古代に真実を求めて一覧

古田史学の会が年に一度発行している雑誌本です。

第3318話 2024/07/05

読んでおきたい、古田武彦「風土記」論

 『古代に真実を求めて』28集の特集テーマ「風土記・地誌の九州王朝」の企画構成案を練っています。ある程度まとまれば、編集会議を招集して提案し、編集部員のご意見や企画案も聞かせていただく予定です。

 自らの投稿原稿についても執筆準備をしています。それに先だち、古田先生の「風土記」関連論文の読み直しも進めています。古田「風土記」論を久しぶりに集中して勉強していますが、その代表的関連論文を紹介します。特集論文の投稿を予定されている方にも読んでおいていただきたいものばかりです。なぜか、古田先生にしては『風土記』関連論文は比較的少なく、読破はそれほど難しくはありません。以下、そのジャンル分けを示します。

 まず、風土記全般の重要テーマである、「県(あがた)」風土記と「郡(こおり)」風土記について論じたものが、❶❷❺❿⓫です。「県」風土記が九州地方に遺っていることから、九州王朝風土記(筑紫風土記)の存在という古田「風土記」論にとって不可欠の研究分野です。

 『常陸国風土記』に関わって論じたものが、❸。『出雲国風土記』に関わって論じたものが、❸❻❼❽⓬⓭。『播磨国風土記』に関わって論じたものが、⓮。 「筑後国風土記逸文」と卑弥呼について論じたものが、❹❾です。いずれも懐かしいものばかりです。

 《古田武彦「風土記」論 主要論文一覧》
「九州王朝の風土記」『市民の古代』第4集、新泉社、昭和57年(1982)。
「九州王朝にも風土記があった」『よみがえる九州王朝』角川選書、昭和58年(1983)。
❸「日本列島各地の神話」『古代は輝いていたⅠ――『風土記』にいた卑弥呼』朝日新聞社、昭和59年(1984)。
❹「卑弥呼論」『古代は輝いていたⅠ――『風土記』にいた卑弥呼』朝日新聞社、昭和59年(1984)。
❺「二つの『風土記』」『古代は輝いていたⅢ――』朝日新聞社、昭和60年(1985)。
「国造制の史料批判――出雲風土記における「国造と朝廷」」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❼「部民制の史料批判――出雲風土記を中心として」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❽「続・部民制の史料批判――「部」の始原と発展」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
「卑弥呼の比定――「甕依姫」説の新展開」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
❿「九州王朝の短里――東方の証言」『よみがえる卑弥呼』駸々堂、昭和62年(1987)。
⓫「二つの風土記と二つの里程」『倭人伝を徹底して読む』大阪出版、昭和62年(1987)。
⓬「出雲風土記の中の古代公害病」『古代は沈黙せず』駸々堂、昭和63年(1988)。
「縄文文明を証明する「国引神話」」『吉野ヶ里の秘密』光文社、平成1年(1989)。
「播磨風土記」『市民の古代』第12集、新泉社、平成2年(1990)。

 この他にも、古田先生の重要論文があるかもしれません。ご教示いただければ幸いです。また、古田学派研究者による重要論文もあり、別の機会に紹介します。


第3317話 2024/07/03

『古代に真実を求めて』

     28集の特集テーマ

 「古田史学の会」の会員論集『古代に真実を求めて』28集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。風土記や地誌を研究対象として、そこに遺された九州王朝や多元史観の痕跡を論じ、論文やフォーラム・コラムとして投稿してください。地誌の場合、その成立が中近世であっても、内容が古代を対象としており、適切な史料批判(古代の真実を反映していることの証明)を経ていれば、古代史研究のエビデンスとして採用できます。

 具体的には、現存する五つの風土記(常陸国・播磨国・出雲国・肥前国・豊後国)と風土記逸文が研究の対象になります。地誌は各地にあり、成立時期や史料性格(公的か私的か。編纂目的)が異なりますから、採用にあたっては当該史料の性格や概要の説明が必要です。これは読者に対しても必要な配慮ですので、ご留意下さい。この点、現存五風土記の場合は著名ですし、学界で古代史料として認められていますから、出典の明示があれば問題はないでしょう。

