古代に真実を求めて一覧

第927話 2015/04/19

「邪馬台国」論争を越えて

・・・邪馬壹国の歴史学

 今日はi-siteなんばで、「古田史学の会」の編集会議を行いました。今秋、発行予定の『三国志』倭人伝研究の本に関する書名や章立て、掲載稿について審議しました。
 書名について様々な案を検討し、従来の「邪馬台国」本とは内容もレベルも異なることが印象づけられる古田史学らしい書名として次の案が採択され、明石書店に提案することにしました。

 『「邪馬台国」論争を越えて ・・・邪馬壹国の歴史学・・』古田史学の会 編

 章立ても検討中ですが、次のような項目(仮称)と切り口で古田史学・邪馬壹国説を説明します。

 ○巻頭言
 ○初めて古田史学、邪馬壹国説に触れられる皆様へ
 ○古田先生からのメッセージ
 ○倭人伝の位置づけ
 ○短里で書かれた『三国志』
 ○倭人伝の二倍年暦
 ○倭人伝の文物
 ○全ての史学者・考古学者に問う
 ○講演録
 ○『三国志』原文(紹煕本)と古田先生の訳文

 若干の変更はあると思いますが、概ね以上のような内容となります。この本もかなり面白く、かつ後世に残る一冊になりそうです。
 ところで、3月に発刊しました『盗まれた「聖徳太子」伝承』(『古代に真実を求めて』18集)が好評により、明石書店の在庫も底をつきそうですので、増刷の方向で検討を進めています。お買い上げいただいた皆様に御礼申し上げます。


第903話 2015/03/20

『盗まれた「聖徳太子」伝承』発刊

本日、出張先から帰宅すると、明石書店から『盗まれた「聖徳太子」伝承』(『古代に真実を求めて』18集)が届いていました。表紙も中身のレイアウトも一新されており、狙ったとおり以上のリニューアルに成功していました。明石書店の担当の森さんにはかなり頑張っていただき、感謝しています。
冒頭には皇室御物の『法華義疏』のカラー写真が掲載されており、読者はその実相に触れることができます。『古代に真実を求めて』にカラー写真が掲載されたのは初めてですが、編集責任者の服部静尚さんのご尽力の賜です。法隆寺以前の持ち主が書かれていた部分が鋭利な刃物で切り取られた痕跡も写っており、これは同書が近畿天皇家の「聖徳太子」のものではなかったことを意味します。
古田先生へのインタビュー「家永三郎先生との聖徳太子論争から四半世紀を経て」では、古田先生が東北大学の恩師・村岡典嗣先生亡き後、新たに赴任されてきた家永先生に学ばれ、日本思想史の単位を認定していただいたこなどが語られており、先生ご自身による貴重な歴史的証言と思いました。
巻末には、法隆寺釈迦三尊像光背銘と『隋書』「イ妥(タイ)国伝」版本、そして古田先生によるそれらの現代語訳も収録されており、史料として研究にも役立ちます。本書は多元的「聖徳太子」研究における、後世に残る一冊に仕上がったと自負しています。
「古田史学の会」2014年度賛助会員(年会費5000円)には明石書店から順次発送されます。大型書店にも並びますので、是非お買い求めください(定価2800円+税)。次号19集は「九州年号」を特集します。更に『三国志』倭人伝を特集した別冊も発行予定です。こちらもお楽しみに。


第889話 2015/03/06

盗まれた「聖徳太子」伝承

『古代に真実を求めて』第十八集

 

