平野雅曠さんの先行説(1)「九州年号の訓み」
来春発行予定の『古代に真実を求めて』19集は「九州年号」を特集しますが、特集原稿の選考や執筆依頼の検討を編集部では進めています。正木事務局長からの提案で、九州年号の訓みについての論文掲載を検討していますが、先行研究を平野雅曠さん(故人)が発表されていた記憶がありましたので、調べてみました。
平野さんの著書『倭国史談』(2000年、熊本日日新聞情報文化センター制作)に「訓んでみた『九州年号』」が収録されていましたが、初出は『古田史学会報』22号でした。
平野さんによれば九州年号は呉音で訓まれていたとされ、その呉音での九州年号訓み一覧を示されています。たとえば「常色」は「じょうしき」と訓まれています。わたしは九州年号研究において、その訓みについてはあまり気にせずにいたこともあり、たとえば「常色」は「じょうしょく」と訓んできました。そのため、九州年号は呉音で訓むべきとのご指摘を会員からいただいたこともあります。
九州年号研究の精度を更に高めるため、正木さんから九州年号特集論文にこのテーマを入れるべきとの意見が出されたのも時宜を得たものです。そこで、『古代に真実を求めて』編集責任者の服部静尚さんからの要請で、平野さんの先行研究を踏まえて正木さんに新たに執筆していただく方向で検討されています。
古田学派の研究も30年以上にわたり、多くの研究が発表されていますから、『古代に真実を求めて』の企画編集にあたっても注意が必要です。(つづく)