 ご参考までに、閲覧・入手が比較的可能で著名な九州地方の地誌を管見の範囲で紹介します。会員の皆さんからの、後世に残すべき優れた多元史観の論文、読んで勉強になり、かつ面白い投稿をお待ちしています。

○『太宰管内志』伊藤常足、天保12年(1841)〈歴史図書社、昭和44年(1969)〉
○『筑前国続風土記』貝原益軒、宝永6年(1709)〈文献出版、昭和63年(1988)〉
○『筑前国続風土記付録』加藤一純・鷹取周成、寛政11年(1799)〈文献出版、昭和52年(1977)〉
○『筑前国続風土記拾遺』青柳種信、文化11年(1814)〈文献出版、平成5年(1993)〉
○『筑後志』杉山正仲・小川正格、安永6年(1777)〈久留米郷土研究会編、昭和49年(1974)〉
○『肥前旧事』南里有隣編著・糸山貞幹増訂、江戸後期〈『肥前叢書 第一輯』肥前史談会編、青潮社、昭和48年(1973)〉
○『肥前古跡縁起』大木英鉄、寛文5年(1665)〈『肥前叢書 第一輯』肥前史談会編、青潮社、昭和48年(1973)〉
○『肥後国誌』森本一瑞、明和9年(1772)〈青潮社、昭和46年(1971)〉
○『豊前志』渡辺重春、文久3年(1863)〈雄山閣、昭和46年(1971)〉
○『豊後国誌』唐橋君山・田能村竹田・伊藤猛、享和3年(1803)〈文献出版、昭和50年(1975)〉
○『三国名勝図会』天保14年(1843)〈青潮社、昭和57年(1982)〉※日向・大隅・薩摩の地誌。


第3316話 2024/07/02

『古代に真実を求めて』28集

        の投稿募集要項

 「古田史学の会」の会員論集『古代に真実を求めて』28集の投稿締め切り日は本年9月30日です。特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。下記の規定に従ってご投稿ください。

①特集論文・一般論文(一万五千字以内)、フォーラム(随筆・紀行文など。五千字以内)、コラム(解説小文。二千字程度)を募集します。
論文は新規の研究であること。他誌掲載論文、二重投稿、これに類するものは採用しません。それとは別に、編集部の判断に基づき、他誌掲載稿を転載することがあります。
②採用稿を本会ホームページに掲載することがありますので、ご承諾の上、投稿してください。
③28集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。古田史学・多元史観の継承発展に寄与できる論文をご投稿ください。
④投稿は一人四編までとします〔編集部からの依頼原稿を除く〕。
⑤投稿締め切り 令和六年(二〇二四)九月末
⑥原稿はワード、またはテキストファイル形式で提出して下さい。ワードの特殊機能(ルビ、段落自動設定など)は使用しないで下さい。ルビは()内に付記してください〔例 古田史学(ふるたしがく)〕。

 掲載する写真や表は、文書ファイルとは別に写真ファイル・エクセルファイルとして提出して下さい(ワード掲載写真は画像が不鮮明になるため)。その際、写真・表の掲載位置を原稿中に指示してください。
⑦投稿先 古賀達也まで。詳しくは27集末尾の投稿要項をご覧下さい。

 以下は採用審査における基本視点と執筆上の諸注意です。ご留意下さい。

Ⅰ.審査時の視点
(1) 「新規性」と「進歩性」
この二点が無ければ不採用となります。

(2) エビデンスの明示、エビデンスに対する解釈の合理性と普遍性
提示したエビデンス(史料事実や出土事実)が間違っていたり、不適切な論稿は審査以前の問題で、失格です。解釈の当否は重要な審査対象となります。ここで新説としての優劣を判断します。

(3) 先行説(特に古田説)の紹介と自説との比較説明
古田史学支持者が主たる読者である「古田史学論集」への投稿ですから、古田説と異なる新説については、古田説の正確な引用・紹介と丁寧な説明が要請されます。