『盗まれた「聖徳太子」伝承』の表紙

今春、明石書店から発行される『盗まれた「聖徳太子」伝承』(『古代に真実を求めて』18集)の表紙カバーのデザインが決まりました。
編集責任者の服部静尚さんから送られてきた画像ファイルによれば、『隋書』イ妥国伝の影印を背景に中央にタイトル(盗まれた「聖徳太子」伝承)があり、 その右には「聖徳太子童子立像」(飛鳥寺所蔵)、下には「法隆寺夢殿」の写真が配され、四隅には原幸子さん(古田史学の会・会員、奈良市)が描かれた絵が あります。裏表紙にも原さんの絵が中央に配されており、素敵な表紙カバーができあがりました。
裏表紙には特集『盗まれた「聖徳太子」伝承』の掲載論文タイトルが並び、書店で手にとっていただいたとき、その内容が目に留まるような配慮がなされてい ます。当初の意図通りのリニューアルに成功しています。同書の発行が待ち遠しく、今からワクワクしています。
『古代に真実を求めて』19集は「九州年号」を特集します。それとは別に、『三国志』倭人伝をテーマとする別冊も企画しています。「古田史学の会」の総力を挙げて、後世に残るような書籍を作りたいと思います。これからも会員の皆様のご協力をお願いいたします。


第866話 2015/02/08

『古代に真実を求めて』

  18集の掲載稿

  第865話に続いて、『古代に真実を求めて』18集の掲載稿の全てをご紹介します。編集責任者の服部静尚さんから同目次を送っていただきました。下記の通りです。掲載稿の題名を見ただけでも、「古田史学の会」の総力をあげての多元的「聖徳太子」研究の最先端であることを想像していただけるのではないかと思います。わたしも発行が待ち遠しく思います。
 18集の発行が終わったら、別冊の『三国志』倭人伝研究をテーマとした『古代に真実を求めて』の企画編集に入ります。こちらも乞うご期待です。

『古代に真実を求めて』18集 目次

◎巻頭言
 真実の「聖徳太子」研究のすすめ 古賀達也

◎初めて「古田史学」或いは「九州王朝説」に触れられる皆さんへ  西村秀己

◎特別掲載 古田武彦講演録
 深志から始まった九州王朝 真実の誕生

◎特集 盗まれた『聖徳太子』伝承
≪古田武彦氏インタビュー≫
 家永三郎先生との聖徳太子論争から四半世紀を経て
○聖徳太子架空説の系譜 水野孝夫
○「聖徳太子」による九州の分国 古賀達也
○盗まれた分国と能楽の祖 正木裕
○盗まれた遷都詔 正木裕
○盗まれた南方諸島の朝貢 正木裕
○九州王朝が勅撰した「三経義疏」 古賀達也
○虚構・聖徳太子道後来湯説 合田洋一
○九州王朝の難波天王寺建立 古賀達也
○盗まれた「聖徳」 正木裕
○「君が代」の「君」は誰か 古賀達也
○法隆寺の中の九州年号 古賀達也
○「消息往来」の伝承 岡下英男
○河内戦争 冨川ケイ子

◎研究論文
○もう一つの海彦・山彦 西村秀己
○「伊予」と「愛媛」の語源 合田洋一
○「景初」鏡と「正始」鏡はいつ、何のために作られたか 岡下英男
○関から見た九州王朝 服部静尚
○畿内を定めたのは九州王朝か 服部静尚

◎資料・他
○『隋書』イ妥国伝 同訳文(古田武彦)
○古田史学の会・規約
○古田史学の会・全国世話人名簿
○古田史学の会・地域の会連絡先
○19集の原稿募集要項
○編集後記 服部静尚


第865話 2015/02/07

『古代に真実を求めて』

  18集を校正中

 昨日、明石書店から『古代に真実を求めて』18集の第二校が届きました。各執 筆者による最後の校正となります。「盗まれた『聖徳太子』伝承」を特集しており、多元史観・九州王朝説に基づく「聖徳太子」研究の最先端論文集になると自 負しています。巻末には『隋書』イ妥国伝の影印本と古田先生による訳を資料として収録しており、これからの研究にも役立つような内容となっています。
 わたしからは次の6本を出稿しました。

○巻頭言 真実の「聖徳太子」研究のすすめ
○「聖徳太子」による九州の分国
○九州王朝が勅撰した「三経義疏」
○九州王朝の難波天王寺建立
○「君が代」の「君」は誰か -倭国王子「利歌彌多弗利」考-
○法隆寺の中の九州年号 -聖徳太子と善光寺如来の手紙の謎-

