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第1989話 2019/09/13

わが家と梅原末治さんとの昔話

 わたしが上京区の拙宅で暮らすようになって30年ほどになります。拙宅は妻の実家で、元々は大黒屋地図店という当時日本では三店しかないという珍しい地図専門店でした。「宮内庁御用達」だったそうです。
 妻の祖父、山下喜代吉が創業したお店で、大学の先生などもお客様としてお付き合いが多かったとのこと。そのお一人に梅原末治さんもおられたようで、喜代吉さんは「梅原君は土や石ばかり扱っている」とよく話していたとのこと。昭和30年代中頃のことのようです。先に紹介した「筑前須玖遺跡出土のキ鳳鏡に就いて」(古代学第八巻増刊号、昭和三四年四月・古代学協会刊)という論文が発表された頃に当たります。なお、喜代吉さんは若い頃、淡路島で教師をしていたそうです。
 妻は古代史や考古学には興味はないのですが、その「梅原君」という名前は今でもはっきりと覚えており、おそらくお店にも梅原さんは出入りしていたのではないでしょうか。国土地理院発行の全国各地の地図も置いてありましたので、発掘や遺跡調査のために大黒屋地図店で購入されていたものと思います。
 また、妻の話では、お店には緑色に錆びた銅鐸(高さ約20cm)が飾ってあったそうで、妻が子供の頃に落としてしまい、「耳」の部分が割れたとのこと。それが本物なのかレプリカなのかはわかりませんが、梅原さんや京都大学とお付き合いがあったことなどを考えると、案外本物だったのかもしれません。割れた銅鐸がその後どうなったのかも不明で、「棄てたのではないか」などと恐ろしいことを妻は言っています。
 以上のように、京都に住んでいるといろんな話を聞くことが多いのですが、今回はわが家で伝えられてきた梅原末治さんのエピソードをご紹介させていただきました。