(4) 話題性、面白さ、わかりやすさ、字数・文章の簡潔性
これらは読者への配慮であり、出版事業としても不可欠の視点です。

Ⅱ.論文の構成と様式

(1) 冒頭に要旨と結論を略記してください。学術論文は推理小説ではありませんから、読み進めなければ結論がわからないような構成は不適切です。短文の場合はこの限りではありません。

(2) 引用・参照文献の紹介と後注の書式について。
書式例) 著者名「論文名」『文献名』発行社、発行年次(西暦、必要であれば年号を併記)。
例) 古田武彦『「邪馬台国」はなかった ―解読された倭人伝の謎―』朝日新聞社、一九七一年。ミネルヴァ書房より復刻。
例) 中島恒次郞「日本古代の大宰府管内における食器生産」『大宰府の研究』高志書院、二〇一八年。

(3) 縦書きを前提として、漢数字と英数字を使い分けてください。難字にはルビをふってください。


第3311話 2024/06/26

『倭国から日本国へ』出版記念

    東京講演会(7/28)のご案内

 本年4月に明石書店から出版された『倭国から日本国へ』(『古代に真実を求めて』27集、古田史学の会編)の出版記念東京講演会を開催します。同書は、倭国(九州王朝)から日本国(大和朝廷)への王朝交代を特集したもので、様々な視点による古田学派研究者の論稿を収録しました。

 奈良や大阪での出版記念講演会に続き、7月28日(日)に東京の文京区民センターで下記の通り、開催します。会場では同書の特価販売も行います。多くの皆様の参加をお待ちしています。講師は正木裕さん(古田史学の会・事務局長)とわたしです。関東の皆様にもお聞き頂ければ幸いです。

『倭国から日本国へ』出版記念
東京講演会のご案内
■日時 2024年7月28日(日) 13:30開会 16:30終了
■会場 文京区民センター 2A会議室 (文京区本郷4-15-14)
■演題・講師
多元的「天皇」号の成立
―九州王朝の天子と諸国の天皇たち― 古賀達也
「王朝交代」と二人の女王
―武則天と持統― 正木 裕
■参加費 1,000円
■主催 古田史学の会
■協力 東京古田会・多元的古代研究会

『倭国から日本国へ』目次
【巻頭言】
三十年の逡巡を越えて 古田史学の会 代表 古賀達也
【特集】倭国から日本国へ
「王朝交代」と消された和銅五年(七一二)の「九州王朝討伐戦」 正木 裕
王朝交代期の九州年号 ―「大化」「大長」の原型論― 古賀達也
難波宮は天武時代「唐の都督薩夜麻」の宮だった 正木 裕
飛鳥「京」と出土木簡の齟齬 ―戦後実証史学と九州王朝説― 古賀達也
『続日本紀』に見える王朝交代の影 服部静尚
「不改常典」の真意をめぐって ―王朝交代を指示する天智天皇の遺言だったか― 茂山憲史
「王朝交代」と二人の女王 ―武則天と持統― 正木 裕
「王朝交代」と「隼人」 ―隼人は千年王朝の主だった― 正木 裕
倭国から日本国への「国号変更」解説記事の再検討 ―新・旧『唐書』における倭と日本の併合関係の逆転をめぐって― 谷本 茂
《コラム》「百済人祢軍墓碑銘」に〝日本〟国号はなかった! 谷本 茂
【一般論文】
『隋書』の「俀国」と「倭国」は、別の存在なのか 野田利朗
『隋書』の「倭国」と「俀国」の正体 日野智貴
倭と俀の史料批判 ―『隋書』の倭國と俀國の区別と解釈をめぐって― 谷本 茂
多元的「天皇」号の成立 ―『大安寺伽藍縁起』の仲天皇と袁智天皇― 古賀達也
法隆寺薬師仏光背銘の史料批判 ―頼衍宏氏の純漢文説を承けて― 日野智貴
伊吉連博徳書の捉え方について 満田正賢
『斉明紀』の「遣唐使」についてのいくつかの疑問について 阿部周一
俾彌呼の鏡 ―北九州を中心に分布する「尚方作鏡」が下賜された― 服部静尚
【フォーラム】
海幸山幸説話 ―倭国にあった二つの王家― 服部静尚
豊臣家の滅亡から九州王朝の滅亡を考える 岡下英男
【付録】
古田史学の会・会則
古田史学の会・全国世話人名簿
編集後記