 他の執筆者の論稿も佳作・力作ぞろいです。ご期待ください。今春には発行の予定です。2014年度賛助会員には1冊送付いたします。
 18集とは別に、『三国志』倭人伝をテーマに別冊『古代に真実を求めて』の企画編集も服部静尚さんを責任者に進められています。こちらもおもしろそうな一冊となりそうです。


第822話 2014/11/18

『古代に真実を求めて』18集の編集会議

 一昨日の日曜日に、i-siteナンバで『古代に真実を求めて』18集の編集会議を行いました。特集『盗まれた「聖徳太子」伝承』の原稿もほぼ出そろい、かなり面白い本になりそうです。表紙レイアウトも一新する計画で、原幸子さん (古田史学の会・会員、奈良市)による表紙デザイン画もできあがりました。特集以外の応募原稿などの選考も終わり、これから古田先生の講演録やインタビュー(家永三郎さんとの聖徳太子論争の回想)の準備にかかります。12月9日に古田先生のご自宅にうかがい、お話をうかがいます。
 明石書店への原稿提出締め切りもせまっており、最後の追い上げです。わたしも、今回は「巻頭言」執筆を水野代表から指示されており、すべての原稿に再度目を通して、執筆することになります。
 19集では「九州年号」を特集しますが、明石書店からの要請もあって、『古代に真実を求めて』別冊の企画も服部さんと相談中です。まだ正式にはなにも決まっていませんが、これまで発表された「邪馬台国」関連論文を中心にした企画などが試案としてあがっています。このところ「邪馬台国」関連本の出版が続いていますので、静かなブームなのかもしれません。古田学派らしい学問的なしっかりとした別冊にしたいと思います。
 なお、18集は来春発行予定で、2014年度賛助会員に進呈いたします。本屋さんからも購入可能です。ご期待ください。


第797話 2014/10/04

明石書店の森さん、来阪

 本日、古田史学の会・会誌『古代に真実を求めて』の編集を担当されている明石書店の森さんが来阪されましたので、服部静尚さん(『古代に真実を求めて』編集責任者)と三人でi-siteナンバで編集の打ち合わせを行いました。
 『古代に真実を求めて』は次号の18集より大幅にリニューアルします。特集として「盗まれた『聖徳太子』伝承」を企画しており、装丁も大胆に変化させる予定です。特集では、従来は大和朝廷の「聖徳太子」のこととされてきた様々な事績が、九州王朝の天子・多利思北孤や太子の利歌彌多弗利のものであったことを明らかにします。
 さらに、古田先生と家永三郎さんとで行われた「聖徳太子論争」「法隆寺論争」の思い出についての古田先生へのインタビュー記事や松本深志高校での古田講演録(本年10月)なども掲載します。
 発行は来春を予定しています。古田史学の会・賛助会員(年会費5000円)への2014年度特典としてご提供いたします。書店でもご購入できます。かなり面白い本になりそうなので、お楽しみに。


第780話 2014/09/06

奴(な)国か奴(ぬ)国か

「古田史学の会」会員の中村通敏さん(福岡市在住)から、ご著書『奴国がわかれば「邪馬台国」が見える』 (海鳥社、2014年9月)が送られてきました。古田先生の邪馬壹国説の骨子がわかりやすく紹介されており、古田史学入門書にもなっていますが、著者独自の仮説(奴国の比定地など)も提示されており、古田先生に敬意を払いながらも「師の説にななづみそ」を実践された古田学派の研究者らしい好著です。
また、志賀島の金印の出自に関する古田先生の考察など、興味深いテーマも取り扱われています。中でもわたしが注目したのが、『三国志』倭人伝に見える国名の「奴国」の「奴」を「な」とするのは誤りであり、「ぬ」である可能性が高いことを論じられたことです。わたしも「奴国」や金印の「委奴国」の「奴」の 当時の発音は「ぬ」か「の」、あるいはその中間の発音と考えています。通説の「な」とする理解が成立困難であることは、古田先生も指摘されてきたところです。中村さんはこの点でも、独自の根拠を示しておられ、説得力を感じました。
なお、奴国の位置については『古代に真実を求めて』17集にも中村稿とともに正木稿が掲載されており、両者の説を読み比べることにより、倭人伝理解が深 まります。このところ古田学派による著書の出版が続いていますが、中村さんの『奴国がわかれば「邪馬台国」が見える』はお勧めの一冊です。

