『古田史学会報』191号の紹介
『古田史学会報』191号を紹介します。同号には拙稿〝荻上命題と古田論証 ―邪馬壹国の証明―〟と〝蝦夷国の「山神社」考〟を掲載して頂きました。前者では古田史学・古田説の根幹である「邪馬壹国」説に至った古田先生の学問の方法について詳述しました。後者はわたしが進めている蝦夷国研究の一環として、東北地方に濃密分布する山神社について論じたもので、「山神」信仰の淵源が古代蝦夷国に遡る、いわば倭国の「天神」信仰に比肩する蝦夷国の信仰とする仮説を提起しました。
本号には、拙論や谷本稿のように、文献史学の方法について論究した論稿が並び、古田学派にふさわしいものとなりました。正木稿の、不改常典を天孫降臨以来の九州王朝の統治の根拠である「天壌無窮の神勅」とする新説は注目されます。諸説ある不改常典研究での論争・検証が待たれます。
拙著『東日流外三郡誌の逆襲』(八幡書店)の書評が池上洋史さんから寄せられ、同書続編の執筆にあたり参考となりました。
191号に掲載された論稿は次の通りです。
【『古田史学会報』191号の内容】
○荻上命題と古田論証 ―邪馬壹国の証明― 京都市 古賀達也
○『新唐書』日本伝のより深い理解に向けて ―國枝浩氏の批評に答える― 神戸市 谷本 茂
○生島神社と『祝詞』(二) 上田市 吉村八洲男
○古田武彦記念古代史セミナー2025(八王子セミナー)参加の記 千葉市 倉沢良典
○推古紀の裴世清は隋の使者ではありえない! ―野田利郎氏の史料解釈方法への諸疑問― 神戸市 谷本 茂
○蝦夷国の「山神社」考 京都市 古賀達也
○史跡めぐりハイキング 古田史学の会・関西
○王朝交代と『不改の常典』 川西市 正木 裕
○『東日流外三郡誌の逆襲』の感想 宇治市 池上洋史
○古田史学の会・関西例会のご案内
○新春古代史講演会のご案内(2026年1月18日、茨木市「おにクル」)
○編集後記 高松市 西村秀己
『古田史学会報』への投稿は、
❶字数制限(400字詰め原稿用紙15枚)に配慮し、
❷テーマを絞り込み簡潔に。
❸論文冒頭に何を論じるのかを記し、
❹史料根拠の明示、
❺古田説や有力先行説と自説との比較、
❻論証においては論理に飛躍がないようご留意下さい。
❼歴史情報紹介や話題提供、書評なども歓迎します。
読んで面白く、読者が勉強になるわかりやすい紙面作りにご協力下さい。
また、「古田史学の会」会則に銘記されている〝会の目的〟に相応しい内容であることも必須条件です。「会員相互の親睦をはかる」ことも目的の一つですので、これに反するような投稿は採用できませんのでご留意下さい。なお、これは会員間や古田説への学問的で真摯な批判・論争を否定するものでは全くありません。
《古田史学の会・会則》から抜粋
第二条 目的
本会は、旧来の一元通念を否定した古田武彦氏の多元史観に基づいて歴史研究を行い、もって古田史学の継承と発展、顕彰、ならびに会員相互の親睦をはかることを目的とする。
第四条 会員
会員は本会の目的に賛同し、会費を納入する。(後略)