第3269話 2024/04/13

『古代に真実を求めて』28集の特集は
「風土記・地誌の九州王朝」

27集「倭国から日本国へ」
特価販売のお知らせ

 今月、明石書店から出版した「倭国から日本国へ」(『古代に真実を求めて』27集)本会在庫の特価販売(消費税・送料を値引き)のご注文が届き始めました。
次号28集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。

 27集巻末に掲載した編集後記を転載します。

【以下、転載】『古代に真実を求めて』二七集 編集後記
本書の編集長を担当することになりました。三十代の頃から『市民の古代』(市民の古代研究会編、新泉社)の編集部で本作りにたずさわり、編集作業の経験を積んではきたのですが、自らが中心となって本を作るのは『「九州年号」の研究』(古田史学の会編、ミネルヴァ書房、二〇一二年)以来です。

 古田武彦先生亡き後、『古代に真実を求めて』は多元史観・古田史学に基づく唯一の定期刊行書籍であり、古田学派の研究者にとって貴重な発表の場となっています。そこで、将来にわたって、わたしたちの後継者が本書を編集出版できるよう、編集作業手順や原稿採用基準、投稿規定、書籍在庫販売管理台帳などの作成も併行して進めてきました。いわば、「古田史学の会」出版事業のマニュアル化とルール化です。古田史学の未来を担う後継者のために、これからも改良を加え、より使いやすくしていきます。

 本書末尾の投稿募集要項にあるよう、次の二八集の特集テーマは「風土記・地誌の九州王朝」です。風土記や地誌を研究対象として、そこに遺された九州王朝の痕跡を論じ、論文やフォーラム・コラムとして投稿してください。地誌の場合、その成立が中近世であっても、内容が古代を対象としており、適切な史料批判を経ていれば、古代史のエビデンスとして採用していただいてかまいません。字数制限など、投稿規定にはご留意ください。投稿締め切り日は本年九月末です。

 令和六年(二〇二四)、「古田史学の会」は創立三十周年を迎えることができました。本会創立の目的に賛同し、支えていただいた会員の皆様、古田史学支持者の皆様のおかげです。会則に銘記された目的、「旧来の一元通念を否定した古田武彦氏の多元史観に基づいて歴史研究を行い、もって古田史学の継承と発展、顕彰、ならびに会員相互の親睦をはかる」のなかの〝古田史学の継承と発展、顕彰〟こそが『古代に真実を求めて』の役割であり、それに耐えうる本を作ることが編集部の使命です。

 九州王朝から大和朝廷への王朝交代を特集テーマとした二七集「倭国から日本国へ」が、五十年後、百年後の読者と、図書館や古書店で出会い、今を生きるわたしたちの研究成果を伝えることができれば、望外の幸せです。〝本の寿命は人生より長い〟のですから。

【27集「倭国から日本国へ」 特価販売のお知らせ】
「古田史学の会」では「倭国から日本国へ」(『古代に真実を求めて』27集)の特価販売を実施します。下記の郵便口座に特価代金(2,800円/1冊)を振り込んでいただきますと、入金を確認次第、発送します。消費税と送料を割り引かせていただきます。なお、当会の在庫がなくなり次第、あるいは年内で特価販売は終了となりますので、その後はアマゾン・書店などでお買い求めください。

 郵便口座番号は次の通りです。「『倭国から日本国へ』○冊希望」と記入し、お名前・郵便番号・ご住所・電話番号を明記し、代金を振り込んで下さい。特別価格は2800円です。

 口座記号:01010-6
口座番号:30873
加入者名:古田史学の会

※お振り込み後、2週間以上経過しても本が届かない場合は、「古田史学の会」ホームページ事務局、または本会事務局(正木裕)までお問い合わせ下さい。

 「倭国から日本国へ」以外の在庫特価販売も行ってます。対象書籍・特価など、ホームページでお知らせします。お買い上げいただければ幸いです。


第3265話 2024/04/07

「倭国から日本国へ」の掲載論文

 「古田史学の会」の会員論集「倭国から日本国へ」(『古代に真実を求めて』27集、明石書店)が発刊されました。掲載論文を紹介します。「古田史学の会」賛助会員(2023年度、年会費5,000円)には、これから発送作業に入りますので、もうしばらくお待ちください。経費削減のため、西村秀己さん(古田史学の会・全国世話人、会計担当、高松市)がお一人で発送作業を行っていますので、ご了承の程お願い申し上げます。

