2025年10月03日一覧

第3538話 2025/10/03

弘前市立図書館で

  キリシタン禁圧書状を閲覧

 昨日は朝から弘前市立図書館に行き、9時30分の開館を待って、史料調査室で夕刻まで江戸期成立の津軽藩文書など10数点を閲覧しました。最初に、キリシタン禁圧に関する報告書(藩への報告書)数点を拝見しました。江戸時代の津軽藩でのキリシタン禁圧史は、島原での弾圧ほど有名ではありませんが、とても興味深いもので、和田家文書にも少数ですが関連記事が見えます。

 今回、閲覧したのは弘前市立図書館に所蔵されている「津軽家古文書」にある次の書状です。

〔津軽きりしたんの者共死罪之儀御奉書〕TK190-3
津軽土佐守(信義)宛 写(原本)1通
註:阿部豊後守忠秋 松平伊豆守信綱 酒井讃岐守忠勝 土井大炊頭利勝より

〔南蛮伴天連いるまん等白状之趣に就き御奉書〕TK190-9
津軽土佐守(信義)宛 写(原本)1通
註:阿部対馬守重次 阿部豊後守忠秋より

〔森元功白状・伴天運市左衛門白状〕TK190-11
写(原本)2通

『東日流外三郡誌』(八幡書店版4巻、696頁)に「イルマン訴人」(津軽犯科帳)の記事があり、その年代(寛永12年・1635)も「津軽家古文書」に対応しているようですので、「南蛮伴天連いるまん等」との関係性を確認するために閲覧したものです。ここでの「いるまん」とはクリスチャンとしての信仰上の「兄弟」や「修道士」を意味しているようです。

 しかし、わたしの関心事は文書の内容だけではなく、使用された紙にもありました。天井の蛍光灯にそれら文書を透かしながら見るのですが、図書館の方からは変な閲覧者と思われたかも知れません。

 思っていたよりも厚手の手漉き和紙が使用されおり、これには驚きました。当時の津軽藩で、このような和紙が公文書に使用されていることを知り、勉強になりました。「東日流外三郡誌」明治写本に使用された機械漉の和紙よりもかなり分厚く、ページ数が多くなる書籍用と一枚の報告書(手紙)とで紙を使い分けているのかも知れません。(つづく)

 

《写真解説》弘前市立図書館旧館と新館