インターネット事務局案内

 中村通敏(棟上寅七)さんが主宰するホームページ(新しい歴史教科書(古代史)研究会)と『奴国がわかれば「邪馬台国」が見える』中村通敏著のPRです。

棟上寅七の古代史本批評 へ


第773話 2014/08/26

「盗まれた『聖徳太子』伝承」

 今日から北陸出張です。午前中は福井県鯖江市でお客様訪問、午後は富山県石動(いするぎ)で開発案件のマーケットリサーチ、夜は石川県大聖寺で代理店と打ち合わせです。明日は福井市で仕事です。
 北陸三県は教育熱心な県と聞いていますが、確かにお付き合いしている代理店の青年は優秀な人が多く、わたしも啓発されることしばしばです。また、当然かもしれませんが、地元出身の人がほとんどです。少子化の影響もあり、子供が親元に残るため地元で就職する傾向が増えているのでしょう。そうなると就職先が少ない地方では、地元企業への就職競争が激しくなり、その結果、優秀な青年が地元企業に就職するということなのかもしれません。関西や関東の大都市圏では 地方出身者が少なくないのですが、わたしの勤務先も部課長の多くは他府県出身者です。

 24日にi-siteなんば(大阪府立大学なんばキャンパス)で、服部静尚さんを新編集長として『古代に真実を求めて』の編集会議を行い、18集 の企画内容を審議決定しました。メインテーマは「盗まれた『聖徳太子』伝承」で、九州王朝の多利思北孤や利歌彌多弗利の事績が、大和の「聖徳太子」の事績として『日本書紀』などに盗用されたり、各地の「聖徳太子」伝承に変質していることが明らかとなっていますが、18集ではそれらの研究成果を特集します。 依頼原稿の執筆者も決定されましたが、同テーマによる投稿原稿も歓迎します。もちろん、特集テーマ以外の投稿も従来通り受け付けますので、ふるって応募し てください(締め切りは10月末。原稿は2部、服部さんへ送付して下さい。応募方法の詳細は『古田史学会報』参照)。
 また、『古代に真実を求めて』19集のメインテーマには「九州年号」を予定しています。詳細は後日発表いたします。
 なお、『古代に真実を求めて』17集(定価2800円+税)は、「古田史学の会」2013年度賛助会員(年会費5000円)に明石書店から発送が開始されます。2014年度賛助会員には来春発行予定の18集を進呈します。一般会員(年会費3000円)や非会員の方は書店にてお求めいただければ幸いです。


第770話 2014/08/21

『古代に真実を求めて』17集が発刊

 昨日、明石書店から出来上がったばかりの『古代に真実を求めて』17集(2800円+税)が一足早く送られて来ました。古田先生の米寿記念特集号にふさわしく、表紙には古田先生の写真と「真実の歴史を語れ」というタイトルとともに次の先生の言葉が掲載されています。

 「あのユダヤ民族が全世界に四散させられた悲運の中から、数多くの人類の天才、アインシュタインたちを生み出したように、ヒロシマやナガサキ、そしてフクシマの逆境の中で、この日本列島から人類の究極の誇りとしての真実、あらゆるイデオロギーに組みせず、真実のために真実を求める人々が生まれ出ることをわたしは片時も疑ったことはない。」

 この本を手に取った全ての古田学派研究者や古田ファンの皆さんとともに、この先生の言葉を魂に刻み込んで、これからも生きていきたいと思います。
 同書には古田先生の米寿のお祝いの言葉や、先生の講演録、優れた古田学派学究の論文が収録されています。ぜひ多くの皆さんに読んでいただきたいと願っています。なお、17集は2013年度賛助会員(会費5000円)に1冊送付します。2014年度賛助会員には来春発行予定の18集を進呈します。目次は次 の通りです。