【巻頭言】
三十年の逡巡を越えて 古田史学の会 代表 古賀達也

【特集論文】
「王朝交代」と消された和銅五年(七一二)の「九州王朝討伐戦」 正木 裕
王朝交代期の九州年号 ―「大化」「大長」の原型論― 古賀達也
難波宮は天武時代「唐の都督薩夜麻」の宮だった 正木 裕
飛鳥「京」と出土木簡の齟齬 ―戦後実証史学と九州王朝説― 古賀達也
『続日本紀』に見える王朝交代の影 服部静尚
「不改常典」の真意をめぐって ―王朝交代を指示する天智天皇の遺言だったか― 茂山憲史
「王朝交代」と二人の女王 ―武則天と持統― 正木 裕
「王朝交代」と「隼人」 ―隼人は千年王朝の主だった― 正木 裕
倭国から日本国への「国号変更」解説記事の再検討 ―新・旧『唐書』における倭と日本の併合関係の逆転をめぐって― 谷本 茂
《コラム》「百済人祢軍墓碑銘」に〝日本〟国号はなかった! 谷本 茂

【一般論文】
『隋書』の俀国と倭国は、別の存在なのか 野田利朗
『隋書』の「倭国」と「俀国」の正体 日野智貴
倭と俀の史料批判 ―『隋書』の倭國と俀國の区別と解釈をめぐって― 谷本 茂
多元的「天皇」号の成立 ―『大安寺伽藍縁起』の仲天皇と袁智天皇― 古賀達也
法隆寺薬師仏光背銘の史料批判 ―頼衍宏氏の純漢文説を承けて― 日野智貴
伊吉連博徳書の捉え方について 満田正賢
『斉明紀』の「遣唐使」についてのいくつかの疑問について 阿部周一
俾彌呼の鏡 ―北九州を中心に分布する「尚方作鏡」が下賜された― 服部静尚

【フォーラム】
海幸山幸説話 ―倭国にあった二つの王家― 服部静尚
豊臣家の滅亡から九州王朝の滅亡を考える 岡下英男

「古田史学の会」では本書の特価販売を実施します。下記の郵便口座に特価代金(2,800円/1冊)を振り込んでいただきますと、入金を確認次第、発送します。消費税と送料を割り引かせていただきます。なお、当会の在庫がなくなり次第、あるいは年内で特価販売は終了となりますので、その後はアマゾン・書店などでお買い求めください。

郵便口座番号は次の通りです。「『倭国から日本国へ』○冊希望」と記入し、お名前・郵便番号・ご住所・電話番号を明記し、代金を振り込んで下さい。特別価格は2800円です。

口座記号:01010-6
口座番号:30873
加入者名:古田史学の会

※お振り込み後、2週間以上経過しても本が届かない場合は、「古田史学の会」ホームページ事務局、または本会事務局(正木裕)までお問い合わせ下さい。


第3264話 2024/04/06

「倭国から日本国へ」発刊!

      特価販売もスタート!

 「倭国から日本国へ」(『古代に真実を求めて』27集、明石書店)が発刊されました。「古田史学の会」賛助会員(2023年度、年会費5,000円)には順次送付しますので、もうしばらくお待ちください。経費削減のため、西村秀己さん(古田史学の会・全国世話人、会計担当、高松市)がお一人で発送作業を行っていますので。

 同書は「古田史学の会」創立30周年を記念して、増ページしました。そのため定価が2800円+税となりましたが、これまで本会の出版事業を支えていただいた賛助会員への感謝も込めて増ページとしたものです。
表紙デザインには、特集タイトル「倭国から日本国へ」、すなわち九州王朝から大和朝廷への王朝交代の史料根拠となった『旧唐書』「日本国伝」の版本を背景に採用し、その中の一文「日本國者倭國之別種也」(日本国は倭国の別種なり)を朱色にして強調しました。裏表紙には、明石書店名編集者の森さんによる、簡潔で見事な次の紹介文が掲載されています。

