「戸籍」木簡、現地説明会の報告
台風4号の接近でJR北陸本線特急列車が運休となり京都に帰れません。急遽、福井市で一泊することにしました。そんなわけで、今日は福井駅前のホテルで書いています。明日は朝から大阪で仕事がありますので、列車が動くのか、間に合うのか心配です。
17日には大阪市中之島の府立大学サテライト校舎をお借りして、古田史学の会・会員総会と記念講演会を開催しました。午前中は関西例会が行われ、発表テーマは下記の通りでした。
関西例会では、その前日16日の太宰府市出土「戸籍」木簡の現地説明会に、古田先生とともに参加された大下さんより報告がなされました。本当にタイムリーな最新の報告で、大変勉強になりました。
大下さんの報告によれば、出土した木簡は13点で、その中の一枚が注目されている「戸籍」木簡です。出土場所は大宰府政庁の北西1.2kmの地点で、国 分寺跡と国分尼寺跡の間を流れていた川の堆積層で、その堆積層の上の部分から出土した木簡には「天平十一年十一月」(739年)の紀年が記されており、評 制の時期(650年頃~700年)から少なくとも天平十一年までの木簡が出土したことになりそうです。なお、この「天平十一年」木簡のみが広葉樹で、他の 12枚は針葉樹だそうです。
この他にも貴重な興味深い報告がなされました。今後、考察を含めて紹介することにします。
記念講演会では、東京古田会(古田武彦と古代史を研究する会)の安彦さんにおこしいただき、和田家文書研究の最新成果を発表していただきました。関西例会ではなかなか聞く機会がない貴重な研究でした。
わたしからは、当初予定していたテーマに換えて、太宰府出土「戸籍」木簡について、大宝二年戸籍との比較考察を報告しました。
〔6月度関西例会の内容〕
1). 拓本文字データベース(木津川市・竹村順弘)
2). 大祚栄と粛慎(木津川市・竹村順弘)
3). 太宰府の木簡(豊中市・大下隆司)
○水野代表報告(奈良市・水野孝夫)
古田先生近況・会務報告・「三国志」版本研究の調査・藤田友治著『ゼロからの古代史事典』紹介・古代寺院と瓦の研究・その他
〔会員総会記念講演会〕
○安彦克己さん
『和田家文書』の安日彦、長髄彦
-秋田孝季は何故叙述を間違えたか-
○古賀達也
文字史料から見える九州王朝
-太宰府出土「戸籍」木簡の考察-