『古代に真実を求めて』第17集 目次

〔巻頭言〕会員論集・第十七集発刊に当たって 古田史学の会 代表 水野孝夫

○ I 米寿によせて
米寿に臨んで — 歴史と学問の方法 古田武彦
論理の導くところに「筑紫時代」あり 新東方史学会 会長 荻上紘一
謹賀古田先生米寿 多元的古代研究会 会長 安藤哲朗
古田先生の米寿にあたり 古田武彦と古代史を研究する会(東京古田会) 会長 藤沢 徹
青春の「古田屋先生」 古田史学の会・まつもと 北村明也
米寿のお祝い 古田史学の会・北海道 代表 今井俊圀
古田武彦先生の米寿の記念に添えて 古田史学の会・仙台 原 廣通
古田先生の米寿を心からお祝い申し上げます 古田史学の会・東海 会長 竹内 強
古田武彦先生が米寿をお迎えになられたことを衷心よりお祝い申し上げます 古田史学の会・四国 名誉会長 竹田 覚
古田武彦先生の米寿を祝う 古田史学の会・四国 会長 阿部誠一

○II 特別掲載
〔講演録〕古田史学の会・新年賀詞交換会(2013年1月12日 大阪府立大学i-siteなんば)
「邪馬壹国」の本質と史料批判 古田武彦
〔講演録〕古田史学の会・新年賀詞交換会(2014年1月11日 大阪府立大学i-siteなんば)
歴史の中の再認識 — 論理の導くところへ行こうではないか。たとえそれがいずこに至ろうとも 古田武彦

○III 研究論文
聖徳太子の伝記の中の九州年号 岡下英男
邪馬壹国の所在と魏使の行程 — 『魏志倭人伝』の里程・里数は正しかった 川西市 正木裕
奴国はどこに 中村通敏
須恵器編年と前期難波宮 — 白石太一郎氏の提起を考える 八尾市 服部静尚
天武天皇の謎 — 斉明天皇と天武天皇は果たして親子か 松山市 合田洋一
歴史概念としての「東夷」について 張莉・出野正
『赤渕神社縁起』の史料批判 京都市 古賀達也
白雉改元の宮殿 — 「賀正礼」の史料批判 古賀達也
「廣瀬」「龍田」記事について — 「灌仏会」、「盂蘭盆会」との関係において 札幌市 阿部周一

○IV 付録 会則/原稿募集要項/他
古田史学の会・会則
「古田史学の会」全国世話人・地域の会 名簿
第18集投稿募集要項
古田史学の会 会員募集
編集後記(古谷弘美)


第750話 2014/07/23

「真実の歴史を語れ」

 「古田史学の会」会員論集『古代に真実を求めて』17集(明石書店刊)の編集作業を急ピッチで進めていますが、『古代に真実を求めて』は大幅なリニューアルを準備しています。たとえば、17集のメインタイトルは「真実の歴史を語れ」となり、『古代に真実を求めて』という名称は小さくサブタイトルと します。更に表紙も号ごとに変更し、17集は「古田武彦先生米寿記念号」として古田先生の写真が表紙を飾ります。なお、17集は2013年度賛助会員に進 呈します。本年9月頃の発行予定です。2014年度賛助会員には来春発行予定の18集を進呈します。
 18集からは従来の投稿原稿とは別に、依頼原稿による特集を組み、更に付加価値を高めるために史料集も掲載します。18集の特集テーマは「九州王朝と聖徳太子」(仮称)を予定しています。詳細につきましては8月に開催される編集会議で決定します。もっと面白く、わかりやすい論集にするため、『古代に真実 を求めて』は大きくリニューアルします。ご期待ください。会員の皆さんの投稿をお待ちしています。