 倭国から日本国への国号の変更
そこに隠されているのは
九州王朝から大和朝廷への
権力の移行にほかならない
古田史学王朝交代論の最前線

 なお、「古田史学の会」では本書の特価販売を実施します。下記の郵便口座に特価代金(2,800円/1冊)を振り込んでいただきますと、入金を確認次第、発送します。消費税と送料を割り引かせていただきます。なお、当会の在庫がなくなり次第、あるいは年内で特価販売は打ち切りますので、その後はアマゾン・書店などでお買い求めください。

 郵便口座番号は次の通りです。「『倭国から日本国へ』○冊希望」と記入し、お名前・郵便番号・ご住所・電話番号を明記し、代金を振り込んで下さい。特別価格は2800円です。

 口座記号:01010-6
口座番号:30873
加入者名:古田史学の会

※お振り込み後、2週間以上経過しても本が届かない場合は、「古田史学の会」ホームページ事務局、または本会事務局(正木裕)までお問い合わせ下さい。
「倭国から日本国へ」以外の在庫特価販売も行ってます。対象書籍・特価など、ホームページでお知らせします。お買い上げいただければ幸いです。


第3256話 2024/03/25

6月16日(日)、出版記念講演会

        ・会員総会のお知らせ

 令和六年(2024年)に6月16日(日)午後、「倭国から日本国へ」『古代に真実を求めて』27集 出版記念講演会、並びに「古田史学の会」定期会員総会を開催します。会員の皆様のご出席をお願いいたします。講演会は一般の皆様もご参加頂けます。参加費は無料です。
なお、当日午前中に「古田史学の会」全国世話人会を開催します。

□開催日時 6月16日(日)午後1時開場予定(詳細は後日発表)
□会場 ドーンセンター 大阪市中央区大手前一丁目(京阪・天満橋駅 東へ約350m)
□講演会 講師・演題
谷本 茂氏(古田史学の会・会員、『古代に真実を求めて』編集部)
〔演題〕誤解され続けた『新唐書』日本伝 ―倭国と日本国の併合関係の「逆転」をめぐって―
正木 裕氏(古田史学の会・事務局長、『古代に真実を求めて』編集部)
〔演題〕百済領域の遺跡から見える倭国(九州王朝)の半島進出
□主催 古田史学の会
□参加費 無料


第3243話 2024/03/06

『倭国から日本国へ』の目次

 『倭国から日本国へ』(『古代に真実を求めて』27集)の編集作業も最終工程(ゲラ三校)に入りました。これは編集部の校閲担当者3名(茂山憲史さん、西村秀己さん、古賀)で行いますが、締切が3月11日着なので忙しくしています。これが最終チェックですので、誤字誤植などを見落とすと、そのまま印刷し書店に並ぶため、責任重大です。わたしは視力が落ちていますので、ポイントが小さい字の大きさや字体チェックが困難ですが、茂山さんは大手新聞社にお勤めだったこともあり、そうした点まで見逃さない、頼もしい校閲作業のリーダー的存在です。

 4月上旬には発行したいと願っていますので、最終校閲作業が終わると、表紙カバーのデザインや価格設定などを明石書店と相談します。既に目次は決まっていますので、紹介します。

『古代に真実を求めて』27集 目次

【巻頭言】
三十年の逡巡を越えて 古田史学の会 代表 古賀達也

【特集】倭国から日本国へ
「王朝交代」と消された和銅五年(七一二)の「九州王朝討伐戦」 正木 裕
王朝交代期の九州年号 ―「大化」「大長」の原型論― 古賀達也
難波宮は天武時代「唐の都督薩夜麻」の宮だった 正木 裕
飛鳥「京」と出土木簡の齟齬 ―戦後実証史学と九州王朝説― 古賀達也
『続日本紀』に見える王朝交代の影 服部静尚
「不改常典」の真意をめぐって ―王朝交代を指示する天智天皇の遺言だったか― 茂山憲史
「王朝交代」と二人の女王 ―武則天と持統― 正木 裕
「王朝交代」と「隼人」 ―隼人は千年王朝の主だった― 正木 裕
倭国から日本国への「国号変更」解説記事の再検討 ―新・旧『唐書』における倭と日本の併合関係の逆転をめぐって― 谷本 茂
《コラム》「百済人祢軍墓碑銘」に〝日本〟国号はなかった! 谷本 茂

