讃岐の白鳥神社訪問
先日、東かがわ市の白鳥神社(しろとり神社)を訪問しました。以前から気になっていた神社で、一度訪れたいと思っていました。もちろん御祭神は日本武尊で、白鳥伝説に基づいた縁起を有していました。しかし、人間が死後白鳥になって飛んできたはずはありませんから、何か別の理由でこの神社が創建されたはずです。このことを確かめたかったのです。
『常陸国風土記』に見える倭武天皇は九州王朝の倭王武の伝承ではないかと古田先生は指摘されていますが、この白鳥神社の日本武尊伝承も、もともとは倭王武の伝承ではなかったのかとも考えています。
例えば、ここの白鳥神社には日本武尊の他に、その正妃の両道入姫命(ふたじのいりひめ)と妃の橘姫命が御祭神として祀られています。猪熊兼年宮司からおうかがいしたところ、両道入姫命が祀られている神社は全国でも珍しいそうです。また、橘姫命は通常「弟橘姫」とされていますが、ここでは「弟」が付かない 「橘姫」命とのことでした。
『常陸国風土記』の倭武天皇記事でも、橘皇后あるいは大橘比売命と記されていますから、倭王武の妃は橘姫だった可能性があり、この白鳥神社の伝承でも橘姫命とされていることは、『常陸国風土記』と同様に、日本武尊ではなく九州王朝の倭王武の伝承に基づいているのではないかと推察していますが、いかがで しょうか。
白鳥神社を訪問した日は大変寒かったのですが、猪熊宮司さんからは長時間にわたり親切に御説明いただき、感謝しています。氏は大学で日本思想史を研究されたとかで、村岡典嗣先生のお名前もよくご存じで、話しが弾みました。