第728話 2014/06/15

『古代に真実を求めて』編集責任者に服部さん就任

 本日、大阪市浪速区のI-siteなんばにて「古田史学の会」記念講演会と定期会員総会を開催しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうござい ます。特に午前中に行われた「筑紫舞ビデオ鑑賞会」にも参加された皆さんは、サッカーW杯の日本・コートジボワール戦を振り切って見えられた方々ですの で、特に感謝申し上げます。かく言うわたしもW杯のファンですので、事前にこの日が日本戦と気づいていれば、たぶん「古田史学の会」役員会で会員総会の日 程変更を提案したと思います。
 午前中に鑑賞したビデオは西坂久和さん(多元的古代研究会と東京古田会のHPを担当)よりご提供いただいたもので、アクロス福岡での筑紫舞公演の他、宮 地嶽神社浄見宮司による古田先生の紹介と古田講演もあり、とても貴重な内容でした。今回、改めて筑紫舞をビデオでしっかりと拝見しましたが、やはり九州王 朝の宮廷舞楽にふさわしい優雅さと荘厳さを併せ持つ舞だと感じました。『三国志』倭人伝にも「歌舞飲酒」という倭国の風俗が記されていますから、筑紫舞は 2000年近くの歴史を越えて伝承されたものでしょう。本当によく断絶せずに伝承されてきたものと、感銘を禁じ得ません。ビデオ撮影・編集していただいた 西坂さんに御礼申し上げます。インターネットでも鑑賞できるようになればいいですね。昼休みも西坂さんのビデオ(宮地嶽古墳や宮地嶽神社訪問の様子)を拝 見しました。
 記念講演は、出野正さん(古田史学の会・会員)により「西双版納(シーサンパンナ)の旅 -倭人の源流を求めて-」の講演がなされました。中国雲南省の 奥地まで訪問され、現地で撮影された多くの写真をプロジェクターで映写しながらの解説には臨場感があり、日本と西双版納(シーサンパンナ)の倭(アカ)族 の文物(高床式、鳥居、貫頭衣、鵜飼、餅、ちまき、こんにゃく、文身〔入れ墨〕、他)の共通性がよくわかりました。当地の高床式建物の柱の本数が必ず奇数 という指摘には興味を引かれました。
 ちょうど尖閣諸島問題が発生したときの訪問だったので、日本人(出野さん)に気づいた村人に囲まれて、タクシー内に数時間も閉じこめられた話などもお聞きできました。
 わたしからは「新出『九州年号』史料の展開 — 『伊予三島縁起』『赤渕神社縁起』『石原家文書』」を報告しました。質疑応答では加藤さん(古田史学の会・会員、交野市)より、九州年号「常色」を「じょ うしょく」と発音していた私に対して、「九州年号に仏教用語が多いことを考えると、「じょうしょく」と発音するよりも、「色即是空(しきそくぜくう)」と 同様に「じょうしき」と発音すべきではないか」というご指摘がありました。この指摘に対してわたしは、「その通りです。発音をテーマとする研究であれば厳 密に『じょうしき』とするのが学問的です。今回は発音を問題とするテーマではないので「じょうしょく」と言いましたが、今後はより正確な発音で報告しま す」と返答しました。加藤さんのご質問は学問的にも素晴らしい指摘で、触発されました。今後はより学問的に「常色(じょうしき)」と発音することにしたい と思います。このように、質疑応答も含めて、古田学派らしく、とても盛況でした。
 会員総会では全ての議案が滞りなく承認されました。人事では『古代に真実を求めて』の編集責任者が古谷さんから服部さんへの交代が承認されました。古谷 弘美さん(古田史学の会・全国世話人、枚方市)のお仕事などの都合により、編集責任者を退任されましたが、編集委員としては引き続き留任されます。投稿原 稿の採否検討にあたり、古谷さんの史料に対する博覧強記がこれからも必要ですので、留任していただきました。
 新たに編集責任者に就任された服部静尚さん(八尾市)はお仕事でマーケティングにも関わられた経験をお持ちとのことで、その実績を活かして『古代に真実 を求めて』の編集を引き受けていただくこととなりました。こうして「古田史学の会」の本部機能はより盤石となり、心強いばかりです。