【一般論文】
『隋書』の「俀国」と「倭国」は、別の存在なのか 野田利朗
『隋書』の「倭国」と「俀国」の正体 日野智貴
倭と俀の史料批判 ―『隋書』の倭國と俀國の区別と解釈をめぐって― 谷本 茂
多元的「天皇」号の成立 ―『大安寺伽藍縁起』の仲天皇と袁智天皇― 古賀達也
法隆寺薬師仏光背銘の史料批判 ―頼衍宏氏の純漢文説を承けて― 日野智貴
伊吉連博徳書の捉え方について 満田正賢
『斉明紀』の「遣唐使」についてのいくつかの疑問について 阿部周一
俾彌呼の鏡 ―北九州を中心に分布する「尚方作鏡」が下賜された― 服部静尚

【フォーラム】
海幸山幸説話 ―倭国にあった二つの王家― 服部静尚
豊臣家の滅亡から九州王朝の滅亡を考える 岡下英男

【付録】
古田史学の会・会則
古田史学の会・全国世話人名簿
編集後記


第3202話 2024/01/17

『倭国から日本国へ』の

     表紙デザイン検討中

 現在、『古代に真実を求めて』27集の四月発刊を目指して初校ゲラ校正作業を進めています。同書のタイトルは編集部が提案した『倭国から日本国へ』とすることで明石書店と合意し、表紙デザインについて明石書店と相談してきました。写真の使用権承諾手続きや、なかなか良い写真が見つからないことなどの問題もあって難航しましたが、ようやく第二案で合意方向となり、明石書店の担当部署で検討が続けられています。

 第一案は、平城京出土の「隼人の盾」を表紙デザインとして使用するものでしたが、第二案は『旧唐書』日本国伝版本の「日本國者倭國之別種也」の部分をデフォルメ・強調し、表紙の背景に使用するデザインです。特集テーマが、倭国(九州王朝)から日本国(大和朝廷)への王朝交代ですので、そのことを象徴したデザインにしたいと考えた結果のアイデアです。明石書店でのデザイン作成と同社ボードの決裁がおりれば正式決定となります。刊行までもう一息です。価格や発行日が決まれば、改めて報告します。なお、同27集は「古田史学の会」2023年度の賛助会員(年会費5000円)には、本年四月頃に本会より発送予定です。ご期待下さい。


第3186話 2023/12/23

「倭国から日本国へ」

(『古代に真実を求めて』27集)

の編集状況

 来春発行予定の『古代に真実を求めて』27集の編集作業も峠を越えて、明石書店でのゲラ作成工程に入っています。順調に進めば初校ゲラが年内に届き、執筆者による初校ゲラの校正作業へと進みます。

 27集は王朝交代を特集テーマとしており、同書タイトルも「倭国から日本国へ」が内定し、表紙デザイン(検討中)も含めて正式決定される運びです。27集は掲載論文が多く、増ページとなります。2023年度賛助会員(年会費5000円)へ、4月頃には送付できるよう取り組んでいます。重要論文が満載の一冊です。一般会員(年会費3000円)の皆様には「古田史学の会」在庫分の特価販売を予定しています。書店やアマゾンでの会員以外の方も購入可能です。

 他方、八幡書店から発行予定の『東日流外三郡誌の逆襲』(古賀達也編著)の方も本日から八幡書店へ入稿を開始しました。執筆協力を依頼していた方々からの原稿を中心として約三分の一の予定稿を送り終えました。残りの原稿のほとんどがわたしの担当ですので、大急ぎで執筆と入稿を進めています。年末年始は「倭国から日本国へ」のゲラ校正と『東日流外三郡誌の逆襲』の原稿執筆で大忙しとなります。来年は両書の出版記念講演会を青森県を含めた全国各地で開催できればと願っています。


