2025年06月28日一覧

第3500話 2025/06/28

7/05(土)「九州古代史の会」

     講演での追加テーマ

 ―「海の正倉院」の中の王朝交替―

 友好団体「九州古代史の会」の7月例会(7/05 福岡市早良区ももち文化センター)で講演させていただきます。当初予定していた講演テーマは「王朝交代前夜の倭国と日本国 ―温泉の古代史・太宰府遷都の真実―」だけでしたが、沖ノ島出土金銅製鞘から象眼発見のニュースが駆け巡ったため、急遽、最新のご当地ネタとして〝「海の正倉院」の中の王朝交替 ―沖ノ島・金銅製鞘の象眼発見ニュースに触れて―〟を追加することにしました。

 同ニュースの全てが「ヤマト王権が奉納した」と解説することを不審に思い、その根拠を調べたところ、大和朝廷一元史観という一つの仮説を根拠としており、ヤマトからもたらされたとする確たるエビデンスは無いようでした。むしろ、古墳時代から続く九州王朝(倭国)の象眼技術や美術・芸術の歴史的流れの中に位置づけられるとする理解の方が現実的であることがわかりました。

 更に、沖ノ島の遺跡(Ⅰ期 岩上祭祀遺跡 4世紀後半~5世紀、Ⅱ期 岩陰祭祀遺跡 5世紀後半~7世紀、Ⅲ期 半岩陰・半露天祭祀遺跡 7世紀後半~8世紀、Ⅳ期 露天祭祀遺跡 8世紀~9世紀)毎に遺物を精査したところ、Ⅲ期とⅣ期の間に九州王朝(倭国)から大和朝廷(日本国)への王朝交替(701年)の痕跡が残されていることがわかりました。この発見と仮説を追加テーマとして発表します。ご当地の皆さんに是非お聞きいただきたいと願っています。