセルファイルとして提出して下さい(ワード掲載写真は画像が不鮮明になるため)。その際、写真・表の掲載位置を原稿中に指示してください。
⑦投稿先 古賀達也まで。詳しくは27集末尾の投稿要項をご覧下さい。

 以下は採用審査における基本視点と執筆上の諸注意です。ご留意下さい。

Ⅰ.審査時の視点
(1) 「新規性」と「進歩性」
この二点が無ければ不採用となります。

(2) エビデンスの明示、エビデンスに対する解釈の合理性と普遍性
提示したエビデンス(史料事実や出土事実)が間違っていたり、不適切な論稿は審査以前の問題で、失格です。解釈の当否は重要な審査対象となります。ここで新説としての優劣を判断します。

(3) 先行説(特に古田説)の紹介と自説との比較説明
古田史学支持者が主たる読者である「古田史学論集」への投稿ですから、古田説と異なる新説については、古田説の正確な引用・紹介と丁寧な説明が要請されます。

(4) 話題性、面白さ、わかりやすさ、字数・文章の簡潔性
これらは読者への配慮であり、出版事業としても不可欠の視点です。

Ⅱ.論文の構成と様式

(1) 冒頭に要旨と結論を略記してください。学術論文は推理小説ではありませんから、読み進めなければ結論がわからないような構成は不適切です。短文の場合はこの限りではありません。

(2) 引用・参照文献の紹介と後注の書式について。
書式例) 著者名「論文名」『文献名』発行社、発行年次(西暦、必要であれば年号を併記)。
例) 古田武彦『「邪馬台国」はなかった ―解読された倭人伝の謎―』朝日新聞社、一九七一年。ミネルヴァ書房より復刻。
例) 中島恒次郞「日本古代の大宰府管内における食器生産」『大宰府の研究』高志書院、二〇一八年。

(3) 縦書きを前提として、漢数字と英数字を使い分けてください。難字にはルビをふってください。


第3311話 2024/06/26

『倭国から日本国へ』出版記念

    東京講演会(7/28)のご案内

 本年4月に明石書店から出版された『倭国から日本国へ』(『古代に真実を求めて』27集、古田史学の会編)の出版記念東京講演会を開催します。同書は、倭国(九州王朝)から日本国(大和朝廷)への王朝交代を特集したもので、様々な視点による古田学派研究者の論稿を収録しました。

 奈良や大阪での出版記念講演会に続き、7月28日(日)に東京の文京区民センターで下記の通り、開催します。会場では同書の特価販売も行います。多くの皆様の参加をお待ちしています。講師は正木裕さん(古田史学の会・事務局長)とわたしです。関東の皆様にもお聞き頂ければ幸いです。

『倭国から日本国へ』出版記念
東京講演会のご案内
■日時 2024年7月28日(日) 13:30開会 16:30終了
■会場 文京区民センター 2A会議室 (文京区本郷4-15-14)
■演題・講師
多元的「天皇」号の成立
―九州王朝の天子と諸国の天皇たち― 古賀達也
「王朝交代」と二人の女王
―武則天と持統― 正木 裕
■参加費 1,000円
■主催 古田史学の会
■協力 東京古田会・多元的古代研究会

『倭国から日本国へ』目次
【巻頭言】
三十年の逡巡を越えて 古田史学の会 代表 古賀達也
【特集】倭国から日本国へ
「王朝交代」と消された和銅五年(七一二)の「九州王朝討伐戦」 正木 裕
王朝交代期の九州年号 ―「大化」「大長」の原型論― 古賀達也
難波宮は天武時代「唐の都督薩夜麻」の宮だった 正木 裕
飛鳥「京」と出土木簡の齟齬 ―戦後実証史学と九州王朝説― 古賀達也
『続日本紀』に見える王朝交代の影 服部静尚
「不改常典」の真意をめぐって ―王朝交代を指示する天智天皇の遺言だったか― 茂山憲史
「王朝交代」と二人の女王 ―武則天と持統― 正木 裕
「王朝交代」と「隼人」 ―隼人は千年王朝の主だった― 正木 裕
倭国から日本国への「国号変更」解説記事の再検討 ―新・旧『唐書』における倭と日本の併合関係の逆転をめぐって― 谷本 茂
《コラム》「百済人祢軍墓碑銘」に〝日本〟国号はなかった! 谷本 茂
【一般論文】
『隋書』の「俀国」と「倭国」は、別の存在なのか 野田利朗
『隋書』の「倭国」と「俀国」の正体 日野智貴
倭と俀の史料批判 ―『隋書』の倭國と俀國の区別と解釈をめぐって― 谷本 茂
多元的「天皇」号の成立 ―『大安寺伽藍縁起』の仲天皇と袁智天皇― 古賀達也
法隆寺薬師仏光背銘の史料批判 ―頼衍宏氏の純漢文説を承けて― 日野智貴
伊吉連博徳書の捉え方について 満田正賢
『斉明紀』の「遣唐使」についてのいくつかの疑問について 阿部周一
俾彌呼の鏡 ―北九州を中心に分布する「尚方作鏡」が下賜された― 服部静尚
【フォーラム】
海幸山幸説話 ―倭国にあった二つの王家― 服部静尚
豊臣家の滅亡から九州王朝の滅亡を考える 岡下英男
【付録】
古田史学の会・会則
古田史学の会・全国世話人名簿
編集後記