第3104話 2023/09/04

『古代に真実を求めて』CiNii認定の重み

 昨日は和田家文書研究のため、日野智貴さん(古田史学の会・会員、たつの市)と宇治に行きました。約40年ぶりの宇治でしたので、懐かしさとともに、京阪宇治駅や宇治橋付近の光景が一変しており、時の流れを感じました。
日野さんとは、学問研究や古田史学の会についての話に終始しました。その中で日野さんから、今まで意識してこなかった重要な問題を指摘されました。それは「古田史学の会」の論集『古代に真実を求めて』が、国立情報学研究所が運営している「CiNii Research」に学術誌として認定登録されているということでした。CiNii(サイニィ)に登録されているということは、学術研究誌として日本国家の認定を受けていることを意味し、それは得がたい待遇であるとのこと。たしかに、研究者や学生が自らの研究分野の関連研究や先行論文を検索する際、CiNiiを利用するのは、そのような国立情報学研究所のお墨付きを得ている書籍・論文であるからです。

 日野さんの指摘は更に続きます。〝したがって、『古代に真実を求めて』の掲載論文はCiNiiの登録認定を維持するために、それにふさわしい学問研究水準を維持し続けなければならず、もし認定取り消しとなったら、古田学派にとって大きな損失であり、社会科学系出版社としての評価を得ている明石書店にも迷惑(ブランド毀損)をかけることになる〟とのこと。

 今まで、そのような視点や意識で『古代に真実を求めて』を編集してこなかったのですが、言われてみればそのとおりです。日野さんのような、大学で国史を専攻した研究者にとっては、そうした認識でCiNiiを利用してきたのですから、常識だったのでしょう。日野さんの指摘には、深く考えさせられました。

 ウィキペディア(Wikipedia)によれば、CiNiiには次の三つの分類があり、『古代に真実を求めて』は最も権威が高いとされる「CiNii Research」に登録されています。なお、この認定は『古代に真実を求めて』掲載論文にも適用されており、CiNii Researchにより検索できます。

【ウィキペディアから抜粋】
CiNii(サイニィ、NII学術情報ナビゲータ、Citation Information by NII)は、国立情報学研究所(NII、National institute of informatics)が運営するデータベース群。各種文献に加えて研究データやプロジェクトを検索できる「CiNii Research」、大学図書館の総合目録データベース「CiNii Books」、博士論文データベース「CiNii Dissertations」の3つからなる。
○CiNii Research 日本国内の雑誌・大学紀要の記事情報、研究データ、プロジェクト等の情報
○CiNii Books 主に日本国内の大学図書館等の蔵書の書誌情報・所蔵情報
○CiNii Dissertations 日本国内の博士論文
【転載終わり】

 国立情報学研究所(NII)のサイトには、CiNiiについて次の解説があります。

〝CiNiiについて
CiNii(NII学術情報ナビゲータ[サイニィ])は、論文、図書・雑誌や博士論文などの学術情報で検索できるデータベース・サービスです。どなたでもご利用いただけます。
「CiNii Research」では、文献だけでなく研究データやプロジェクト情報など、研究活動に関わる多くの情報を検索できます。
「CiNii Articles – 日本の論文をさがす」は、2022/4/18にCiNii Researchに統合されました。
「CiNii Books – 大学図書館の本をさがす」では、全国の大学図書館等が所蔵する本(図書・雑誌)の情報を検索できます。
「CiNii Dissertations – 日本の博士論文をさがす」では、国内の大学および独立行政法人大学評価・学位授与機構が授与した博士論文の情報を検索できます。〟【転載終わり】

 わたしの学生時代とは比較にならないほど、研究環境が進化しています。企業研究時代(化学分野)でも、30年ほど前は紙の特許明細や先行論文を書庫から引っ張り出して、人海戦術で読んだものです。

 近年は、古代史研究に〝素人〟でも参入しやすくなったと同時に、市場にあふれ出した玉石混淆の書籍や論文を見極める力量も必要となりました。そうした中で、古田史学・古田学派を代表する論文集『古代に真実を求めて』を編集・発行したいと思います。